<引き算コーチングの核心>コーチングで、何を引き算するのか?
こんにちは、サポートコーチ出雲の山根浩二です。
コーチングというと、「大きな目標を決めて、
そこに向かって行動していく」というイメージがあるかもしれません。
私のコーチングでも、もちろん大きな目標は扱います。
例えば、「10年後にはこうなっていたい」とか、
「この事業をこんな状態にしたい」とか。
そういう大きな目標を最初に描いて、そこに向かって進んでいく。
これは大事なことです。
ただ、毎回のコーチングセッションで、
その大きな目標の話だけをしているかというと、実はそうでもありません。
むしろ、
「最近、ちょっと気になっていることがあって……」
というところから始まることも結構あります。
「お客様からこう言われたんですけど、どうしたらいいか分からなくて」
「スタッフとのことで、ちょっと引っかかっていて」
「新しい仕事を受けようかどうか迷っていて」
「この前のあの件が、どうも気になっているんですよね」
……まあ、経営をしていると、そういうことってありますよね。
大きな目標とは直接関係がないように見える、小さな問題や悩みです。
でも、私はこういうこともコーチングセッションで扱っていいと思っています。
というより、むしろ扱ったほうがいい場合がある。
なぜかというと、目の前の問題を抱えたまま、
大きな目標に意識を向けるのは、なかなか難しいからです。
頭では、
「1年後の目標に向かって頑張ろう」
と思っていても、頭の片隅には、
「あの問題、どうしよう」
が残っている。
仕事をしていても、ふとした瞬間に思い出す。
別の仕事をしていても、なんとなく気になる。
そうすると、本来集中したいことに、
100%の精神エネルギーを注ぐことができません。
だから、私のセッションでは、最初に、
「今日は何をテーマに話しましょうか?」
と聞くことがあります。
そこで、
「今日はこれについて話したい」
と明確になっていれば、そのテーマについて話します。
でも、
「いや、特にこれといったものはないんですよね」
という日もあります。
私は、それでも全然いいと思っています。
そういうときは、最近気になっていることを話してもらったり、
「最近、何か変わったことはありました?」
みたいなところから、普通に会話をしていく。
すると、話しているうちに、
「あ、そういえば、これがちょっと気になっていたんです」
と、テーマが出てくることがあります。
最初から「今日の課題はこれです」と明確になっていなくてもいい。
話しているうちに、
「これ、ちょっと考えてみたいな」
「ここを整理したいな」
というものが本人の中から出てくれば、それをテーマにしていけばいい。
私は、こういう自然な流れもコーチングの大事なところだと思っています。
そして、そこで出てきた小さな問題を、一つずつ整理していく。
「何が気になっているんでしょう?」
「本当はどうしたいんでしょう?」
「何が問題になっているんでしょう?」
「他に方法はないでしょうか?」
そんなふうに話していると、意外と、
「あ、こうすればいいのか」
と答えが見つかることがあります。
すると、その問題をずっと頭の中で考え続ける必要がなくなる。
これが、私は「引き算」なんじゃないかなと思っています。
何か新しいことを足すのではなくて、
今、自分の中に残っている「気がかり」を一つ減らす。
それだけでも、結構違います。
経営者は、考えなければいけないことがたくさんあります。
売上のこと。
お客様のこと。
スタッフのこと。
お金のこと。
家庭のこと。
これからの事業のこと。
そして、自分自身のこと。
一つ一つは、それほど大きな問題ではないかもしれません。
でも、それが5個、10個と頭の中に残っていると、
知らないうちに精神的な負荷になっている。
「そういえば、あれもやらないと」
「あれも気になっている」
「まだこれが終わっていない」
そんなことを頭の中でずっと持っているだけで、
エネルギーは使われていると思うんです。
だから、小さな課題を解決する。
一つ気がかりが減る。
また一つ減る。
そうすると、少しずつ頭の中に余白ができる。
その余白ができることで、
本来向かいたかった大きな目標に、
もう少しエネルギーを使えるようになる。
私は、これもコーチングの役割だと思っています。
大きな目標を追いかけることだけが、
目標達成のための行動ではない。
ときには、その前にある小さな問題を一つ片づける。
その問題がなくなることで、前を向きやすくなる。
そして、また大きな目標に向かって進んでいく。
そう考えると、コーチングセッションで
「今日は何を話しましょうか?」と聞くことも、
実は結構意味があるんですよね。
その日に本人が気になっていることを扱う。
必要なら、こちらからテーマを提案する。
あるいは、何気ない会話の中からテーマを一緒に見つける。
そして、考えて、整理して、必要なものを残して、
必要のないものを手放していく。
その結果、
「これでいいな」
と思える状態になる。
私は、引き算コーチングというのは、
何かを減らして終わりではないと思っています。
余計なものを減らすことで、 本当に大事なものにエネルギーを使えるようにする。
大きな目標に向かうために、
いつも大きなことをしなければいけないわけではありません。
もしかすると、
「ずっと気になっていた小さな問題を、一つ解決する」
ことが、次の大きな一歩につながることもある。
だから私は、経営者の頭の中にある
「気がかり」を、一つずつ引き算していく。
そうやって少し軽くなった状態で、
「では、本当にやりたいことに、もう一度エネルギーを使っていきましょうか」
と、大きな目標に戻っていく。
そんなコーチングも、私は大切にしています。


