音楽が組織に与える影響【コンサルの視点21】

「資料はすべてお送りします。」
経営相談を受ける際、このように言っていただくことがあります。
決算書や試算表、組織図、事業計画書。どれも経営を考える上で大切な資料です。
私は、それらを丁寧に読み込みます。しかし、それだけで助言をすることはありません。
できる限り会社へ伺い、現場を見るようにしています。
なぜなら、会社は資料だけでは分からないことが、あまりにも多いからです。
工場へ入ると、整理整頓の状態から仕事の進め方が見えてきます。事務所では、社員同士の会話や電話応対から、職場の雰囲気が伝わってきます。店舗では、お客様を迎える空気や、スタッフの動き方に、その会社らしさが表れています。
もちろん、現場を一度見ただけですべてが分かるわけではありません。しかし、数字や資料だけでは見えてこない「違和感」を感じることがあります。
例えば、「忙しい」と聞いていた会社なのに、現場にはどこか余裕がある。逆に、「順調です」と言われていた会社でも、社員の表情がどこか硬い。
その違和感は、資料には決して書かれていません。経営とは、人がつくるものだからです。
数字の裏側には人がいます。商品をつくる人。お客様と向き合う人。会社を支える人。そして、決断を下す経営者がいます。
その姿を見ないまま、数字だけを見て経営を語ることは、私にはできません。
現場へ行くと、経営者も気付いていなかったことが見つかることがあります。
「そういえば、この動線はずっと不便でした。」「この仕事は、いつの間にか当たり前になっていました。」「誰も疑問に思わなくなっていました。」そんな一言から、改善の糸口が見つかることも少なくありません。
現場とは、問題を探しに行く場所ではありません。会社の強みを見つけに行く場所でもあります。
社員の何気ない一言。長年続いている仕事の工夫。お客様との自然なやり取り。それらは、その会社が積み重ねてきた財産です。
私は、経営改善とは、新しいものを持ち込むことだけではないと思っています。
すでに会社の中にある価値を見つけ、それを経営者と一緒に言葉にしていくことも、大切な仕事です。
だから私は、今日も現場へ足を運びます。資料を確認するためではありません。その会社で働く人たちの思いや工夫、そして数字には表れない空気を感じるためです。
経営の本質は、会議室の中だけでは見えてきません。
会社の日常の中にこそ、次の一手につながるヒントが隠れていると、私は考えています。


