中古パソコンの怪しげな販売形態とITセミナーの罠

古賀竜一

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テーマ:ITサポートの事例と実例

譲渡会?それって上等かい?おまけの中古PC、格安中古PCに潜むリスク

●今日お伺いしたユーザーの方から、あるチラシを是非見てほしいと言うことで拝見させていただきました。そこには「中古パソコンをお譲りします」というタイトルで「近くの公民館で配布しますので皆さん集まってください・・・」と書かれていました。

●チラシの中ほどにはノートパソコンの写真と「Windows7ノートPC 23,000円」と書かれていて、それ以外は詳しい説明書きも情報もありません。

●しかし、このチラシを見た限りでは「パソコンをお譲りします・・・」と、さも無料でもらえるかのような内容になっているのですが、どう見ても23,000円で買わされる気配がします。購入条件はそれだけでないかもしれません。調べると案の定、いろいろと別途になっている・・・他に費用がしっかりとかかるような仕組みになっているのです。

●なのになぜ、販売会、即売会といわず「譲渡会」としているのでしょうか ?譲渡というと普通無償で譲ることを言うと思っていましたが、実は有償で譲ることも譲渡と言うそうです。しかし、一般的にそのように言う場合は限られていて家屋、土地、権利などの売買などに使われるほか、動物や車両の売買の際にも使われているようです。しかし、パソコンにはどうでしょうか?

善意をイメージさせて意図を隠す言葉のマジック

●社会通念上、物品販売で「譲渡」などと称して販売しているものはほぼ見受けられません。スーパーで「魚が安いよ!奥さん譲渡します!」とか、テレビが壊れて電器屋さんへ「テレビを譲渡されに行く」とか言わないですよね。国税庁のホームページに「譲渡所得」という項目があり、その中身を読んでみましたが、課税対策でも行っているのでしょうか?

●「譲渡」と称することで販売ではないような印象を与え、売りつけられるのではないか?という警戒心を解く効果を狙っているのでしょう。また、公民館や役所などの自治体が介在した公的な会場であえて開催することでさらに警戒を解いて、人が集まりやすくなるのを狙っているのかもしれません。しかし、これは民間事業者の販売を公共の目的であるかのように偽装するための言葉のマジックのような気がします。

●チラシには「私たちは環境保全に貢献しています」とか、能書きもたくさん。一番下に小さく会社名と中部地方の都市の所在地が書かれています。

●それに、チラシが撒かれているのは佐賀県内の高齢者世帯が多い田舎の町。なのに遠い都会からそんなところになぜチラシを撒き、中古PCを売るのか・・・答えは簡単ですね。

PCには値段の問題よりも安心、安全が必要。

●そのようなPCは実際に届いてみるとWindows7でもメモリが1GB、CPUもシングルコアという貧弱なものが大半で更にHDD容量が極端に少なかったりと、中古市場の実勢価格では1万円前後がいいところ。また、ワープロ表計算ソフトは中国製だったり、まともな状態のOSだったとしてもSP(サービスパック)が導入されていない、ソフト更新が全くかかっていないなどすぐに使えなかったり、とても今のネット環境では使用に耐えないものである場合があります。

●更には無線LANが内蔵されていない、キーボードが変色していたり、液晶が薄暗いなど程度が非常に悪いものもあるようです。

●要は廃棄寸前か、廃棄対象のリースアップ品をタダのような値段で入手して売るビジネスで、パソコンが2万円台で手に入るとはいうものの、安物買いの何とやらで結局損をすることになりかねません。

●少なくとも専門の業者を語って売るならば価格がいくらであろうと、こういうものを人に渡す時点で決して「良心的」とは言えません。これでは真面目にリサイクルに取り組んでいる業者も同じように見られるだけでなく、社会的信用にも影響しかねません。

●同様のチラシや業者には警戒が必要です。このような一見慈善事業に見えることでも実態は一企業の商売であって、このようなものに協力する自治体も問題です。PC端末は家電品ではありません。総務省管轄の電算・通信機器にあたります。きちんと稼働しないものは、セキュリティーの問題などで周囲にも迷惑をかけることになる場合もあります。

●そのような端末を拡散させることはリスクを拡散させているようなもので、譲られた(買わされた)本人のためにもなりません。



最新IT事情で誘うセミナーの罠

●また、ITセミナーでも回線を売りつけるもの、怪しげな商品のマルチ販売やビジネス要員として資料や備品代などの名目で高額な会費や加入費などのクレジットを結ばせようとするものがあります。

●そのようなものにも注意が必要です。

●今後、日本経済はこれまでにない未曾有の試練を迎えることでしょう。その時にはますます詐欺やコンプライアンス無視の様々な怪しいものが近づいてきます。

●それらは、クラウドなど最新のIT事情を謳ったり伴ったりしてもっともらしく振る舞います。

●そういうものの餌食にはならないように気をつけましょう。



●無料や格安表記を見つけることは何も「見る目がある」ことにはならないのに、異様に自慢をしてくる人がいます。「タダで手に入った」「激安だった」と。自分には見る目があると賢く振舞ったつもりが、結局業者の思う壺にまんまと「はまっている」人はたくさんいます。何でも手当たり次第に無料無料と、喜んで飛びつく「さもしい心」に付け入られないようにしましょう。

●これからはITも病院と同じように自分の掛かり付けの専門家を見つけて、相談などをできるようにしておけば激動の時代のリスク回避に役立ちます。

●サポートや支援は業者目線ではなく、ユーザー目線であんしん出来るところへ依頼することが一番です。

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古賀竜一(システムエンジニア)

九州インターワークス

ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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