「豊中えびす祭」:服部天神宮
“冬ながら空より花の散りくるは雲のあなたは春にやあるらむ”「まだ冬なのに空から花が散ってくる。雲のかなたは春にちがいない。」(清原深養父:古今和歌集)
「立春」も過ぎ、いよいよ春の到来です。1月の第4土曜日に行われる奈良・若草山の山焼きの頃から、そろそろ春が芽吹きます。若狭井(わかさい)という井戸から観音様にお供えするお香水をくみ上げ、われわれが常日頃犯している様々な過ちを、二月堂本尊の十一面観世音菩薩様の前で懺悔する儀式といわれる奈良・東大寺二月堂の「修二会(お水取り)」、「大相撲三月場所(大阪場所)」、「春の高校野球(甲子園)」から「プロ野球」の開幕へと、いよいよ暗く寒い冬に別れを告げる桜の季節の到来です。
関西地方では、「日本さくら名所100選」に選ばれる「大阪城公園」「万博記念公園」「姫路城」「西宮市・夙川公園」「京都・嵐山」「京都・醍醐寺」「和歌山・紀三井寺」や、「大津市・石山寺」など各名所の桜も満開となり、やがて「奈良・吉野山」の古来桜も咲き初め、下千本、中千本、上千本、奥千本へと咲き進みます。
新入社員たちが街の中をぎこちなく歩き出す頃には、いよいよ「大阪・造幣局」の八重桜も咲き乱れ、人々は夜桜の間を通り抜け、春爛漫です。
「大阪・造幣局」近辺の旧淀川沿いは、昔から景勝の地として名高く、春は桜、夏は涼み舟、秋は月見など四季折々のにぎわいを見せ、特に春の桜は有名で、対岸を桜ノ宮と呼ぶにふさわしく、この地一帯に桜が咲き乱れていたそうです。明治16年(1883年)、当時の遠藤謹助局長の「局員だけの花見ではもったいない。市民とともに楽しもうではないか。」との提案により、構内の桜並木の一般開放が始まったといわれています。
夜桜見物の後は、淡路の「桜鯛」と京都の若竹に舌鼓を打ちつつ、灘・伏見の銘酒や奈良・滋賀・奈良・和歌山の地酒に酔いしれましょう。
真鯛の産卵期は3月から6月にかけてで、産卵の際に浅瀬へやってきます。ちょうど春の訪れと共に開花する桜の花びらを模した可愛らしい斑点模様があしらわれた美しい真鯛が「桜鯛」と呼ばれ、この斑点模様はオスの真鯛にのみ現れる特徴だといいます。
やがて、「六甲山系」や「生駒山系」、「北摂山系」も新緑に覆われ、早々と季節は初夏から仲夏へと移ろい、晩夏へと向かいます。
季節は急ぎ足で一巡し、人々も例外なく年を重ねます。