「頭の中が忙しすぎる」その疲れは、身体感覚を置き去りにした心のSOS

内田梓

内田梓

テーマ:人間は生き物、心と自然

「頭の中が忙しすぎる」その疲れは、身体感覚を置き去りにした心のSOS

現代に生きる私たちは、とても“頭”を使う生活をしています。
仕事でも、学校でも、人間関係でも、
何かと「考えること」が求められ、
思考のスイッチが常にオンになり続けています。

ですが本来、人間は“生き物”として、
思考だけでなく 身体感覚と心のリズム の両方で生きる存在です。

身体が感じるサイン――
「疲れている」「眠い」「痛い」「呼吸が苦しい」「張りつめている」
こうした小さなシグナルに耳を傾けることは、本来の私たちの自然な生き方でした。

ところが現代は、
思考が常に前に出る生活になりすぎたことで、
身体の声が聞こえなくなってしまう人が増えています。

身体の声が聞こえないと、心は深く疲れていく

身体のサインを無視して生き続けると、
心身に次のような変化が起きやすくなります。

頭が働きすぎて眠れない
不安で考えが止まらない
呼吸が浅くなる
肩や首がずっと張っている
常に緊張している感覚がある
疲れが取れない・朝がつらい
うつのような落ち込みが続く
自律神経が乱れやすい

これは「考えすぎているから疲れている」のではなく、
“身体の声を置き去りにしているから心が苦しくなる” のです。

身体感覚は、生き物としての私たちにとって最も大切なナビゲーション。
そこに蓋をしたまま思考ばかりが働くと、
心はどんどん不安定になってしまいます。

なぜ、思考ばかりが優位になってしまうのか?

その背景には、社会の中での過剰な要求があります。

・早く答えを出すことが正しい
・ミスしないことが偉い
・感情より理性が大切
・効率が最優先
・弱音を言わないのが大人

こうした価値観の中では、
身体の声より「考えて動くこと」が最優先されてしまいます。

ですが、身体は嘘をつけません。
無理をすれば必ずサインを出してきます。

そのサインを“思考の力”でねじ伏せ続けると
心と身体は完全にバラバラになり、
不安・睡眠障害・自律神経の乱れ・慢性的疲労などにつながっていくのです。

今日の問い:
私は最近、身体の声をどれくらい聴けているだろうか?

この問いは、あなたの心をやさしく身体へ戻す入り口になります。

・朝起きたとき、身体は軽かった?重かった?
・眠気を感じたとき、すぐに“頭”で我慢していない?
・お腹は空いている?いない?
・緊張していない?肩が固まっていない?

身体の声を聴けるようになると、
心はそれだけで落ち着き、不安が静まり、
深い呼吸が戻ってきます。

よくあるこころのQ&A ― 「身体感覚が戻らない」悩みへのやさしい答え
Q1:考えすぎてしまい、頭が止まりません。

それは「思考で生きすぎてきた」サインです。
頭を止める必要はなく、
身体のほうへ意識を戻すこと が大切です。

深呼吸をひとつする。
肩の力を抜く。
手の温度を感じる。
足の裏の感覚を確かめる。

こうした“身体に戻る小さな行動”が、
思考の暴走を静かに止めてくれます。

Q2:身体の声を聴こうとしても、何も感じません。

長い間、身体感覚を置き去りにしてきた人ほど、
最初は感じられなくて当然です。

感じない=悪い
ではなく、
「まだ凍っているだけ」です。

安心できる環境にいる時間が増えるほど、
身体感覚はゆっくりと戻ってきます。

Q3:疲れているのに休めません。

それは思考が身体より強く働いている状態。
「休んではいけない」という思い込みが、
身体の声をかき消してしまっています。

休めないあなたが悪いのではなく、
“これまで生きてきた環境がそうさせた”だけなのです。

Q4:不安が強く、身体の緊張が取れません。

不安は身体が先に感じ、
思考が後から理由を探します。

つまり、
「不安=心の問題」ではなく
「身体の反応が先に起きている」 のです。

身体の緊張をゆるめることで、
不安は必ず弱まります。

Q5:眠れないのは、身体の声と関係がありますか?

大いにあります。
眠れない、途中で起きてしまう、朝がつらい――
これらはすべて、自律神経が“身体の声より思考が優位になっている”サイン。

思考のスイッチを切るためには、
身体に戻る習慣が何より効果的です。

カウンセリングで「身体と心をつなぎ直す」お手伝いをしています

Amazing Grace のカウンセリングでは、
「身体感覚を取り戻すこと」をとても大切にしています。

・呼吸の深さ
・身体の緊張
・姿勢や力の入り方
・感情が動いたときの身体の反応
・安心したときに起きる小さな変化

こうしたサインを一緒に確かめながら、
思考だけに偏っていた心を、
生き物としての自然なバランスへと戻していきます。

最後に ― 心が苦しいときは、いつも身体が知らせてくれています

もし今、
不安で落ち着かない、
頭が止まらない、
眠れない、
疲れが取れない、
うつのような落ち込みが続いている――
そんな状態があるなら、
それは“身体の声が置き去りになっているよ”というサインです。

あなたが弱いからではありません。
むしろ、ずっと頑張り続けてきた証です。

身体の声に少し戻るだけで、
不安は弱まり、
呼吸は深まり、
心は静かに整いはじめます。

Amazing Grace のカウンセリングでは、
その“戻るための小さな一歩”を、
あなたのペースで一緒に見つけていきます。

どうかひとりで抱え込まないでください。
自然のようにあたたかく、やさしく、
あなたが本来のリズムを取り戻せるよう寄り添っていきます。

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内田梓
専門家

内田梓(メンタルヘルスカウンセラー)

Amazing Grace

発達障害、摂食障害、不登校から「やりたいことや気持ちをコントロールできない」といった悩みを抱える方まで、幅広いカウンセリング実績を持つ。数々の現場や理論で深めてきたカウンセリング術に定評がある。

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