『マージン・ミックス』、ほとんどの人が知らない戦略的・活用術【商人舎magazine7月号】原稿
店舗の生産性を向上させ、最終的なお客様満足(CS)を最大化するためには、売場やバックヤードに潜む「付加価値を生まない活動」=ムダを特定し、排除することが不可欠です 。
本記事では、多くの店舗現場を見てきた新谷千里が提唱する「8つのカギ(ムダ)」を、スーパーの日常に即して解説し、改善のアプローチを提示します 。
1.なぜ「ムダ」の削減が重要なのか
ムダを省くことは、単なるコストカットではありません。
以下の3つの相乗効果を生み出します 。
• 鮮度と提供スピードの向上
作業が効率化されれば、より鮮度の良い商品を早く売場に並べられ、お客様をお待たせしません 。
• 品質の安定(ミスの防止)
手順がシンプルになれば、値札の貼り間違いや賞味期限のチェック漏れなどの事故を防げます 。
• 働きやすさとやる気の向上
意味のない作業から解放され、お客様への接客や魅力的な売場作りに集中できるようになります 。
2.徹底解説:店内の作業効率を阻む「8つのムダ」
現在の担当業務を、以下の8つの視点でチェックしてみましょう 。
① 不良・手直しのムダ
商品の破損や、発注ミスによる品切れ・過剰在庫への対応作業です 。
• 現場での補足
入力ミスによる「値札の作り直し」や、清掃不足による「商品の汚れ落とし」は、何も生み出さない最大のムダです 。
• リスク:顧客信頼の失墜、二重の工数発生 。
② 作りすぎ(出しすぎ)のムダ
売れるペースを考えず、一度に大量の惣菜を作ったり、品出ししたりすることです 。
• 現場での補足
「欠品が怖いから多めに」という心理が、結果として値引きロスの増加や、売場の乱れを招きます 。
• リスク:在庫コストの増加、本質的な課題の隠蔽 。
③ 加工(過剰サービス)のムダ
お客様が求めている以上の過剰な包装や、不要に複雑な陳列工程のことです 。
• 現場での補足
過度な飾り付けに時間をかけすぎて、肝心のお客様対応がおろそかになっていないか注意が必要です 。
• リスク:過剰サービスによる利益率の低下 。
④ 停滞(待ち)のムダ
指示待ち、レジの交代待ち、特売商品の入荷待ちなどの時間です 。
• 現場での補足
自分が作業の手を止めると、売場に商品が並ばずお客様に迷惑がかかります。
チーム連携で「待ち」を減らす工夫が必要です 。
• リスク:リードタイムの長期化 。
⑤ 運搬のムダ
バックヤードから売場への不要な往復や、重機の非効率な移動です 。
• 現場での補足
台車に載せる順番がバラバラで何度も往復するのは、小さな「運び」の蓄積ですが、大きな体力的・時間的浪費になります 。
• リスク:破損・紛失リスクの増大、移動時間の浪費 。
⑥ 在庫のムダ
必要以上の備品(資材)の抱え込みや、見切りが遅れた商品の滞留です 。
• 現場での補足
整理されていないストックは「隠れた在庫」です。
これが多いと、本当に発注すべきものの判断が鈍ります 。
• リスク:キャッシュフローの悪化、商品の陳腐化 。
⑦ 動作のムダ
道具(カッターや備品)を探す手間や、使いにくい作業台での無理な姿勢です 。
• 現場での補足
「あの備品どこだっけ?」と探す時間は、お客様への価値に一切貢献していません。
定位置管理はスピードに直結します 。
• リスク:疲労の蓄積、微細なタイムロスの積み重ね 。
⑧ 活用されざる才能のムダ
現場スタッフの「こうすればもっと売れる」「この方が楽」という知恵を活かさないことです 。
• 現場での補足
売場の最前線にいる皆さんの気づきを無視することは、店にとって最大の損失です。
ぜひ改善案を発信してください 。
• リスク:モチベーションの低下、イノベーションの喪失 。
3. 実践:改善のためのフレームワーク
これら8つのムダを排除するために、以下の3ステップを意識しましょう 。
4. 結論:お客様の笑顔(CS)へ繋げるために
ムダを省いて生まれた「時間と心のゆとり」を、「お客様への丁寧な接客や、魅力的な売場作りに再投資する」ことが、新谷の提唱する本質的な狙いです 。
作業効率の向上は、あくまで手段であり目的ではありません 。
常に、「この作業は、最終的にお客様の笑顔につながっているか?」と自分に問い直し、チーム全体でより良い店作りをしていきましょう 。
(文:新谷千里)
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