「伏見稲荷大社(京都)」と「すずめ」焼き
「ジャン・フォートリエ」(1898-1964)の「日本」で初めてとなる本格的な回顧展が、「国立国際美術館」(大阪中之島)で開催されています。
「ジャン・フォートリエ」は、「ロンドン」で美術教育を受け、第一次世界大戦から復員した後、写実的な画風から暗い色彩の抽象的な表現へと変化しながら、「パリ」で作品発表を続けていました。
1930年代には一時制作から遠ざかりますが、第二次世界大戦が勃発すると再び「パリ」にアトリエを構え、1943年には「ドイツ軍」の捜査から逃れるため、友人の導きで「パリ」近郊へ逃れます。
そして、「ジャン・フォートリエ」は、連作「人質」の制作に取り組み始め、「パリ」解放後に発表します。時代を反映した「人質」という主題と、独自の手法で厚く塗り重ねられた絵肌とそこに描かれるきわめて抽象的な人物表現は、戦後の「パリ」の美術界に大きな衝撃を与えたといいます。
これ以後、「ジャン・フォートリエ」は分厚い絵具の層を基盤とした美しく緊張感のある作品を生み出し、1960年には「ヴェネチア・ビエンナーレ」で大賞を受賞しています。
この展覧会では、「油彩」「素描」「版画」「彫刻」など、さまざまな手段を通じて芸術を探究した「ジャン・フォートリエ」の作品が、時代別に紹介されています。
(2014.11.11:讀賣新聞夕刊)
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