メモリ不足は2027年に深刻化、2030年以降も供給不足が続く見通し

古賀竜一

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テーマ:ITで今起きている問題と課題


思った以上に深刻なDRAM不足

ロイター通信 2026年7月11日
「SKハイニックスのCEOは、2027年にメモリ不足が深刻化し、2030年以降も需要が供給を上回るとの見通しを示した。」
https://www.reuters.com/world/asia-pacific/sk-hynix-ceo-sees-worst-ever-memory-supply-shortage-2027-says-demand-outstrip-2026-07-10/


DRAMの価格高騰が続く中、極めて悲観的なニュースが入ってきました。

2030年までは価格が高止まりするような予測であり、これまで「高騰は一時的なものだ」と高をくくっていた楽観論を一蹴する情報となっています。

現在、主要メモリメーカーの製造ラインは、AIデータセンターで使われる超高付加価値メモリ「HBM」の生産に最優先で割かれています。

そのため、私たちが普段使用する一般的なDRAM(DDR4やDDR5)の生産枠自体が削られており、市場全体で供給不足に拍車がかかっています。

こうした状況から、IT業界では今回のメモリ不足への対策として、あえて旧規格のメモリを採用したシステムや、DDR4対応製品の継続供給・継続採用しようとする動きも出ているようです。

確かに、一般的な事務処理やゲーム用途であれば、DDR5とDDR4のパフォーマンス差は体感しにくいレベルにとどまるケースが多く、YouTubeなどの検証動画でもその点が取り上げられています。

メモリ価格の現状

現在のメモリ価格は、以下の3点から見ても割高な水準で推移しています。

1.生産コスト
2.製品自体の付加価値
3.機能的生産性の価格転嫁

AI需要へのシフトの他にも、ホルムズ海峡の緊迫化の影響も加わり、メモリメーカーの製造コストを大きく押し上げています。

それによって一般PC向けのDRAM製造枠がしわ寄せを受ける形となっています。

特にDDR4などの枯れた規格は、本来であれば成熟期(終盤)を迎えて安価に手に入るはずですが、主要メーカーの減産によって需給が逼迫し、予想に反して高値で取引されています。

ローカルAIがDRAM不足に拍車をかける?

現在、PC市場では、AI(人工知能)の処理に特化した専用プロセッサであるNPU(Neural Processing Unit)を搭載した「AI PC」が次々と登場しています。

特にローカル環境で動作するAI(ローカルLLM)は、セキュリティや個人情報保護の観点から、企業などを中心に導入が進んでいます。

このローカルLLMを動かすには、専用プロセッサだけでなく、相応のメモリ容量と「速度」が必要です。

従来のクラウドAIであれば、AIサービス側が計算した結果をネットワーク経由で受け取るだけなので、極端に言えばブラウザさえ動いていれば端末のスペックは問いませんでした。

しかし、ローカルLLMはデバイス側で膨大な計算を行うため、データを内部展開するメモリの容量が大きいほど快適になります。

さらに、AIの処理速度(トークンの生成速度)はメモリの転送帯域に直結するため、ローカルAI運用においてはDDR4とDDR5の性能差が顕著に現れます。

今後、ローカルLLMの普及が本格化すれば、PC1台あたりに求められるメモリ容量(本格的なローカルLLMでは32~64GB以上が推奨されるケースが多い)が必要となります。普及が進めばDRAM不足にさらなる拍車がかかる可能性があります。

特に大容量・高速なメモリは、今後非常に高額で推移する可能性が高いでしょう。

AI利用者はメモリの市場動向にも注意

以上のように、今後はメモリに関する動向を注視し、AIによる作業環境の維持・確保に努める必要があります。

特にメモリの故障など、万が一のトラブルが発生した際、これまでのようになんとか片肺飛行(※2枚挿しているメモリの片方が壊れても、残った1枚だけでだましだまし動かすこと)でしのぐということ自体が難しい状況になることが予想されます。

最悪の場合、必要な容量のメモリが市場でそもそも手に入らないという事態も現実味を帯びてきます。

安定したAI運用環境を維持するためにも、企業や長期運用を前提とするユーザーは万が一に備えて予備のメモリ(特に高速なDDR5など)をあらかじめ手元に確保しておくことが、これからの自衛策として重要になるかもしれません。

筆者実績:http://www.kumin.ne.jp/kiw/#ss

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