「住む御堂筋」大阪市規制緩和

高塚哲治

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 「御堂筋」(約4km)沿いの建築物について、「大阪市」は来年度から、ビル高層部に「賃貸マンション」が入居できるよう規制緩和する方針を固めました。
 現在は「オフィス」や「商業利用」に限られているため、入居は「超高級マンション」に限定し、景観やブランドイメージを損なわないよう配慮するとのこと。
 「大阪市」によると、解禁するのは、「御堂筋」のうち「中央大通」~「長堀通」(約1km)です。ビルの上から3分の1に限り、「賃貸物件」の入居を可能とする見込みです18階建てビルの場合、13階以上を「マンション」にすることが可能となります。
 「江戸時代」につくられ、1937年(昭和12年)に現在の幅約50mに拡張された「御堂筋」は、イチョウ並木が続く風情ある街並みが特徴で、企業の「オフィス」や「高級服飾店」などが軒を連ねています。「大阪市」は都市計画法に基づく地区計画で、「御堂筋」沿いの建築物を「業務機能の集積を図る」と規定していますが、明確に居住を禁じているわけではなく、「オフィス街としてのブランドが定着し、行政と地権者の間で、人が住む場所ではないという『紳士協定』が成立している」といいます。
 「大阪市」は、民間投資を呼び込もうと、現在は最大60m(一部区間)としている「御堂筋」沿道のビルの高さ制限を200m級まで引き上げ、ビル壁面での映像広告も解禁する方針をすでに表明していますが、近年の都心回帰の傾向を踏まえ、“居住規制”も緩和し、街の「にぎわい」を取り戻すことにしたようです。
 「大阪市」は、新たな「地区計画」を策定中で、「御堂筋」を3ブロックに分け、真ん中の「中央大通」~「長堀通」間について「ビジネスサポートの機能として、高層部に適正な規模の居住機能の導入を図る」と明記する予定です。北側の「淀屋橋」~「中央大通」は、これまで通りビジネス利用に限定し、南側の「難波」~「長堀通」間についても「商業施設」が集まる地域となります。
 景観を守るため、入居の際には建築家やデザイナーら有識者による委員会で事前審査を実施する予定で、すでに原案を地権者らに示し、一般の意見公募を経て、今年度中にも市の「都市計画審議会」で正式決定する見通です。








(讀賣新聞:13.10.08夕刊)

タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所

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高塚哲治(建築家)

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大手設計会社での豊富な経験を生かし、多くの欠陥住宅問題を手がけ、日本ではまだなじみの薄いCM(コンストラクションマネジメント)を広く世間に発信し、遂行している

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