「ロスを減らすと売上が落ちますよね・・・?」   誤った知識が“成功の鍵”を失う!

新谷千里

新谷千里

テーマ:スーパーマーケットの経営戦略

スーパーマーケット経営者の中には、「商品ロスを削減すると売上が減少する」という誤解をしている人が少なくない。
しかし、この考えは真実ではなく、経営判断に大きな間違いを起こしてしまう可能性さえ有ります。
今回の記事では、この概念の誤りを暴き、POS (販売時点情報管理) データを使用して数量管理スキルを向上させることがもたらす「変革的な利益」にスポットを当てます。

スーパーマーケットの社長や店長は、このことを知り実践してもらうことで、商品のロスを最小限に抑え、粗利益を増やし、より高い売上高を実現することができます。
それも、意外に簡単に実現できるのです。

さらに、この仕組みをつくることで欠品を抑制し、人件費やその他のコストを削減し、顧客満足度を高めるためることが出来ます。


数量管理の重要性について

数量管理には、在庫と発注プロセスの細心の注意が求められます。
POSから収集したデータを情報化して、現場の担当者が解りやすくして活用することで、その担当者は、売場とバックルームの在庫管理と注文数量に関して、正しい情報に基づいた意思決定を行うことができます。

この科学的なアプローチは、商品ロスと欠品削減に留まりません。
ムダな作業を減らし、余裕時間を生み出しますので、極めて重要な取り組みになります。

人手不足や人件費の高騰の対策としても有効であり、店舗運営上も重要なものとなります。

「ロスの減少は売上の減少」を意味するという考え方を払拭す

「商品のロスを軽減すると売上の減少につながる」という考えは誤りです。

実際には、正確なデータ分析を通じて数量管理を行うことで、粗利益率の大幅な向上につながり、売上も確実に伸ばすことが出来ます。

単品(SKU)ごとの過剰在庫や欠品を防ぎ、無駄を抑制することで、商品や人材という資源をより効果的に割り当てることが可能となり、高い確率で収益性を高めることができます。

また、ここで言うところの在庫は、カテゴリーや部門ごとの合計金額のことではなく、単品ごとの数量管理を意味します。
このことを正しく理解することが、収益性に大きな差を生んでしまうことになりますので要注意です。

数量管理による粗利益の向上

店舗は、需要予測に基づいて在庫レベルと補充を綿密に管理することにより、単品ごとの在庫レベルを最適化することができます。

また、現場に於いては、計画の遂行レベルの確認とその頻度を上げて、必要に応じて売場変更や早期の見切り処理などのコントロールを行うことも重要です。
需要と供給の間の理想的なバランスを維持するコントロール(修正)能力は、マネジメント力であり収益性に関わるとても重要なスキルです。

これらのことにより、鮮度低下や日切れなどの可能性が減るだけでなく、資源をより適切に割り当てることが可能になり、最終的には粗利益率の向上につながります。

この一連のことが、自社の現状でどのレベルに有るかを確認することと、不足する知識やスキルが確認できた場合には、早急に教育訓練を加えることが、経営者の責務となります。

このことについては、実績を積んだ外部の専門家に依頼することが得策であると思います。
最短でのレベルアップが可能であり、費用対効果が高く、得られる利益が大きく、且つ時間の節約にも繋がります。

顧客満足度向上とコスト削減のための売場に関する洞察の意義

曜日や時間帯ごとに売場を戦略的に観察することは、店舗運営に大きな影響を与える可能性があります。

開店時やピーク時間に頻度上げて観察することで、顧客の買い物行動や好みなどを理解する(聞き出す)ことで、担当者はそれに応じて在庫(品質と量)レベルを調整し、欠品を最小限に抑えることも可能となります。
これにより、顧客満足度が向上するだけでなく、スタッフがオフピーク時間(ピーク時間とピーク時間の間の時間帯)に補充に集中できるため、人件費の削減にもつながります。

そして、欠品を減らすこと。そして、単品の販売量を伸ばすことに集中するための観察を続けていくことで、売上と粗利益が拡大して、全体の運用コストが最適化されることになります。

損失を削減しながら売上を増加させる トレードオンの考え方

有効な数量管理は、商品ロスの削減につながるだけではありません。

前述した様に、コストの削減と売上の増加の間に共生関係が生まれます。

ロスの削減によって得られた節約分と欠品削減による粗利益のアップ分は、マーケティング活動や拡大計画に再投資することができます。
来店客数の増加を実現し、その結果、売上が増加します。

この戦略は、一見矛盾した目標を調和のとれた(トレードオン)有益なことに現実化させます。
私は、ここの部分がとても重要であり、コンサルティングの現場では絶対に外せない重要事項とも考えています。

「ロスを減らすと売上が落ちますよね・・・」と考えていた方にも、ここまでの解説で、少しご理解度を高めていただけたのではないでしょうか。

結論

スーパーマーケットの経営者は、「ロスの削減が売上の減少につながる」という認識は、成長を妨げる誤解であることを認識する必要があります。

POSデータの分析を通じて数量管理のスキルを磨き、顧客のピーク需要に合わせて在庫管理を戦略的に調整することで、店舗は顧客満足度を最優先にしながら利益を向上させることができます。

ロスの削減、在庫の最適化、コスト削減、顧客体験価値の向上の相乗効果により、競争の激しい小売業界で持続可能な成功をもたらす勝利の方程式が生まれます。

数量管理は品質管理と併せて、重要な商品管理技術であり、店内作業の中でもその根幹である重要なスキルなのです。

先ずは、店内のムダを改善することで得られた利益を、教育や訓練、作業効率を上げるための設備の導入、店舗の改装など拡大計画に思い切って投資することが可能となります。

例えば、
・利益が、毎月順調に出て 「安定」 している
・将来にかけて、利益を拡大させる 「見込み」 が付いている
・日々、売上を上げる 「仕組み」 が構築されている
・自分の労働じゃなく 「仕組み」 が利益を上げてくれる
と言う様なことが、現実化出来るのです。


さて、あなたの会社では、「商品ロスを削減すると売上が減少する」という誤解は社内に存在していないでしょうか?



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新谷千里(経営コンサルタント)

有限会社サミットリテイリングセンター

100社以上の業績向上を実現した業務改善のプロ。売れてしまう実践的マーケティングと作業改善、そしてコスト削減。他では教えてくれない理論と実地指導で、競争の厳しい時代に確実に営業利益を向上させます。

新谷千里プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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