売り込まずに売上を伸ばす『アンセールスマーケティング』  ― 惣菜部門の販売事例から学ぶ ―

新谷千里

新谷千里

テーマ:スーパーの営業戦略

競合の厳しい時代にあっても、今ある資産を最大限に活かし、確実に売上と利益を向上させる方法があります。
それが“売り込まないマーケティング”、すなわちアンセールスマーケティングです。

大規模投資や大掛かりな広告を打たずとも、顧客の心に届く販売は可能です。
ここでは、惣菜部門を例に、既存のスタッフ・商品・売場という資産を使いながら成果を上げる実践法を紹介します。

売り込む前に、体験させる

あるスーパーの惣菜コーナーでは、「まずは味を見てください」と呼びかけ、人気の唐揚げやコロッケを一口サイズで試食提供しました。

お客様は買う前に味を確かめることができ、「これなら買いたい」と納得して購入します。結果として、試食を行った週は通常の1.5倍以上の販売数を記録しました。

“味で売る”ことを優先し、“言葉で売り込まない”ことがポイントです。

納得の上で買うから満足度が高い

惣菜は味や食感、匂いや温度など、実際に食べてみないと良さが伝わりにくい商品です。

試食を通じてお客様が『この味なら家族も喜ぶ』『晩ごはんにちょうどいい』と感じ、納得したうえで購入することで、満足度の高い購買が成立します。

その結果、『またこの味を買いに来よう』というリピート購買につながります。

売らない勇気が信頼を生む

惣菜担当者は、無理に売り込まず『気に入ったらぜひどうぞ』というスタンスを徹底しました。

『売るための試食』ではなく『納得してもらうための試食』に変えたのです。この姿勢が、お客様に“誠実さ”と“自信”を感じさせ、信頼関係を生み出します。

実際、お客様から『この店は味で勝負している』『無理にすすめないから気持ちがいい』という声が寄せられました。

体験を必須化することの効果

『まず味を見てから選んでください』という販売ルールを明示することで、売場が“誠実な空気”に包まれます。

試食による体験は、商品への自信を示す最も強いメッセージです。

また、スタッフが自信を持って接客できるようになり、売場全体の活気も高まります。

このような“体験必須型の売場づくり”が、リピーター育成とファン化を促進します。

売り込まない=体験を先に提供する

惣菜部門でのアンセールスマーケティングとは、味や香りといった“体験”を通じてお客様の心を動かすことです。

・試食を通じて「売り込み感」を消す
・味の自信と誠実さを伝える
・お客様が“納得して選ぶ”売場をつくる


“売らない勇気”が、結果として最も強い販売力を生む。惣菜こそ、体験型販売の力を最大限に発揮できる部門です。

ベネフィットを最大化する


アンセールスマーケティングの本質は、来店客数を増やすよりも“今いるお客様”との関係を深めることにあります。

まず、今の来店客数のままで客単価を上げるには、納得・満足・信頼をベースにした販売が欠かせません。
さらに、売場での楽しい体験や発見が増えれば、自然と来店頻度も上がります。

そして最も重要なのは、スタッフ自身が“実践的マーケティング”を理解し、体験を通じて『売ることの意味』を学ぶことです。

従業員が顧客の心理を理解し、体験型販売を自ら実践できるようになれば、売上と利益は自然と、そして、確実に伸びていきます。

こちら都合の「売り込み」から、お客様が納得して「売れてしまう」売場へ。考えるだけで楽しくなります。
顧客の満足度アップ。社員のスキルアップと粗利益アップ。そして、生産性は少しづつ確実に向上するはずです。

一番大事なことは、言うまでもなく、実行することです。


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新谷千里(経営コンサルタント)

有限会社サミットリテイリングセンター

100社以上の業績向上を実現した業務改善のプロ。売れてしまう実践的マーケティングとオペレーション改善とコスト削減。他では教えてくれない理論と実践で、競争の厳しい時代に確実に営業利益を向上させます。

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