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MS-DOSで動く古い産業用機械の制御用コンピューターが止まった!その修理対応事例

2020年9月23日 公開 / 2020年11月24日更新

テーマ:ITサポートの事例と実例

コラムカテゴリ:くらし

コラムキーワード: パソコン修理パソコントラブルパソコン修理 業者

画面にエラー表示が出て止まる症状

●今回は、産業用機械の制御用コンピューターの修理事例です。

●先日ですが、私が設計製作した石材加工CAD用コンピュータを使っていただいている石材加工店の社長さんから電話で相談がありました。事務所の近くにある石材加工工場の機械が動かなくなったけれども対応可能かどうか?という相談です。

●お話では、機械の電源を投入するとディスプレーにエラー表示が出て制御用プログラムが起動しないという症状で、メーカーに修理見積りをお願いしたところ中古の軽自動車が買えるくらいの金額を提示されたとのこと。機械自体は古いためメーカーの保証はとっくの昔になく、それどころか保守部品もメーカーにはなくなって久しいということでした。そこで、産業用コンピュータでも対応が可能ならどうにか安く対応できないか?というご相談でした。

●早速機械の制御コンピュータの型式や写真などをメールで送っていただき調べたところ、制御用コンピュータは確かに産業用なのですが基本的な仕組みはATXのPCと同等のようでした。エラー表示も通常のDOSVマシンのBIOS(基盤制御用プログラム)が吐き出すものと同じでしたのでおそらく対応は可能ということで現地へお伺いすることになりました。


※石材加工用の産業用機械。コンピュータ制御で石材の加工、研磨を行う。

Phoenix BIOSでMS-DOSプログラムの産業用コンピューター

●吐いているBIOSのエラーは、実はエラーではありませんでした。BIOSバックアップ用のバッテリー消耗で設定値が失われたために「標準値を読み込みますか?」というBIOSの通常の処理に伴う表示でした。

●パネルコンピュータの外装を外して基盤を覗いてみると、リチウムコイン電池「CR2032」が使用されていたためこういうこともあろうかとあらかじめ用意してもらった新品へ交換しました。

●電源を入れ、BIOSを立ち上げてみるとBIOSはパソコンでもお馴染みのPhoenix BIOSです。ストレージは型式からCFカードを使用しているようで正常に認識されています。時間を設定しなおして再起動するとMS-DOSが起動。機械のプログラムが立ち上がり、無事稼働しました。


※制御用コンピュータはパネル型でMS-DOS上で制御プログラムが走る

●結局、原因はBIOSバックアップ用電池の消耗でした。パソコンでも良く起きる代表的なトラブルです。

●意外と難なくすんなりと直ったため、メーカーの高額の修理見積に身構えていた社長さんもほっと安堵されていました。

古い産業用機械制御用コンピューターの対応事例

●古い産業用コンピューターの対応事例は以前にもあります。ある工場から、海外製のプログラムで動いている産業用機械の制御用コンピュータが止まったという相談がありました。

●この場合はWindows2000が使用されていて、メーカー側が言うにはプログラムのアップグレードには新規機械導入も同時に必要とのことで3千万円以上かかるということでした。工場側としては時間的、費用的に考えても到底無理な話のため、どうしても現状修理で直したいということでした。

●診断の結果、原因はHDDに不良セクタが発生していたためOSの起動に失敗していることがわかりました。HDDを修復用PCに接続して電磁的な逆位相転換処理をし、新規HDDへのクローン作成で解決できました。対応が少し遅れていたらHDDが完全におしまいになるところで危ないところでした。

●また、他には別の事業所ですがPC98で動いている特殊な工作機械制御用PCのHDDがやはり不良セクタの発生で止まってしまうトラブルの解決事例があります。

●もともとはWindows95上のMS-DOSで動いていたのですが、PC98用のWin95は今では入手困難です。そのためHDDを交換したあとPC98用のWindows98をインストールして98上のMS-DOSで復旧しました。

様々な事情でいまだに現役で稼働している特殊な産業用コンピューター

●工場などの産業の現場では、長い間使ってきた設備やシステムを現状から新しくする「リプレース」を行うには巨額な費用が発生します。特に汎用ではない特殊な用途のものは特殊ゆえにメンテナンス費用も高額でその維持に苦心することになります。

●最近では国も、財政出動したはいいけれども銀行などが抱える借り手のない行き場を失った資金をどうにかしたいと、敷居が低い低金利の融資などを準備して借り入れることを勧めているようです。しかし、デフレマインドが強い今の経済情勢では設備投資に踏み切るだけの需要確保への確信が持てません。特に今の新型コロナの状況ではなおさら判断が難しいでしょう。

●景気が回復するまでの間、できるだけ今の設備を延命することを望む経営者の判断は理解できます。そのような不安解消にはこれまでお話ししたような環境リペアという手法がありますので選択肢の一つとして検討に値すると思います。

九州インターワークス
http://www.kumin.ne.jp/kiw/

この記事を書いたプロ

古賀竜一

コンピューターサポートのプロ

古賀竜一(九州インターワークス)

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