ほととぎす
3日の夕方から活けて、5日の夕方に撤花して今年の県華道展は終わりました。
会場においでくださった皆さんありがとうございました。
3日の、活けて帰りの車に遠鉄百貨店の女性の方から電話が入りました。
あわてている様子。
たいへんです。水が漏れていて、たいへんです。
え、え~
これはたいへん。でももう引き返せない。
水を半分くらいにして様子を見てもらうことにしてもらって、
明日早く伺いますということにしてもらい、あれこれ考えながら家路につきました。
活けなおすしかないかな。
昨日家の床の間に活けたときにも、会場で生けてる最中にも水漏れはなかったはずだけれど、
なにせ古い器だから、最後に少し傾きを直したときに花配りに力がかかりヒビが入ってしまったか。なんて考えたり。
でも活けなおす覚悟で、代わりの花器を用意しました。
器を変えて活け替えることは花配りの様子も変わるので、実は容易なことではないのです。
しかも活けた材料は、野生の山取りした柊、太い枝の癖を直したりするのは短時間では難しい。
翌朝、朝から車を飛ばす。朝の手直し時間はしょうみ40分しかありません。
今日の予定はすべてキャンセル。申し訳ない。
遠鉄の通用口から入って大急ぎで8階の会場へ。
作品の周りにはたくさんのタオルが置いてあって対応してくれた人たちの苦労が伝わります。
なにせ生け花作品を傷めずに満杯に貼った水を半分まで抜くことは慣れない人たちにとって大変なことだったろうと思うのです。
ご苦労ご心配をおかけしました。
会場係の人が早速やってきました。
だいじょうぶですか?
いえ、解りませんが活け替える覚悟で今準備してます。
たいへんですね。でもお願いします。とそそくさと立ち去って行きます。
あまりかかわりたくないよね。
器にヒビが入った様子でもない。水は半分くらいでもう水漏れはしていない。もしかしたら9分目くらいまでは大丈夫かもしれない。
水を少しづつ足しながら、だとしたら水を満杯にしないでこのままいけるかもしれない。
と、楽な道を考えながら、様子を見ながらあれこれやっていると、
次から次へ遠鉄の皆さんがやってくる。
どうですか?
大丈夫そうですか?
ええ、どうやら水を満杯にしなければこのままいけそうです。
なんて話をしながら、ついに水が漏れるところまで来た。
たらあ~と水が漏れ始めた。
9分目くらいのところにどうやら穴が開いてるらしい。
よし、このままいこう。
本来花を生け終わったら、器の上縁ぎりぎりまで水を貼りたいんです。
水際からすっくと花が立ち上がるみずみずしくもきりりとした立ち姿を大切にしているので。
でも、今回は勘弁してもらおうと勝手に決めて、
器の9分目の水で、作品は皆さんに観ていただくことにしました。
実は花配りが大きくてまっすぐなものが手に入らず、少し曲がっていたので、水中に沈めてしまいたいと思っていたのですが、これはもう仕方がないと諦めました。
作品は野にある柊の荒々しい勢いを生かした姿になったと思います。
こういう生け花もあるんです。
いかがだったでしょうか?
遠鉄百貨店の花展会場の皆さん、本当にご迷惑をおかけしました。
ありがとうございました。
これからはもっと気をつけます。
というわけで、今回の作品のドタバタのてんまつでした。
宏道流 男のいけばな