「伏見稲荷大社(京都)」と「すずめ」焼き
「奈良県」は、「奈良市」の景勝地である「若草山」(標高342m)の山麓と一重目と呼ばれる中腹(251~264m)を結ぶ「小型モノレール」の設置構想を進めています。
片道約20分で、古都を眺望できる場所に到達する予定で、集客増とバリアフリー対策が目的ですが、場所は世界遺産の「春日山原始林」脇を通るルートとなっています。
自然保護や景観などの観点から異論が出るのは必至で、28日に説明を受けた「文化庁」も慎重な検討を求めたようです。
「奈良県」の構想では、山麓南側から一重目に続く長さ約600m、高低差約100mのルートで、観光客の多い「東大寺」側からは山陰になることから景観を損ねず、「山焼き」の影響も受けないとしています。車両は1両に6人乗り(車椅子対応)の2両編成で構成され、複線です。事業費は2億円と見込んでいるようです。
導入の目的は集客増による地域活性化で、国内屈指の観光地ながら「京都」や「大阪」に隣接している事情から、延べ宿泊客は223万人(2012年の観光庁調査)で、都道府県別ではワースト2位とのこと。観光客の滞在時間を延ばすとともに、高齢者や障害がある人への配慮から、「モノレール」案が浮上したもの。
「奈良県」によると、法に基づく環境影響評価が必要な開発規模ではないが、景観や鹿など動植物に与える影響を確認する調査を独自に実施中で、結果を踏まえて来年度以降に建設の可否を判断するとのことです。
「若草山」を含む「奈良公園」は名勝のため、「文化庁」に対し、文化財保護法に基づく現状変更の許可申請が必要となります。
県から初めて説明を受けた「文化庁」の担当者は、《本当に必要か議論を》と求め、今月の県議会で取り上げられた際には《(登山道から見れば)「モノレール」があるのは大変な違和感》など懸念の声が出ているようです。
(讀賣新聞:13.10.26)
タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所