「本当は何がしたいんだろう?」 欲求や感性が見えなくなる心の深い理由

内田梓

内田梓

テーマ:人間は生き物、心と自然

「本当は何がしたいんだろう?」
欲求や感性が見えなくなる心の深い理由
人生のどこかで、
「やりたいことがわからない」
「自分の気持ちが見えない」
「何を感じているのかすら曖昧」
と感じたことはありませんか?

これは珍しいことではなく、むしろとても多くの人が経験します。
現代の私たちは、社会の中で“役割”を演じる時間が長くなりすぎて、
生き物としての自然な感性が奥にしまい込まれてしまうからです。

人は本来、豊かな感性と欲求を持つ“生き物”
本来の人間は、自然の中で暮らす動物のように、
自分の欲求に敏感で、
心の動きに正直で、
感情や直感に導かれて生きる存在です。

・お腹が空けば食べ
・疲れれば休み
・怖ければ避け
・好きなものに惹かれ
・嫌いなものから離れる

これらは本来の「生き物としての欲求」であり、
自然で健全な心の働きです。

しかし私たちが社会の中で生きるにつれ、
こうした本当の欲求が少しずつ“後回し”になっていきます。

どうして本来の欲求や感性が失われていくのか?
その背景には、幼いころからの環境や経験が影響しています。

気持ちより「正しさ」を求められ続けた
本音を話すと否定された経験がある
周りに合わせるほうが安全だった
我慢することで褒められた
忙しすぎて心に余白がなかった
疲れすぎて感性が働かなくなった
こうして「本心より社会の要求に反応する」生き方が続くと、
身体は少しずつ、自分の欲求を感じる力を弱めていきます。

結果として、
「何が好きかわからない」「気持ちが動かない」という状態に陥ってしまうのです。

欲求や感性が失われると起こる症状
本来の欲求を押し込め続けると、
心身には次のようなサインが出てきます。

やりたいことが何も思いつかない
気持ちが無になりやすい
感情が鈍い・涙が出ない
不安が増える
うつのような落ち込み
眠れない・眠りが浅い
疲れが取れず、朝がつらい
自律神経の乱れによる身体不調
欲求の断絶は、心が弱っているサインでもあります。
それはあなたが“壊れてしまった”のではなく、
ずっと無理を続けてきた証拠 なのです。

今日の問い:
もし自由に選べるなら、何をしたいと感じるだろう?
この問いは「やりたいことを見つける」ためのものではありません。
あなたの内側に眠っている欲求に
“そっと光を当てる” ための問いです。

・何が心地よい?
・何をしたらホッとする?
・何に惹かれる?
・何を避けたい?

この小さな問いかけは、
閉じてしまった感性を優しく揺り戻す鍵になります。

よくあるこころのQ&A ― 欲求の断絶で苦しむ心へ
Q1:何をしたいのかわからず、空っぽな気がします。
空っぽなのではなく、心が疲れ切っているのです。
疲れた心は「感じる」ことより「守る」ことを優先し、
感性を一時的に凍らせます。

その凍りつきは、あなたを守ってきた力でもあります。
責めずに、少しずつ温めていけば大丈夫です。

Q2:好きだったものが急に楽しめなくなりました。
それは“あなたが変わった”のではなく、
「心が回復にエネルギーを使っている」ためです。

不安・うつ状態・慢性疲労・不眠などが続くと、
心は「楽しむ余力」を失ってしまいます。
まずは休息が必要なサインです。

Q3:本音がわからないのはおかしいですか?
おかしくありません。
むしろ、多くの優しい人・HSP気質の人が経験することです。

本音は“感じる安全”が戻ると自然に浮かび上がってきます。
無理に探そうとしなくて大丈夫です。

Q4:創造性が失われた気がして不安です。
創造性は能力ではなく、
「心の余白」と「安心」から生まれるものです。

焦りは創造性を閉じます。
あなたを責める必要はありません。
ゆっくり回復すれば、創造性は必ず戻ってきます。

Q5:欲求がわからないままでも、生きていけますか?
生きていけますが、
「生きやすさ」は少し失われます。

欲求を知ることは、
あなたの人生の“ナビゲーション”を取り戻すこと。
なくしたまま生きる必要はありません。
ゆっくり取り戻すことができます。

カウンセリングで「本来のあなた」へ戻るプロセス
Amazing Grace のカウンセリングでは、
欲求・感性・創造性が見えづらくなっている方と
ゆっくり対話をしながら、
心の奥に眠っている“本来のあなた”を取り戻すお手伝いをしています。

・無理に答えを探す必要はありません
・言葉にならなくても大丈夫
・沈黙も、大切な感性のサインです

あなたの心が安全を感じるとき、
人は自然と欲求を取り戻します。
そのプロセスに寄り添うことが、カウンセリングの大切な役割です。

最後に ― 欲求や感性が見えなくなるのは、あなたのせいではありません
もし今、
不安・無気力・うつのような落ち込み、
眠れない、感情が動かない、
何をしたいのか分からない――
こんな状態が続いているなら、それは
「心が限界まで頑張ってきた」
という深いサインです。

あなたは壊れていません。
ただ、心が少し疲れすぎているだけなのです。

欲求や感性は、
心が安心できる場所に触れたとき、
必ずゆっくりと戻ってきます。

Amazing Grace は、
あなたが“本当の自分”に戻るその過程に
静かに寄り添い続けます。

どうかひとりで抱え込まなくて大丈夫です。
あなたの心が再び、自然に、美しく動き始めるよう
そっとお手伝いさせてください。

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内田梓
専門家

内田梓(メンタルヘルスカウンセラー)

Amazing Grace

発達障害、摂食障害、不登校から「やりたいことや気持ちをコントロールできない」といった悩みを抱える方まで、幅広いカウンセリング実績を持つ。数々の現場や理論で深めてきたカウンセリング術に定評がある。

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