「新型コロナウイルス」の感染拡大で「ホテル」の破綻が続く

高塚哲治

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 世界を一変させた「新型コロナウイルス」の感染拡大で、インバウンド市場を牽引してきた中国や韓国からの訪日外国人が急減速したことに加えて、外出自粛要請が続くことから、ホテル業界は苦境に立たされています。
 特に、増加するインバウンドニーズに対応していた宿泊施設は、大打撃を受け、資金繰りの悪化などから廃業を選択せざるを得ないホテルや旅館が徐々に増加しています。
 「東京商工リサーチ」によると、「株式会社ファーストキャビン」と関連4社は、東京地裁に破産を申請したといいます。
 2019年3月期の決算時点での「ファーストキャビン」の負債総額は11億3082万円に上ります。「ファーストキャビン」は「COMPACT & LUXURY」をコンセプトに、飛行機のファーストクラスの雰囲気をホテルに落とし込んだキャビンスタイルのホテルで、東京を中心に全国の都市部を中心にフランチャイズビジネスを展開していました。
 北海道・千葉・東京・京都・大阪・福岡など全国に拡大し、2019年3月期には売上高16億8645万円をあげていたといいます。
 しかし、直近ではホテルの供給増や競合ホテルとの競争激化などから、業績目標は未達の状態が続き、2 期連続の赤字に転落し、さらに、世界的に感染が拡大する「新型コロナウイルス」の影響により、3 月下旬から4月上旬のホテル稼働率は約10%に低下するなど急激に業況が悪化していた模様です。
政府による緊急事態宣言の発令後は、同グループホテルにおいて休業も相次ぎ、事業継続が困難となったということです。
 また、「WBFホテル&リゾーツ」は、2004 年から沖縄、2009 年から北海道で運営を開始した「ホテルラッソグループ」を前身とし、2016 年より「ホテルWBF」へ順次リブランドのうえ、北海道・関東・関西・九州・沖縄などで全国展開していました。しかし、2020 年初めから世界的に感染が拡大する「新型コロナウイルス」の影響による入国制限や、外出自粛要請が業績を直撃し、2月以降は宿泊客のキャンセルが相次ぎ、計画を下回る状態が続いていたようです。
 加えて、ホテル開設などに多額の資金を銀行借入金に頼っていたため、金利負担が重くのしかかり、金融機関と返済条件の緩和などを協議していた模様ですが、4月7日に政府による緊急事態宣言が発令されたことを受け、事業継続を断念、今回の措置となったといいます。
 なお、民事再生法の適用申請は 「WBFホテル&リゾーツ」のみで、他のグループ会社やホテルは現在も営業を続けているとのことです。


(讀賣新聞:2020年4月27日 引用)

(讀賣新聞:2020年4月28日 引用)

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高塚哲治
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高塚哲治(建築家)

タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所

大手設計会社での豊富な経験を生かし、多くの欠陥住宅問題を手がけ、日本ではまだなじみの薄いCM(コンストラクションマネジメント)を広く世間に発信し、遂行している

高塚哲治プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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