「共同体感覚」ってなに?――人とつながりながら“安心して生きる力”
今回は、職場の人間関係についてお話ししたいと思います。
テーマは、
「人の仕事を奪ってしまう人」
です。
皆さんの周りに、こんな人はいませんか?
人が担当している仕事なのに、どんどん入ってくる。
「遅いから私がやるね」
「それじゃダメだから、こっちでやっておいたよ」
最初は親切なのかな?と思うんです。
ところが、いつの間にかその人が仕事の中心になっていて、
「結局、私がやらないとダメなのよ」
「あの人、本当に仕事ができない」
「私ばっかり大変」
そんな愚痴を周囲に言い始める。
今回は、
「どうしてこんなことが起きるのか?」
そして、
「巻き込まれた人はどうしたらいいのか?」
ここを心理的な側面から考えてみたいと思います。
1.人の仕事を奪う人に見られやすい7つの特徴
もちろん、当てはまったからといって「悪い人」ということではありません。
ただ、行動の傾向として見てください。
① 人に任せるのが苦手
「自分でやったほうが早い」
これが思想や口癖になっている人です。
確かに自分でやったほうが早いこともあります。
でも、それを繰り返していたら、ほかの人は仕事を覚える機会を失ってしまいます。
そして最後には、「なんで誰もできないの?」となってしまう。
実は、自分で「できない状態」を作っている可能性があります。
② 「頼られること」に価値を感じすぎる
「○○さんがいないと困る」
これはうれしい言葉ですよね。
でも、この言葉がないと自分の価値を感じられなくなると、少し苦しくなります。
「自分がいなければ回らない状態」を、無意識に維持しようとしてしまうことがあるからです。
③ 他人のミスをよく覚えている
「あの人、前にも失敗したよね」
「前回も私がフォローしたんだから」
人の失敗はよく覚えている。
ところが、自分の失敗や周囲に助けてもらったことについては、それほど語らない。
すると本人の中では、
「私はいつも助ける人」
「あの人はいつも助けられる人」
という物語ができていきます。
④ 「忙しい」がアイデンティティになっている
いつも忙しい。
いつも仕事を抱えている。
いつも誰かのフォローをしている。
そして、「もう大変!」と言っている。
でも、仕事を渡そうとすると渡さない。
ここがポイントです。
本当に仕事を減らしたいのなら、人に任せればいいのですが、それでも抱え続ける場合、
「忙しく必要とされている自分」
に価値を感じている可能性があります。
⑤ 比較で自分の価値を確認する
「私はできる」
だけでは安心できず、
「あの人より私はできる」
になるタイプです。
この場合、自分が優秀であるためには、比較対象となる「できない人」が必要になります。
だから他人の欠点や失敗に意識が向きやすくなります。
⑥ 周囲に愚痴を広げる
本人に直接言うのではなく、第三者に言います。
「あの人、本当に仕事できないんだよ」
「私が全部やっているの」
そして、「それは大変だね」と言ってもらう。
これによって、自分の考えが正しいと確認できます。
場合によっては、周囲にも「あの人は仕事のできない人」というイメージが作られていきます。
⑦ 自分を被害者だと思っている
これが一番難しいところです。
本人には、人の仕事を奪っているという感覚がないことがあります。
むしろ、「私がやってあげている」と思っています。
だから、
「こんなに頑張っているのに誰も分かってくれない」
「どうして私ばっかり?」
という気持ちになります。
本人の中では本当に苦しいのです。
2.なぜ「私ばかり大変」になるの?
この「なぜ「私ばかり大変」になるのか?」について、
ここには、とても興味深い悪循環があります。
人の仕事に介入する。
↓
相手が仕事をする機会が減る。
↓
「この人は仕事をしない」と感じる。
↓
さらに自分が仕事を引き取る。
↓
自分の仕事量が増える。
↓
「私ばっかり大変」と感じる。
↓
「あの人は仕事ができない」と周囲に話す。
↓
さらに仕事を任せなくなる。
こうして、
「自分がいなければ回らない環境」
が完成していきます。
でも、その環境を作った一因が、自分自身の行動にあることにはなかなか気づきません。
3.ターゲットにされた人がやってはいけないこと
では、仕事を奪われたり、
「仕事のできない人」
という扱いを受けたりしたら、どうしたらいいのでしょう。
まず、やらないほうがいいことがあります。
それは、相手と「どちらが正しいか」
の戦いを始めること。
「あなたが私の仕事を奪ったんでしょう!」
「あなたこそ仕事ができていない!」
こうなると、職場全体が人間関係の争いになってしまいます。
特に周囲に愚痴を広げるタイプの場合、
「ほら、あの人は感情的でしょう?」
と、さらに自分に都合のいい材料として使われることもあります。
4.では、どう対処する?
大切なのは、感情ではなく事実を扱うことです。
「仕事を取られました」
だけではなく、
「○月○日、私が担当していた○○について、事前の相談なく担当が変更されました」
という形です。
そして、「誰が担当するのか」、「どこまでが自分の責任なのか」、「変更するときは誰に確認するのか」これを明確にします。
可能であれば上司や責任者にも入ってもらいます。
人間関係の問題ではなく、業務分担の問題として扱うということです。
5.愚痴を聞かされる側も注意
そして第三者の人にもお願いしたいことがあります。
「あの人、本当に仕事できないよね」と言われたとき、
簡単に「そうだよね」と言わないことです。
自分が見ていないことなら、
「そういうことがあったんですね。でも私は実際の状況を見ていないので、その人の評価については何とも言えないかな」
くらいでいいんです。
誰かの悪口の「証人」にならないこと。
これは職場の人間関係ではとても大切です。
6.こういう人の末路はどうなる?
「必ず孤立します」
とは言えません。
むしろ最初は評価されることもあります。
仕事をたくさんしているからです。
「○○さん、頼りになるね」
「○○さんがいないと困るね」
本人が一番欲しかった言葉をもらえるかもしれません。
でも、それが長く続くと周囲も気づいていきます。
「仕事を任せてもらえない」
「何かあると自分のせいにされる」
「この人に話すと誰かに言われる」
そうなると、人は少しずつ距離を取ります。
表面上は普通に接していても、本音を話さなくなる。
相談しなくなる。
大事なことを共有しなくなる。
そして結果として、
「仕事は集まっているけれど、信頼は集まっていない人」
になってしまうことがあります。
7.本当に仕事のできる人とは?
私はここが一番大切だと思っています。
本当に仕事のできる人は、「私が全部やりました」と言える人だけではありません。
人に仕事を任せられる。
失敗しても成長できる余白を作れる。
困ったときには助ける。
そして成果を独り占めしない。
「あの人がいてくれたからできた」
と言える。
そんな人です。
自分の価値を高めるために、誰かの価値を下げる必要はありません。
誰かを「仕事のできない人」にしなければ、「仕事のできる自分」でいられないのだとしたら、
それは本人にとっても、とても苦しい働き方になります。
最後に
もし今、仕事を取られている。
悪く言われている。
仕事のできない人のように扱われている。
そんなことで悩んでいる人がいたら、覚えておいてください。
相手の心理を理解することと、相手の行動を受け入れることは別です。
相手を変えるためにエネルギーを使い果たさなくていい。
自分の仕事の範囲を明確にする。
記録を残す。
必要なら責任者に相談する。
そして、他人が作ったあなたの評価と、あなた自身の価値を混同しないこと。
職場では、我慢することだけが大人の対応ではありません。
静かに境界線を引くことも、自分を守るための大切なコミュニケーションです。
今回は、「人の仕事を奪う人の心理と、その対処法」についてでした。
「相手を変える」より、自分を守る方法を一緒に考えてみませんか?
職場の人間関係でつらいのは、仕事そのものよりも、
「どうして私ばかり責められるんだろう」
「私って本当に仕事ができないのかな」
「また何か言われるかもしれない」
「どこまで我慢すればいいんだろう」
そんな気持ちを、一人で抱え続けることかもしれません。
人の仕事に入り込んでくる人、周囲に愚痴や悪口を広げる人、自分の正しさを強く主張する人。
こうした相手との関係が長く続くと、いつの間にか相手の言葉が自分の中に入り込み、自分自身の判断や自信まで揺らいでしまうことがあります。
でも、相手を変えなければあなたが楽になれない、というわけではありません。
カウンセリングでは、
「相手はなぜこんなことをするのか」だけではなく、
私は何に傷ついているのか。
どこまで受け入れて、どこから断っていいのか。
どう伝えれば自分を守れるのか。
この職場でこれからどうしていきたいのか。
そんなことを一緒に整理していきます。
「こんなことで相談していいのかな」と思うようなことでも大丈夫です。
人間関係のつらさは、目に見えないからこそ、一人で抱えていると大きくなってしまうことがあります。
相手を責めるためではなく、
自分を責め続けないために。
あなたにとって無理のない距離の取り方や、自分を守る方法を一緒に考えていきましょう。
職場の人間関係・対人ストレスについてのカウンセリングもお受けしています。


