「建築の品質崩壊!」(「建築生産システム」の最適化へ向けて。)
「沈下修復工事」が必要と判断された場合、沈下原因から継続性の有無を判断して目的に応じた「沈下修復工法」を選定しなければなりません。「沈下修復工法」は主に「ジヤッキアップ」時の反力確保が課題となることから、沈下の継続対応策と反力確保を総合的に検討する必要があります。近接工事などによる即時的な不同沈下を除けば、通常は沈下の継続性がある場合が多く、選択を誤ると再沈下が生ずる原因となるので慎重な検討が必要となります。基礎に損傷がある場合には、基礎躯体修復工法も同時に必要となりますが、多くは基礎剛性や支持力に不足が生じているため、損傷修復とともに基礎性能の向上を目的とした工法と併せて選択する必要がでてきます。
土台から上の沈下修復は、既存地盤をそのまま利用することが多くなりますが、基礎下への「薬液注入」や「底盤拡張」などを併用しなければ再沈下の可能性が残ります。「ジャッキアップ」して地盤改良後に基礎を再構築する方法もあります。既存基礎を再利用する場合は、損傷の修復と合わせてモルタルなどにより基礎天端の不陸修正が必要となりますが、既存のアンカーボルトを再利用する場合は、土台を欠き込む必要があり、沈下修復は4cm程度までとなります。これ以上の場合は、既存基礎をハツって,アンカーボルトを交換する必要があるため、解体再施工する場合が多くなります。「ジャッキアップ」には,土台または柱に「根からみ鋼材」を取り付けて「油圧ジャッキ」でアップする方法と、既存基礎の一部をハツリ、「爪付きジャッキ」を挿入するか、土台下に直接「油圧ジャッキ」を設置してアップする方法があります。
基礎下からの沈下修復は、建築物周囲から基礎下を順次掘削して基礎底盤下に「油圧ジャッキ」を設置してアップする工法が多く、反力確保の方法により「耐圧版工法」「鋼管圧入工法」「ブロック圧入工法」などがあります。注入工法は建築物周囲から基礎下部へ薬液やグラウトを注入し、注入圧により沈下修復を行う工法です。掘削が不要で工期が短く費用もほかに比べて安価であることや、グラウト材の圧入による周辺地盤の締固めや薬液による地盤改良効果が得られるなどメリットも多くなりますが、修正量のコントロールが難しく、現段階では課題も多い工法です。《資料は、「積算資料ポケット版2013」抜粋》
タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所