「機械式駐車設備」の技術基準の改訂

高塚哲治

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 機械式の立体駐車場で、子どもが体を挟まれて死亡する事故が相次いでいることを受け、立体駐車場工業会は8月23日、機械式立体駐車場の技術基準を改訂すると発表し、国土交通省と消費者庁も再発防止のため、改めて注意を呼びかけています。
 今年4月に大阪府茨木市で、運転者が「昇降・ピット式」立体駐車場(昇降装置を備え、主に地下部分に収納させる方式)の台座を地下から上昇させていたところ、台座に乗ろうとした運転者の子どもが転倒し、台座と梁の間に体を挟まれて死亡する事件が発生しました。
 また、7月23日に岩手県花巻市の駐車場で、「エレベーター式」駐車場(昇降装置と駐車棚で立体的に駐車する方式)で、運転者の子どもが回転式台座と壁に挟まれて死亡する事故が発生しました。2つの事故を受け、立体駐車場工業会は、「昇降・ピット式」と「エレベーター式」両方式の技術基準の見直しを行いました。
 「昇降・ピット式」では、人の侵入防止のためのチェーンを設置する必要があったものの、チェーンを掛けないで放置される場合があったことから、立体駐車場の前面(乗り込み面)にゲートを設けることになりました。
 「エレベーター式」では、エレベーター内部に人がいる場合には作動しないように、人感センサーの設置が義務付けられました。
 これらの見直しは、既存の立体駐車場に対しても適用する方針です。「昇降・ピット式」の立体駐車場で、物理的に前面ゲートの設置が難しい場合は、侵入検知センサーで代替することも可能となります。
 費用負担については、所有者とメーカーが協議して負担の割合などを決めることになりそうです。
 国交省と消費者庁によると、2007年から2012年7月末までに、立体駐車場で利用者が死亡・負傷した事故が31件(うち、死亡事故は5件)発生しています。同様の事故を繰り返さないために、改訂した基準に沿った早急な対応が求められるところですが、マンション所有者(管理組合)にとっては、また頭の痛い問題が増えることになります。



設計監理/調査鑑定/CM(コンストラクションマネジメント)
タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所

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高塚哲治(建築家)

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大手設計会社での豊富な経験を生かし、多くの欠陥住宅問題を手がけ、日本ではまだなじみの薄いCM(コンストラクションマネジメント)を広く世間に発信し、遂行している

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