「欠陥住宅(15)」住み手の不満:「結露」

高塚哲治

高塚哲治

テーマ:欠陥住宅

 少し前の「日経BP社」のアンケート結果です。「結露」が「暑さ」「寒さ」に次いで3番目に多い回答となっています。
 ここで書かれていたコメントを紹介します。
【アンケートに書かれた具体的な不満を見て感じるのは、そもそも、設計者がきちんとかかわっていない住宅が多いのだろうな、ということだ。暑さや寒さへの対策など、基本的な性能が満たされていないという回答が多いからだ。設計者のかかわりによって問題点をかなり無くせることを、まず設計者自身が、住まい手によく説明するべきだと思う。
 結露については、発生するメカニズムを住まい手に理解してもらうことを最優先に考える。気密性が高い住宅ほど起きやすいこと、温度が低くなる窓で発生するケースが多いこと、家の中の水蒸気が原因であることなどを、まず住まい手に伝える。家具は壁にくっつけずすき間をあける、室内の換気や通気に配慮する、水蒸気をなるべく発生させないように生活する、といったことに気をつけてもらう。例えば、北側の窓だけ開けても、空気が対流を起こして換気されにくいなどの点も、伝えておく。
 マンションはすき間風がほとんどない半面、室内で発生した湿気を外に逃がしにくい。そのうえ、部屋が小さく、壁を吸湿性のないビニールクロスで覆ってしまっている。開放型のストーブを使う、室内に洗たく物を干す、金魚鉢や観葉植物を置くなどといった、水蒸気を多く発生しやすい生活では、どうしても結露が発生するだろう。せめて、これらの原因が複数、重ならないようにすべきだ。
 梅雨時など湿度の高い時期に、カビが発生することは珍しくない。住まい手には、カビの発生を自然の摂理だととらえてもらうことも大事だ。その上で、できるだけの対応策を講じるのがよい。
 戸建て住宅の場合、目に見えない壁内結露が怖い。住宅の性能が向上し高気密化するほど、対策をしっかり考える必要がある。壁内が結露すると、断熱性能が落ちるだけでなく、最悪の場合、構造体を腐らせる危険性もある。
 地面からの湿気を防ぐために、基礎を高くする手もある。建築基準法で規定している高さより10cm高くするだけで、かなり効果が出るはずだ。根本的なこととして、現代の住宅には床下が換気されにくいという問題があることも意識しておく。
 夏を過ごしやすくするためにも、風通しについて考える必要がある。例えば、バルコニーでは、前面だけでなく側面にも開口を設けておく。そうしないと、風は通らない。配慮がおろそかになっているケースもあるようだ。】
 まさしくその通りです。住まい手は、不満/不具合などを専門家に気軽に相談することです。そのコストパフォーマンスは非常に高いですよ。



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高塚哲治
専門家

高塚哲治(建築家)

タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所

大手設計会社での豊富な経験を生かし、多くの欠陥住宅問題を手がけ、日本ではまだなじみの薄いCM(コンストラクションマネジメント)を広く世間に発信し、遂行している

高塚哲治プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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