非対応のパソコンにWindows11導入は何が問題なのか、その理由を専門家はこうみる
Windows11はハード、ソフト両面のセキュリティーが強化
●以前のWindows10の強制アップグレード問題は大混乱を巻き起こしました。これはWindows10自体が完成されていない状態だったのにもかかわらず見切り発車のようなことになったからです。というのも当時、Windows8、8.1の評判がすこぶる悪くさらにスマホやタブレットの爆発的普及で、Windows10への移行をMicrosoftが急いだという事情がありました。
●今回のアップグレードはWindows10に問題があったのではなくどちらかというとハードウェアに問題が出始めたためとも言えます。具体的にはCPUの脆弱性の問題回避があります。そのため数年前のCPUでも要件から外されるというかなり思い切った要件になったといえます。また、ハードとソフトの両面で暗号化するなどシステムをよりセキュアにするという強化が図られています。
すぐにアップグレードするのは危険すぎる
●毎回新OSがリリースされるたびに言われることですが、新しいからといって問題がないわけではないことを今回も知っておく必要があります。想定外な不具合やバグなどによるトラブルの可能性は初期のソフトウェアには付き物です。ですから、すぐにアップグレードするのは危険です。
●参考ページ:■ITの現場を知るサポートエンジニアからみたWindows導入の現実と実態
http://www.kumin.ne.jp/kiw/vista.htm
●今回のOSは刷新されたわけではなくお化粧直しという感があり、代わり映えは今一つですが特に注意したいのがセキュリティーの強化です。数年前のCPUでも要件外になってしまうという導入要件の厳しさとからもわかるように、セキュリティーの強化でメリットになるとはいえ、更新できるPCが限られてしまう、動かないソフト、デバイスが出てくるなどほとんどがデメリットになります。
●Windows10で古いソフトウェアやデバイスがどうにか動いていたとしても、Windows11の強固なセキュリティーで動作に問題が出るかもしれません。今回ばかりは前みたいなわけにいかない可能性があります。
●ですから、古いIT資産を運用したい場合は早々のアップグレードは考え物です。
無償アップグレード期間終了前で安定期に入ったころに更新推奨
●自動車でもそうですが、新車発表後に買うよりもにマイナーチェンジを繰り返した最終モデルのほうが欠陥もすくなく装備が充実して価格も手ごろになります。熟成されたもののほうが良いということで最終モデルを好んで買う人も多いと聞きます。
●同じように、Windows11もアップグレード可能な期間(2021年10月の情報では約1年間)が終わるころ、バグフィックスが落ち着いて安定期に入ったものを導入したほうが良いでしょう。そのころにはネット上の情報も豊富になっていてスムーズにアップグレードができる確率が高いと思います。
●まだWindows10はサポート期間がたっぷり残っていますし、更新トラブルはまだあるものの最近では以前よりずっと安定してきていますので、問題がないのであればそのまま使ったほうが良いでしょう。そう焦る必要はないと思います。
10年以上前の経験や知識では通用しない今のITデバイス環境
●今回のOSは導入できるPC要件が非常に高いので、古いPCで実験的に使ってみようというのはできないかもしれません。クリーンインストールなら要件外の古いPCでも導入可能ということでWeb上に情報があれこれ出ているようですが、Microsoftではまともに動かない可能性がとても高くエラーが頻発したり、またアップデートが配信されないと公式に発信しています。そういうものをメインPCにするにはリスクが高すぎです。
●最近のPCは非常に複雑なシステムになっているため、10年以上前のPCと同じ様な感覚で考えると危険です。特に多いのが安易にOSクローンやHDD交換をした場合に取り返しがつかない状態にしてしまうユーザーが多数出ていることです。
●Windows11のことで不明な点は、やはり経験や情報が豊富なその道のプロに相談するほうが確実です。