初心者以外も気を付けたい、不適切な略語や使い方で意味が違ってしまうIT用語

古賀竜一

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テーマ:専門家からの提言と考察


●IT用語には略語やカタカナ語が非常に多く覚えるのもなかなか大変で、馴染みも薄くなりがちです。ですから間違った使い方をしたり意味をよく理解しないで使われていることがサポートの現場でもたびたびあります。IT用語は正しく使わないと、勘違いや間違いが原因で様々なトラブルに発展してしまうことがあります。

●今回はどんなIT用語に気を付ける必要があるのか、いくつかご紹介します。

HDDをHD

●"HDD"はHard Disk Driveの略でハードディスクドライブのこと。通常は"HDD"でIT業界でも統一されているようです。それを"HD"と省略して使ってしまうのを良く見かけます。"HD"とはIT業界では高画質表示の事を指します。"HD動画"だとか"HD画質"という風に使います。ハードディスクのことを示す場合は面倒でも"HDD"とした方が良いでしょう。

ハードディスクをハード

●ハードディスクドライブ(HDD)は「ハードディスク」と縮めて言う場合がありますが、それはOKです。ところが"ハード"と言って略しすぎる人がいます。単に「ハード」と言ってしまうとソフトウェアに対してのハードウェア、つまり機械、機器全般を指してしまうのでIT業界ではハードと略して使うことはありません。

●また、画面と本体が別になっているセパレート型のデスクトップパソコン本体のことを指して「ハード」と言う方もいます。間違いではないですが、意味が散逸して訳が分からなくなってしまいますので、普通に「パソコン本体」と言うのが正しいです。

WebサイトをHP

●ネットの黎明期はホームページを持つことが一種のステイタスであり、流行のようにもなりました。最近ではインターネットコンテンツもブログやSNSなど様々なものが出現して"ホームページ"そのものの存在感が薄くなってきています。また、あまり「ホームページ」とはいわれなくなってきました。TVCMでも「詳しくはWebで」というのが主流になっています。

●今でも自己のサイトの事を"HP"と名刺などに表記する人がいますが、HPと言うとPCメーカーのHP等もありますので混同の可能性もあります。

●IT業界では"Webサイト"、"Webページ"が主に使われていて、名刺などに自己のWebサイトアドレスを表記する場合にはHPではなく "URL"とするのが一般的です。

LANをラン

●"LAN"とはローカルエリアネットワークの略で、ルータ以降でルーティングされたネットワークのことを言います。無線LANとか有線LANとか言いますが、たまにカタカナで"ラン"と検索したり問合せで表記してあったりするのを見かけます。業界では「ラン」というようなカタカナでは表記しません。

●必ずしもいけないというわけではありませんが、初心者でもないのに質問などで"ラン"と書くと専門家は条件反射的に"超初心者"(一から説明が必要なサポート対象)として認知してしまいます。できるだけ"LAN"と表記した方が良いと思います。

●IT業界ではイーサネットという場合もあり、ギガビット規格のLANのことを"ギガイーサ(GbE)"と言ったりします。

外部保存を「バックアップ」と言ってしまう

●USBメモリやUSBハードディスクなどにデータを保存して使用している方がかなりいると思います。USBメモリからデータが出てこないというサポート依頼で良くあるのが、このような外部記憶領域に保存すればそれが「バックアップ」だと思っている人が多いことです。

●これは実際にあったサポートの事例です。依頼者から「このUSBメモリにバックアップを取っていたのですがデータが出てこなくなって・・・」といわれるので、「良かったですねバックアップが出てこないだけなら元データから違うUSBにバックアップしましょう・・ところで元データはどこにありますか?」というと、「???」と返されました。しばらく沈黙が続き、そして「いいえ、他にありません、全部このメモリの中です」という答えが・・。(゜ロ゜;)エエッ!?

●バックアップと言うからには、元のデータが存在しているはずです。ところが今回の依頼者のようにパソコン内部のストレージには普段からデータを保存せず、USBなどで外部にデータを保存しているという使い方をしている人がかなりいるようなのです。確かに、PCの外に保存すれば容量の問題が緩和したりパソコンが起動しなくなった場合にデータは巻き込まれずに助かります。そこでデータを日ごろから積極的に外部に逃がしておこうという心がけは理解できます。

●しかし、それは「バックアップ」とは言いません。そのようなデータ保存の仕方をしている人がいたら直ちに改善してください。USBメモリやUSBハードディスク、SDカードなどでパソコンの外部にデータを保存しても、そこにだけしかない状態はバックアップではありません。データロストという爆弾を抱えているような深刻な状態です。

●根本的な問題は外部に保存すればそれがバックアップになると勘違いしている点です。バックアップと言うのは、元のデータがどこかにあってその複製のことが「バックアップ」です。「USBメモリにバックアップを取る」という言葉だけが記憶に残ってその意味まで分かっていないためにそのような間違いが起きます。

●このような言葉の意味の間違いは致命的となりますので、理解した上で認識を正しておく必要があります。

「USBメモリ」も略しすぎると意味が散逸

●USBメモリのことを単に「USB」という方は非常に多いようです。例えば、データはどこに保存しますか?と尋ねた際にUSBにお願いします・・。といわれることがあります。しかし、単にUSBと言ってしまうと本人は「USBメモリ」のことだと思っていても、前後に言葉がない場合は伝わらないことがあります。USBのストレージ機器全般が対象になりますから意味が拡大してしまいます。

●今時、USB関連機器は種類も膨大で多岐に及びます。そういうシーンで勘違いが起きると、ストレージ選択のミスでデータの誤消去などが起きる原因になります。ですから、HDDの時と同じように略しすぎないで「USB何々」ときちんといったほうが確かで、間違いが起きません。

●家電量販店などで店員さんに「USBください」という人がいるようです。店員さんも困りますからその他の機器についても「USBハードディスク」とか「USBカードリーダ」などと略さずにいう習慣をつけましょう。
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●ちなみにITには関係ないですが、生活面でも用語の使い方の間違いにたびたび遭遇します。

それは、「排水管」と「配水管」。

台所やお風呂などの「排水」が流れる管を「排水管」と言います。各家庭に分岐される水道の上水道主管が「配水管」です。これはテレビのテロップなどでも良く間違えられているのを見ます。「排水」は下水道、「配水」は上水道です。同じ音の言葉でも意味が全く違います。

ちなみに蛇口に接続している配管は「給水管」です。
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●用語は正しく使わないと正しく意味が伝わらない事になります。IT社会の常識として初心者以外の方も意識して使用しましょう。

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古賀竜一(システムエンジニア)

九州インターワークス

ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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