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高塚哲治

欠陥住宅問題を解決し良質な建築の創造へ導く一級建築士

高塚哲治(たかつかてつじ) / 建築家

タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所

コラム

「笹子トンネル事故」:あと施工アンカー「欠陥住宅(46)」

2013年2月11日 公開 / 2020年12月28日更新

テーマ:欠陥住宅

コラムカテゴリ:住宅・建物

 《讀賣新聞2013.02.07》に【笹子トンネル「ボルト接着力低下 想定外」】という記事がありました。
 ここで使用された「ボルト」は「あと施工アンカー(「接着系アンカー」)」と呼ばれるものです。
「あと施工アンカー」とは、アンカー本体もしくはアンカー筋の一端を既存コンクリート躯体に埋め込
み、他方の部材に定着することで、存在応力の伝達を図るために用いられるものです。
 現在市販されている「あと施工アンカー」は、下記のとおり「金属系アンカー」と「接着系アンカー」に大別されます。
  ・ 「金属系アンカー」:拡張部打込み型のアンカー
  ・ 「接着系アンカー」:カプセル方式のアンカー
 「接着系アンカー」については、固着能力を確実に発揮させるため、カプセルに封入された接着剤が十分に攪拌されるよう、アンカー筋に回転・打撃を加えて施工する必要があります。カプセル方式の「あと施工アンカー」にはアンカー筋の打撃のみで回転を加えないものとして性能評価が行われた製品も存在しますが、そのようなものの場合でも、現場では回転を加えて施工する必要があります。
この工法では、「樹脂カプセル」をコンクリート孔に挿填し、「アンカー筋」を回転と打撃によって埋込み、コンクリート穿孔面と「アンカー筋」を「接着剤」により一体に固着させます。「アンカー筋」の先端部は、通常、片側斜め45度にカットされます。これは、カプセル内の樹脂の主剤と硬化剤の混合効率を良くするためです。先端部の形状として片側斜め45度カットのほかに、V型カットとW型カットもあります。
 「接着系アンカー」は、「接着剤」が頼りです。設計段階の仕様検討/施工時の品質の確保はもちろんのこと、維持管理の立案/実行を含めて、慎重な技術的検討が必要であったはずです。他の「インフラ」「建築物」に関しても、次世代へ向けての各々詳細な検証の必要性がうかがえます。







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