自己肯定感をあげたい人へ
「気にしすぎかもしれませんが……」が口癖になっていませんか?
誰かに何かを伝えるとき、あなたはこんなふうに話し始めることはありませんか?
・「この人に良いところはあるんですけど......」
・「自分が気にしすぎかもしれないんですが......」
これは決して間違った言い方ではありません。むしろ、相手を思いやるやさしさがにじむ言葉です。
でも、そのやさしさが、あなたの本当の思いを伝える邪魔をしているとしたら......?
やさしい人ほど「遠回し」にしてしまう理由
人との関係を大切にす人は、相手を否定したり、相手を傷つけたりすることを避けようとします。
・「こんなこと言ったら、悪く思われるかも」
・「注意したら関係が悪くなるかもしれない」
・「相手にも事情があるかもしれないし......」
そんなふうに考えて、言いたいことを少しずつやわらげ、角を取った言葉にしていくうちに、本音が見えなくなってしまうのです。
遠回しな言い方が招く、すれ違い
例えば、職場のチームで仕事がやりにくい同僚がいたとします。
あなたは上司にこう伝えます。
「Bさんにもすごく頑張ってるところがあると思いますし、私が細かすぎるのかもしれませんが......最近、進め方で少し戸惑うことがあって......」
この言い方は、相手に対する敬意や配慮が込められていて、とても丁寧です。
でも、上司には「困っている」「改善してほしい」という本音が伝わりにくく、結局、何も変わらないまま。
あなたが勇気を出して伝えたつもりでも「伝えたかったこと」が届かないのです。
【子育て編】やさしい親の「言いづらさ」
本当は伝えたいのに、やさしさがすれ違いを生む
子育ての場面でも「やさしさ」が原因ですれ違いが起こることがあります。
例えば、子供が何度言っても忘れ物をする。
親としては「ちゃんと準備をしてほしい」と思っているのに......
「もう少し気をつけてくれると助かるんだけど......」
「ごめんね、何度も言っちゃって......ママがしつこいよね」
と、つい柔らかい言葉になってしまう......。
でも、子どもにはその“本気度”が伝わらず、忘れ物は減らないまま。結果として、親はまたイライラし「なんで伝わらないの?」と自分を責めてしまう……。
「子どもにまで気を使うの?」と思われるかもしれませんが
実は、こうした“やさしすぎる伝え方”をする親御さんは、現代では少なくありません。特に、以下のような背景や思いを抱えていることが多いのです。
・過去に厳しく育てられた経験がある
「自分が親から怒られてばかりでつらかったから、子どもにはやさしく接したい」という反動から、強い言い方を避けるようになります。
・子どもが繊細な性格(HSCなど)
注意しただけで落ち込んだり、自己否定におちいったりする子どもを見て「これ以上傷つけたくない」という思いから、あえてやわらかい言葉を選ぶようになるのです。
・不登校や発達の特性など、敏感な課題を抱えている
子どもが心を閉ざさないようにと、親が言葉選びに非常に慎重になっている場合もあります。
・「いい親でいなければ」というプレッシャー
感情的に叱ってしまった自分を後で強く責めてしまう人ほど「ちゃんと伝えたいのに言えない」というジレンマを抱えやすくなります。
親のやさしさは、間違っていない
このようなやさしさは、決して間違っているわけではありません。むしろ、子どもを大切に思う気持ちのあらわれです。
でも、本当にしてほしいことが伝わらず、親もストレスを抱えたままでは、やさしさが“自己否定”や“我慢”に変わってしまいます。
やさしさを保ったまま「伝える」ために
子どもに対しても「私はこう感じた」という自分主語の言い方が有効です。
・NG:「ちゃんと準備してって言ったでしょ」
・OK:「忘れ物があると、ママは学校のことが心配になっちゃうんだ」
・OK:「時間に間に合わないと、私はイライラしちゃうの。どうしたら準備できるかな?」
これは、叱るのではなく、“共有”の言葉です。子どもは「責められている」と感じにくく、親の気持ちを理解しやすくなります。
子育ても、人間関係も「やさしさ+少しの勇気」で変わっていく
やさしい親ほど「言いすぎて傷つけたくない」「嫌われたくない」という思いが強いもの。
でも、本音を伝えられないまま関係が続くと、親も子もどこかで息苦しさを感じてしまいます。
伝え方を工夫すれば、やさしさを失わずに、本音を伝えることは可能です。
その第一歩は「私は、こう感じている」と言葉にすること。それは、あなた自身を守るためのやさしさでもあります。
言いづらい本音を、やさしく・でも伝わるように話す5つの方法
ここからは、あなたの本音を相手に伝えるための「処方箋」をお届けします。
1. 主語を「私」にする
遠回しではなく、でもやさしく伝えるには「私は〜と感じています」という主語で話すのが効果的です。
・NG:「あなたのやり方が良くない」
・OK:「私は、やり方が分からなくて困ってしまうの」
「私」を主語にすることで、相手を責める印象が薄まり、共感されやすくなります。
2. 事実と感情を分けて伝える
「何があったか」と「どう感じたか」を分けて話すと、相手も理解しやすくなります。
「今週3回、報告の締切が守られていなかったので、私は次の作業に遅れが出て焦ってる」
ポイントは「〜されたから不快だった」ではなく、自分の感情に焦点を当てることです。
3. 具体的に伝える
曖昧な表現では伝わりません。「どの行動が」「いつ」「どれくらい」困っているのかを明確にしましょう。
「もう少し」「頑張って」は曖昧
「毎朝8時までに準備を終えてほしい」は具体的
4. 改善策を一緒に考える
伝えるだけで終わらず「こうしたらどうかな?」と提案を添えると、対話が生まれやすくなります。
「毎週金曜に、来週の予定を一緒に確認しませんか?」
改善案があることで、相手も「協力したい」と思いやすくなります。
5. 言うタイミングと方法を選ぶ
焦っているとき、怒りの感情があるときは、伝え方がきつくなってしまいがちです。
時間・場所・方法を選びましょう。
・対面で静かな時間に
・LINEやメッセージで先に気持ちだけ伝える
・メモにして渡す
どんな方法でも構いません。伝える努力こそが、やさしい人の強さです。
まとめ:やさしさの中に、ほんの少しの勇気を
「やさしさ」は、素晴らしい力です。
でもそれが、あなた自身を苦しめることもあります。
本音を伝えるのは、決して“わがまま”ではありません。それは「自分を大切にする」というやさしさのもう一つの形。
どうか、あなたの気持ちを伝える勇気を持ってください。その声は、きっと誰かの心に届き、関係をよりよくする第一歩になります。




