自分の居場所が見つからず寂しさを感じるとき
「身勝手な母親に育てられた」
この言葉には、深い痛みと重みがあります。
もしかしたらあなたは、その言葉の裏にある寂しさや怒り、戸惑いを自分の心の奥に長い間抱えてこられたのではないでしょうか。
子どもにとって親は、世界そのもの。特に母親は、最初に出会う「愛の形」を象徴する存在です。だからこそ、その愛が不安定であったり、自分本位であったりしたとき、心には見えない傷が残ることがあります。
子どもが受ける影響とは?
そうした環境で育った子どもは、どのような心の影響を受けやすいのでしょうか。優しく言葉にすると、次のようなことが挙げられます。
1.自己肯定感の低下
自分勝手な親は、ときに子どもの感情より自分の欲求を優先することがあります。すると子どもは「自分の気持ちは尊重されないのだ」と感じ、自分自身の価値を信じる力が育ちにくくなります。
2.他者への信頼感の希薄さ
本来安心できるはずの親との関係で傷つくと「人は信じても裏切られる」「どうせ受け入れてもらえない」という思い込みが心に根を張ってしまうことがあります。
3.過度な自己抑制、または反発
親に気を使いすぎて自分の感情を押し殺す子もいれば、逆に反抗的な態度をとることで自分を守ろうとする子もいます。どちらも「本当の自分を出しても大丈夫」という感覚を持つのが難しくなってしまのです。
でも、これは「運命」ではありません
ここでお伝えしたい大切なことがあります。
確かに、過去の経験は心に影響を与えます。でも、それがあなたの「運命」になるわけではありません。大人になった今、私たちは自分の過去を見つめ、癒し、そして自分自身を新しく育て治す力を持っています。そしてもし今、あなたが自分の育ちに痛みや疑問を感じているなら、それは「自分を大切にしたい」というサイン。あなたの心が、変わりたいと静かに願っているかもしれません。
支えはあなたのそばにあります
心の傷を癒すのは、一人では難しいこともあります。そんなときは、信頼できる支援者やカウンセラーの力を借りることも、大切な選択肢のひとつです。話すこと、理解してもらうこと、そして一緒に心を整理していくことで、人は少しずつ回復していきます。
あなたが感じてきた痛みは、簡単に言葉で言い表せるものではないと思います。「意味がある」とか「これからが大事」といった言葉では、すぐには届かない日もあるかもしれません。
だからこそ、まずは「つらかったね」「今もつらいね」と、その気持ちをそのまま大切にして欲しいのです。何もできなくても、ただ「しんどい」と感じているあなたの存在に、ちゃんと意味があります。
無理に前を向こうとしなくても大丈夫。そのままで、十分に頑張ってきたことを、どうか忘れないでください。
そして、もしも少しずつ心がほぐれてきたとき、そのときにはじめて「これからどう生きたいか」を考えればいいのです。
あなたは、ひとりではありません。この世界のどこかに、あなたの痛みを分かってくれる信頼できる支援者が、きっといます。



