レトロ流し台の製作
雨楽な家で「すのこ天井」と名付けた天井。
杉板を目透かしで天井に貼る。隙間から天井裏が見えることをあえて隠さない。
また板の木口を見せて張ってある木の厚みと、質感を強調させることを考えた。今からちょうど20年前のこと。以来多くの工務店にその手法を伝え、自らもいろいろな場面で使ってみながら改良を重ねてきた。
今回およそ20メートル、スパン3メートルのエントランスホールのすべてをこのすのこ天井で仕上げることにした。面積が多きいので、少し板幅に変化を加えたりして単調になるのを抑えた。
一度紙を張った天井のその下に杉板を浮かせて貼ると言うと大工さんたちは驚いた。板の幅、隙間の幅、すべてに検討を加えてその仕事にかかった。すのこ天井を張る大工職人のシルエットを見てほしい。どんなことになるやらとおそるおそる作業を進める彼らに、大丈夫だからどんどん大胆ににやってくれとハッパをかけた。
そして出来上がったかつてない面積のすのこ天井は、今までのすのこ天井のすべてを超越した存在として私の目の前に現れた。
お施主様が、これは一つの美術的表現ですね、と言われた。
多くの人に見てもらいたいが、これは個人住宅。簡単にお見せできないのが残念。
個人で一つの美術を所有する喜びは、持つことができた者だけの喜びなのです。
駆け込み天井と言ってもいいと思います。
お茶室の天井の表現の一つです。