無窮洞 シェルター
佐世保の無窮洞に向かう。
入り組んだ入り江を縫うように道は続く。
この入り江の先にも旧海軍の特攻基地があったんだよと、案内してくれるT氏が言う。
旧海軍の苦肉の策、人命無視のベニヤ板で作った特攻兵器、小さなモーターボート。
その訓練所とか、ボートが隠されていた入り江があちこちにある。
ここは日本列島の最西端の街、沖縄の次に米軍が進行してくるのは間違いなく軍都佐世保。
無窮洞のことを帰ってから考えていた。
小学生をまとめて収容できるようなシェルターをどうしても学校の先生も地元の人々も欲しかったに違いないと思うのは当然なのだと。
ここは軍都佐世保。海軍の特攻基地の街。
米軍の集中的攻撃が間違いなく行われる街。
小学校の校長先生は
子供たちの手で裏の岩山をくりぬいて大きな洞窟を掘ろうと考えた。
子供たちの手でコツコツと硬い岩盤を掘り進む。
子供たちの命だけは守らなければならないと、みんな思ったに違いない。
無窮洞はこうして作られ、だから尊い。