「液状化」対策-1

高塚哲治

高塚哲治

テーマ:技術

 「液状化」対策には、「液状化」の発生を防止または、「液状化」の程度を軽減するという考え方と、構造物、特に基礎構造を頑丈にして「液状化」に抵抗できるようにするという2つの考え方があります。
前者の方法としては、「締固め」などによって地盤の密度を高める、あるいは「セメントを土と混合」するなどして地盤を化学的に固めるか、もしくは拘束するかの方法があります。後者の方法としては、「抗」や「基礎梁」を強化する方法です。
 小規模建築物の場合、「液状化」による被害として人命が損なわれたことは過去の地震ではほとんどありませんが、中地震程度の地震動によって「液状化」が発生し、建築物に「不同沈下」の被害が生ずるなどの可能性が高いことから、その対策が必要と考えられています。対策工法として、小規模建築物の場合は、経済的に抜本的対策が難しい場合もあることから、「不同沈下」が生じても①上部構造物の損傷を極力押える。②復旧が可能。という観点から選定することが肝要となります。「柱状地盤補強」や「抗」基礎、「矢板壁」、「べた基礎」および「浅層混合処理」などが考えられます。下図(a)は、「液状化」によって地表面が変状あるいは地盤の支持力を失っても、「抗状地盤補強」や「抗」によって建築物の傾斜などを防止しようとするものです。下図(b)は、建築物直下の地盤を拘束することにより、「液状化」の発生やその影響を出来る限り抑制しようとするものです。下図(c)は、建築物の軽量化を図るとともに,基礎の階吐を高めることにより、建築物への「への字」の変形などの被害を防止し、建築物が一体傾斜した場合でも、その復旧を可能にしようとするものです。下図(d)は、基礎底面下の「表層土」を建築物位置全面にわたって「地盤改良」することにより、堅固な支持地盤を構築し「液状化」の発生やその影響をできる限り抑制しようとするものです。
 いずれの方法を選定するにしても、小規模建築物における「液状化」対策の実施にあたっては、経済的に限界がある場合もあることから、費用対効果などを十分に考慮し、対策の実施の有無および工法を慎重に選定する必要があります。



設計監理/調査鑑定/CM(コンストラクションマネジメント)
タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所

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高塚哲治(建築家)

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大手設計会社での豊富な経験を生かし、多くの欠陥住宅問題を手がけ、日本ではまだなじみの薄いCM(コンストラクションマネジメント)を広く世間に発信し、遂行している

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