納涼、パソコンの不思議な話
インクジェットプリンター印刷で黒(文字)が出ない!
●先日、サポート依頼で訪問した方の相談はプリンタの相談です。
●暑中見舞いを出そうとはがきを印刷してみたら文字だけが印字されないということでした。プリントアウトされたものを見てみると、文字の部分がほとんどかすれて印字されていません。背景の色のついた図柄は印刷できているようでした。全部新しいインクに変えてもみたそうですが、直らないため専門家に見てもらいたいと言うことでご連絡をいただいたようです。
●こういう場合はノズルヘッドの「詰まり」が考えられます。文字だけが出ていないということですから黒のヘッドがインク固着で詰まっているようです。そこで、「最後に印刷したのはいつですか?」と尋ねると「年賀状を印刷した時が最後・・・」という答え。
●前回の印刷からもう半年以上も印刷されてないと言うことになります。これはヘッド(ノズル)のインク固着で間違いなさそうです。
●ノズルのインク詰まりは、条件によっては1~2数ヶ月放置した程度でも起きることがあります。
●分かり易く例えると、接着剤を使ったあとに蓋をきちんと閉めないで長期間使わずにいると、再度使おうとしたときに出口の接着剤が固まって、出てこなくなるのと同じ理屈です。
●ですから、このような場合に、いくらインクを新しいものに替えても出口自体がふさがっていますから、インクは出て来ないのです。
●今回はカラーのほうは大丈夫だったようですが、なぜ黒インクだけが出てこないのでしょうか?
「顔料インク」「染料インク」は性質が違う
●これは、メーカーにもよりますがインクジェットプリンターの場合、黒インクのみ「顔料インク」を使っている機種があるからです。カラーは染料インクが使われていることが多いのですが、顔料インクは染料インクと比較して固まりやすい(詰まり易い)傾向にあり、黒インクだけが出ないと言う症状を引き起こします。
●このヘッドの詰まりは、プリンターのソフトウェアユーティリティーの中の「ヘッドクリーニング」という機能で改善できます。早速、プリンタのヘッドクリーニングユーティリティーを起動してヘッドのリフレッシュを試みました。
●1回では思ったような効果はありませんでしたが2回、3回とやっているうちに少しずつ出始め、7回目位でほぼ出てくるようになりました。しかし、消費したインクもかなりのもので、新品インク1本の約半分がなくなりました。インクはもったいないですが1~2回であきらめるのは早計です。
プリンタとインクの悩ましい問題
●今回はどうにか改善できましたが、クリーニングやリフレッシュを何度繰り返しても改善しない場合は、相当に詰まりがひどい状況にあるため、インクヘッドという部分の交換修理となってしまいます。
●交換はメーカーへ依頼する必要があり、その費用は、おそらく新しいプリンタが買えるくらいになるかもしれません。買ってから数年程度でもそのような状況に陥るプリンタもありますから、人によっては「1年おき位に買い換えているんじゃないか?」というサポート先のユーザーさんも実際にいました。
●また、インクに関しても泣き面に蜂のような状況になってしまうことがあります。プリンタヘッド交換をあきらめたのはいいけれども、問題はインクが出ないと言うことで大量に買って来てしまった新品インクです。
●ヘッド交換をあきらめると言うことは、新しいプリンタになるということ。ほとんどの新しいプリンタは以前のプリンタのインクが使えなかったり、希望の型式には合わなかったりする場合が多く、ましてやメーカーが違った場合はなおさらです。決して安いものではありませんから、返品が効く場合はできるだけお店と相談してください。
●そういうことにならないよう、プリンタのトラブルの際には真っ先にインクを買いに行かず、ヘッドのつまりや基板などがおかしくなっていないかをまずチェックしましょう。最近のプリンタは自己診断機能が付いているのものも多いですから、あせらずに説明書をよく読んで診断をしてみましょう。
※ヘッドとインクが一体になっている機種のものは、メリットとしてインク交換時にヘッドも毎回交換されます。ヘッド詰まりの問題はそれで自己解決できます。しかし、デメリットはインクとヘッドが一体型のためかなり高価な点です。
※インクとヘッドが一体になったカートリッジ式インク。ヘッドにまつわる問題はユーザー自身で交換が可能なので自己解決できるが、高価。
●インク一滴はフランスの高級香水1滴よりも高価だといいますから、インクを無駄にしないようにしましょう。
あんしんパソコン相談室
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