「伏見稲荷大社(京都)」と「すずめ」焼き
「東北新幹線」の建設に伴い分断された「上野駅」-「東京駅」間の線路を再度敷設することで、「上野駅」を起点とする中距離電車(東北本線〈宇都宮線〉・高崎線・常磐線〈常磐快速線〉)を「東京駅」まで乗り入れさせ、さらに東海道本線へ直通運転を行うための「東北縦貫線」計画が進行しています。この3線方面から東海道線東京・新橋・品川・川崎・横浜方面への直通が可能となり、また山手線や京浜東北線の混雑率が大幅に緩和され、直通輸送体系の整備により湘南新宿ラインの東京経由の開通などで所要時間が短縮されるなどの利点があり、利便性が大きく向上することが期待されています。
「品川駅」と「上野駅」の近傍に車両基地(田町車両センター・尾久車両センター)がありますが、「東北縦貫線」の開業に伴い、この両基地が直接結ばれることから、「品川駅」側の車両基地を大幅に縮小し、「上野駅」側に機能を統合する計画も進行しています。車両基地統合により、「品川駅」付近に生まれる用地は10~15ヘクタールに及ぶとみられています。「品川駅」は東海道新幹線の全列車が停車し、京急線により「羽田空港」まで15分で結ばれているほか、2027年には「リニア中央新幹線」が乗り入れる予定であり、その高い利便性が注目されています。
そこで、東京都主導で「東京サウスゲート計画」の名の下に、再開発計画が進められています。この計画は、車両基地跡地だけでなく品川地区全体を開発対象とし、東側にある「新芝運河」などの水辺を生かした街づくりや「ヒートアイランド現象」の抑制を目的とした超高層ビルの建築制限(海からの風の通り道を作る)などを設けることとされています。また、2011年12月に、この再開発地区が新たに国の国際戦略総合特別区域「アジアヘッドクォーター特区」の指定を受けています。この制度は外資系企業を対象に、税率軽減や入国審査の簡素化などを図るもので、ビジネスのグローバル化に伴う活性化が期待されています。
車両基地跡地の利用に当たっては、より多くの土地を対象エリアに含めるため、山手線・京浜東北線の線路を現在よりも東側に移設することも計画され、移設される区間の途中に新駅を設けることが検討されています。山手線への新駅設置は1971年の「西日暮里駅」以来40年ぶりのことで、開業すれば「品川駅」との間は2分で結ばれ、再開発地区の国際競争力強化に大いに貢献することが期待されています。新駅を含めた再開発は2014年の「東北縦貫線」開業後にスタートし、2016年頃の完成が予定されています。
《NIKKEI BUSINESS 2013.4.1》
タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所