中古パソコンの怪しげな販売形態とITセミナーの罠
社長がIT音痴では沽券に係わる?
●ITサポートという仕事はいろんな人と出会ったりいろんな職業、いろんな人間模様などを垣間見ることができる仕事で、コンピュータ関連の仕事の中でも最も人と接し、意外と人間臭い仕事だと思っています。
●先日、ある会社の社長さんから、自分のパソコンでメール設定が出来ない・・ということで相談依頼がありました。社員にやらせずに自分でやろうと悪戦苦闘された揚句のようでした。自分でやってみようと思われたのは向上心があって良い事ですが、ギブアップしてから社員にやってもらうのはさすがに沽券に関わるし、恥ずかしかったのでしょう。
●調べてみるとメールアドレス入力で、コンマとドットを間違えて入力していたのです。メールアドレスを間違っているわけですから当然メールはできません。これは社員にSOSを出さなくて良かったかもしれません。危うく「うちの社長、コンマとドットもわかってないIT音痴」という給湯室のおしゃべりに油を注ぐところでした。
社長!パソコンは万能ではありません!
●簡単なことが出来なかった自分に失望でもされたのか、その社長がこう言いました。
「たったそれくらいのことでならないのはコンピュータがおかしい。高い金を出して買ったコンピュータだから、少しは判断して(それはドットの間違いではないですか?)と教えてくれるなり、自動的に対処して臨機応変にやってこそ最新技術じゃないのか?車だって今時はぶつかる前に自動で止まる奴が出てるだろ?」
とおっしゃったのです。確かに、おっしゃる通りコンピュータが「ドットとコンマを間違っていますよ」・・・と教えてくれれば良い事です。そのお気持ちはもっともだと思います。しかしまだパソコンは人工知能のようなレベルにあるわけではありません。パソコンは万能ではないし、逆に指示してもいないことを勝手にやりだしたら大変です。
●まず、その前にドットとコンマを間違えたということ自体をご自身がきちんと認識しなければいけません。コンピュータは指示通り動くことが基本です。その道にはその道の約束事というものがありますからそれに合わせて間違えないように指示をしないといけません。
●そうお話しするとその社長さんが、
「うちの社員なら何でもちゃんとやってくれる。気のきいた社員なら指示したこと以上のことでも以心伝心みたいに気がついてやってくれるよ。」
と言われました。人情に厚い人柄が社長の持ち味でもありますから社員からの信望も厚いようです。
臨機応変と言う部分では人間のほうが優秀
●私はその言葉を待っていましたとばかりに僭越ながら社長に言ったのです。
「ということはコンピュータより人間の方がまだ優れているという証拠ですよ。コンピュータでもやらないこと、できないことをやってくれる社員がいる社長の会社がいかに素晴らしいかがわかるじゃないですか。」
と言うと、
「あんた良い事言うね。そうそう、本当言うとパソコンは仕事やけん仕方なく使いよーとよ。でも今時、メールも出来んとなるといろいろ困るし、時代について行かんと仕事ももらえなくなるけんね。丁度、わが社もITを強化すると社内に通達したばかりだからメールアドレス設定くらい自分でもできんといかんと思ってね・・・」
と本音がポロリ。
●それで気を良くしたようで、
「ドットとコンマを間違えただけでもできんなら、パソコンは気を付けて使わんと危ないということだね」
と真剣顔で呟いておられました。
●すぐに事の本質を理解できるあたりはさすが経営者です。今回のことはITのメリットを十分に理解されている社長だからこそチャレンジして遭遇した出来事です。自分でもやってみよう・・・まずはそこからなんです。そもそもチャレンジしなければトラブルも起きないで済みますが時代に取り残されます。誰かにやらせている間は本当に理解したことにはならないと思います。
●コンピュータと人情。水と油のような関係ですが、私はその間の橋渡しが仕事です。理解してもらうのは大変ですが、チャレンジ精神のある人は徹底して応援したくなります。ライフワークと言っても良い、やりがいのある仕事でもあります。
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「パソコンがおそい、固まる主な原因」
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