「免振ゴム」性能不足

高塚哲治

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テーマ:欠陥住宅

 「東洋ゴム工業」(大阪市西区)が製造・販売した「免震装置のゴム製部品」について、不良品の出荷やデータの偽装があったと「国土交通省」が発表しました。
 このうちデータ偽装があった3製品について、「大臣認定」が取り消されていますが、これら性能不足の製品を使った「マンション」「庁舎」「病院」などが全国に55棟あり、改修などで住民らが一時退去を強いられる可能性があるといいます。
 問題の製品は「基礎」などで使用される伸縮により「地震」の揺れを吸収する建築用の「免震ゴム」です。
 建築基準法上、設置には大臣認定が必要で、タイヤメーカーとして知られた「東洋ゴム工業」は、「免震ゴム」の市場占有率(シェア)が3~4%程度です。
 同社は、「大臣認定」を得た際、地震の揺れを抑える性能について、各製品ごとのばらつきは、基準値の10%内の誤差としていましたが、実際には最大でマイナス50%の製品があり、同社のモデル計算ではゴムが1.3倍大きく変形し、揺れを抑えられないといいます。
 「国土交通省」は、同社に対して所有者へ説明し、設計者らと協力して建築物の安全性を調べたうえで、改修および報告を行うよう指示し、その他の製品でも不正の有無の確認を求めています。
 同社は、2003年に最初の認定を受けた際は適正なデータだったものの、2006年/2007年/2011年に、類似製品3件の認定を受ける際、測定データを加工するなどしたとされています。
 55棟の所在地は宮城、東京、愛知、大阪、福岡など全国18都府県にわたり、使われた問題の製品は計2052基で、「マンション」などの「共同住宅」が25棟、「庁舎」12棟、「病院」6棟、「倉庫」4棟などと報告されています。
 また、15階建て以上が約10棟あり、そのうち30階建ての建築物も含まれています。
 「東日本大震災」で震度6強~6弱だった仙台市宮城野、青葉両区の計3棟は、震災後に現地調査した管理会社などから、建物の構造に損傷はないとの報告を受けたといいますが、個別の詳細は明らかにされていません。








(讀賣新聞:2015.03.14)

タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所

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大手設計会社での豊富な経験を生かし、多くの欠陥住宅問題を手がけ、日本ではまだなじみの薄いCM(コンストラクションマネジメント)を広く世間に発信し、遂行している

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