古いOSは「わらの家」? 童話「3びきのこぶた」で学ぶITセキュリティ

古賀竜一

古賀竜一

テーマ:セキュリティ対策、個人情報管理

数多く残っているサポートが切れたWindows10

Windows10のサポート期間が終了し、かなりの期間が経過しました。延長サポートを適用したパソコンはとりあえず問題ありませんが、そうでないサポートが切れたままのパソコンもまだ数多く使用されている実態があります。そこで今回は、ITに詳しくなくてもわかりやすいよう、サポート切れや脆弱性の放置がどれほど危険なのかを、童話に例えて説明してみたいと思います。

あなたは、童話「3びきのこぶた」をご存知でしょうか? この物語は、3匹のこぶたの兄弟がそれぞれ家を建て、オオカミから逃げる話です。この物語を、ITセキュリティーに当てはめて考えてみることにしましょう。

かんたんに吹き飛ばされた「わらの家」

まず、こぶたたちが建てる家をWindowsなどのオペレーティングシステム(OS)に例えます。一番上のお兄さんぶたは「わら」で造った家を建てましたが、あっさりとオオカミに吹き飛ばされてしまいました。これは、サポート期限が切れた古いOSに似ています。サポートが終了したOSは、既知の脆弱性が修正されないため、インターネットを利用することで攻撃を受けるリスクが高まります。



耐えきれなかった「木の家」

わらの家を吹き飛ばされたお兄さんぶたは、真ん中の弟が建てた木の家に逃げ込みました。しかし、これもオオカミに吹き飛ばされてしまいます。真ん中の弟が建てた急ごしらえの木の家は、隙間だらけで壊れやすかったのです。これは、OSやアプリケーションの更新が滞っていたり、脆弱性が放置されていたりする状況に似ています。また、適切な設定やセキュリティー対策が十分ではない環境では、マルウェアやアドウェアなどの被害を受けやすくなります。



簡単に壊れない頑丈で丈夫な「レンガの家」

二人のお兄さんぶたは、一番下の弟ぶたが建てたレンガの家に逃げ込みました。オオカミはレンガの家を吹き飛ばそうとしますが、びくともしません。レンガの家は、しっかりとしたセキュリティー対策が施されたシステムを利用している状況と言えます。



油断大敵!煙突からの侵入

しかし、物語はここで終わりません。オオカミは鉄壁に見えるレンガの家を何とか攻略しようと、家をくまなく調べ始めました。そして、煙突に目を付け、そこから家の中に入り込もうと考えたのです。

これは、攻撃者がシステムの脆弱性や設定の弱点を探し、侵入を試みる状況に似ています。レンガの家の煙突は、数少ない弱点、つまりセキュリティーホールと言えるでしょう。煙突は家に必要な設備ですが、同時に侵入口にもなり得ます。ITの世界でも、便利な機能や外部との接続部分が、攻撃の入口になる場合があります。例えば、メールの添付ファイル、ブラウザの拡張機能、USBメモリ、リモートアクセス機能などには注意が必要です。オオカミの侵入行為は、セキュリティーインシデント(事件・事故)を表しています。どれほど強固に見えるシステムでも、完全に安全とは限りません。



防御対策で侵入を許さない

安心していたこぶたの兄弟たちは、慌てながらも一生懸命に防ぐ方法を考えました。そして協力して暖炉に火をつけ、煙突から侵入しようとするオオカミを撃退することができました。これは、脆弱性の修正やルータの適切な設定、ファイアウォールなどによる防御対策の重要性を表しています。

ファイアウォールは、不正なアクセスや不審な通信を検知し、ブロックする役割を持っています。また、出所が不明なソフトウェアや不要な通信を行うアプリケーションには注意し、必要に応じて通信を制御することも重要です。さらに、セキュリティー対策はシステムだけでなく、利用者自身の知識や判断力も大切になります。



なぜお兄さんはわらの家だったのか

以上のように、物語「3びきのこぶた」から、ITセキュリティーの重要性を考えてみました。

ところで、なぜお兄さんぶたが「わらの家」で、一番下の弟ぶたが「レンガの家」だったのでしょうか? 普通に考えると、年上の兄のほうが経験も豊富で堅実そうにも思えます。

しかし、この話には、単に「粗末なものでは守れない」というだけではなく、「自分は大丈夫だろう」と考えてしまう人間の心理も描かれているように思えます。兄という立場は普段から「自分は一番偉い」と思いがちな面があるものです。これは、危険が迫っていても自分は賢いし問題ないと思い込んでしまう「正常性バイアス」と呼ばれるものに近い考え方です。

一番下の弟ぶたは、自分が兄弟の中でも一番弱い存在であることを自分自身が知っていた、それでしっかりとしたレンガの家にしたのでしょう。このように、自分の状況を正しく理解できることが、危険から身を守る判断力と行動につながるといって良いでしょう。

童話や民話には、子供だけでなく大人への教訓も込められていると言われています。「3びきのこぶた」の話もまた、油断や過信への警鐘として、現代のITセキュリティーにも通じる物語なのかもしれません。

現在のITセキュリティーの世界では、オオカミたちはさらに巧妙になっており、攻撃方法も多様化しています。私たちは、自分たちの家(システム)を守るために、常に最新の状態を保ち、脆弱性を修正し、適切な対策を続けていく必要があります。

そして、「レンガの家だから絶対安全」と油断しないことも重要です。このような積み重ねが、オオカミたちを撃退し、安全で安心なIT環境につながっていくのです。

筆者の実績 :http://www.kumin.ne.jp/kiw/#ss

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古賀竜一(システムエンジニア)

九州インターワークス

ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

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