「伏見稲荷大社(京都)」と「すずめ」焼き
国土交通省は、「既存不適格建築物」の「増改築」に関する規制を緩和する方針を打ち出しました。対象となるのは、「増改築」部分の床面積が、既存部分の2分の1を超える部分です。緩和に関する建築基準法施行令/関連省令/告示の改正案を2012年8月8日に公表しています。
今回の改正案では、「増改築」部分が2分の1を超えた場合でも、一定の耐震性能などを確保するなどの条件を満たせば、既存部分を含めた建築物全体を現行の法規に合わせるための改修は原則として不要になります。
これまでは「増改築」部分が2分の1を超えると、「増改築」部分だけでなく既存部分をも含めて、現行法令に適合させる必要があり、建て替えと変わらない費用がかかるため、「増改築」が進まない一因になっていました。
今後、既存部分と増築部分が「エキスパンション・ジョイント」などにより構造上分離している場合も、構造上一体の場合でも、基本的に緩和措置を受けることができるようになります。前者の場合は、既存部分が「耐震改修促進法」に基づく耐震診断基準に適合すれば、建築基準法第20条の規定が遡及されず、既存部分の耐震改修は原則不要となります。ただし、既存部分に関しても部材などの耐久性に関係する規定には適合しなければなりません。後者の場合は、耐震基準について原則的に建築物全体で「保有水平耐力計算」や「許容応力度等計算」などの構造計算により確かめることで緩和措置が受けられます。現行制度との詳細な違いに関しては、法律施行までに確定するようです。
「増改築工事」の幅が広がりそうです。
設計監理/調査鑑定/CM(コンストラクションマネジメント)
タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所