生産性向上で営業利益2倍を実現する‼2018年度計画の立て方【商人舎magazine2月号】原稿
私が、コンサルティングでお手伝いしている企業で、最近大きな変化を起こしてくれた数々の人たちがいる。
その人たちは、今まで当たり前のように日々仕事をしていた。
そして、真面目に取り組んでいてくれた。
しかし、生産性という観点から、彼らの実績数値を確認してみると、決して高いとは言えない。
そして、その現場を見ると、多くの無駄が発見できるし、それ自体が、顧客満足の貢献になっていないことがある。
少しだけ仕事のやり方を変えて、効率の良いやり方をマスターして、日々実行してもらえば、大きな変化が起こる。
当然、時間当たりの生産性は飛躍的に高まる。
そして、無駄な時間が減ることによって、仕事に余裕が生まれ、お客の満足を高めるための作業を行うことができるようになる。
そのことよって、さらに売上も利益も伸びることになる。
当然、人時売上高や人時生産性は高まる方向に向かう。
そして何より、個人のスキルアップで生産性は高まることによって、仕事の貢献度が高まり、個人の報酬や満足度もたま高まることになるだろう。
私自身も、そういう変化が、現場で起きたのを見た時に、最高の喜びを感じる。
一ケ月で、飛躍的に生産性を高めた女性バイヤーと女性チーフ
最近、弊社のクライアントで、1ケ月程度で、高い実績数値を出してくれた、チームがいる。
高い実績数値と言っても、単品を山ほど仕入れて売場に積み上げて、一瞬売上を叩き出すという様な、打ち上げ花火的な話ではない。
戦術的な話ではなく、戦略的な話だ。
先ずは、下の表をご覧いただきたい。
直近の実績を確認して、改善活動を行ってもらい、3週間後の検証結果である。
私の一回の説明で、彼女らは行動を変えて、この成果を実現してくれた。
そして、作業のムダが少なくなった分、時間の余裕も生まれた。
改善に使った道具は、POPデータを情報化した見える化帳票(弊社のコンテンツ)と、商品の見切り販売の仕方を、従来の方法から変えてもらった。
何と言っても、素晴らしいことは、即実行(改善活動)をしてくれたことだ。
彼女らは、もともと潜在能力を持っていたのである。
会社が、それを「引き出していなかった」ということだ。
ちなみにこの会社では、ここ数年、業績が芳しくなく、営業のトップは、ロス率を気にして、それを低く抑えることを、現場に強要していた。
これでは、良い結果は出ないし、誰もユニークな発想はしなくなり、サービスレベルも上がることは無い。
このチームの基本が出来たら、今後は、お客のベネフィットを高めるために、売場改善やマーチャンダイジングやプロモーションの仕事に力を入れてもらう。
これからは、楽しい仕事を大いにやってもらいたい。
頼りない、今にも辞めそうな若手社員が、リーダーシップを発
私が、コンサルティングをさせていただいて、4年目になる地方のスーパーマーケットの事例だ。
訪問当初、競争も厳しく、営業利益が年々低下して苦戦していた。
在庫削減や作業改善、新商品開発や重点商品の拡販、実践的マーケティングなど、現場を中心に基本原則の習得と作業改善を進めてきた。
営業利益の低下の問題を抱えていたので、コンサルティングの当初から、店別・部門別損益管理を実施してもらっている。いわゆるカルテづくりだ。
そのツールによって、各バイヤーとチーフの意識は変化し、業務改善を進めて、生産性は確実に向上して来た。
ただここへ来て、この会社も御多分に漏れず、仕入れ原価とコストアップなど、外部環境の変化から、再度、営業利益の低下が問題になって来ていた。
そこで新たに、各店・部門ごとに、「営業利益拡大計画」を策定してもらっている。
個人個人の「考える力」と、良い結果を出すための「仕事の仕方」を正しく理解してもらい、営業利益の高い目標を達成してもらうためのものだ。
下の写真が、Zoomを使ったミーティングのもので、計画書の一部が写っている。
この写真に写っている発表者が、リーダーシップを発揮して、先輩たちを刺激してくれている若手ヒーローY君である。
「荒利益を高める」ために、また、「コストを削減する」ために何を遣るのかを、目標、具体的プロセス、達成期限などを設定し計画書を作る。
写真は、自分が作った計画に対して、現在の進捗状況と今後の課題と改善方法などについて、発表してもらっているところである。
また、それらを実行するうえで、必要となる(不足する)スキルを確認して、「部下の教育と訓練」について、具体的な計画を立て、実行して行く。
これが、良い結果を出すための「仕事の仕方」である。
発表者のY君は、確実に行動を起こし、業績を向上させてくれている。
行動プロセスの部分は、全てではないが、大方計画通りに遂行しているようだ。
チームは、結果として、人時売上高と人時生産性を、前年比2桁台に伸ばしてくれている。
Y君の成長で、「あの大人しかった子が、こんなに変わるんですね」と、一番喜んでいるはこの会社の社長だ。(笑)
「部下の教育と訓練」は、政策課題に設定され改善活動を実施
厳しい経営環境になって、利益が低下している中小のスーパーマーケット。
価格競争や販促策、売場づくり、商品開発など、遣るべきこと、遣らなければいけないことは多く有る。
しかし、業績低下の問題の本質は、教育不足に有ると私は思う。
事例の様に、教えてあげれば、飛躍的に成長し、業績向上を実現してくれる人たちが、現場には多くいる。どんな会社にも、間違いなく多くいる。
私は、この事実を、多くの会社で確認してきている。
さて、皆さんの会社では、部下の成長ということを考え、そのための行動を取っているだろうか。
部下の教育訓練をどの程度計画的に遣っているだろうか・・・。
または、全く遣っていないのだろうか・・・。
この努力の差は、今後、1年後、3年後の、もっと言えば1ヶ月後3ヶ月後の会社の利益を、そして、成長を大きく変えることになる。
私が知る限り、中小のスーパーマーケットでこのことに「気付いていない」「考えもしてない」企業はとても多いと感じる。
現場では、
「誰々は仕事ができない」
「言っているけど、やってくれない」
と嘆く社長もいる。
また逆に、
「誰々は、よく仕事ができる」
と言うが、会社が教育訓練したことではなく、単に個人の資質に頼ることが非常に多い。
しかし、そういう出来る人は、真っ先に会社を辞めていくかもしれない。
会社の継続発展を確立するのは、何と言っても人材だ。
設備や店舗は、そのためのツールでしかない。
「今までのやり方では全く通用しない」ということを理解する
電気代などのコストの高騰、仕入れ原価の高騰、そして人件費のアップと人手不足と、スーパーマーケットは、今まで経験したことのない厳しい環境の中で、運営を余儀なくされている。
ここで考えないといけないことは、今までのやり方では全く通用しないということだ。
基本原則を学び、日々教育訓練を続けている企業は、その影響を受けにくくなっているし、前年より営業利益を伸ばしている会社もある。
しかし、圧倒的に多いのは、人材の戦略的活用を考えず、ただ昔のままのやり方を続けている企業だ。
これでは、時間の経過とともに、「利益は確実に落ちる」と言わざるを得ない。
そして1年後、3年後、会社自体が存続しているかどうかも難しくなってくるかもしれない。
繰り返しになるが、上記の事例の様に、人は教育訓練を受ければ成長できる。
このことを私は、現場で数多く確認してきている。
もしあなたの会社が、教育訓練に力を入れていなければ、全くと言っていいほど、そういうことを、今まで遣って来ていなければ、大きなチャンスがあると言えるだろう。
無駄に時間を使ってほしくない
現場で働く人たちに、「無駄に時間を使ってほしくない」という思いで、私は、スーパーマーケットのコンサルティングをさせてもらっている。
企業や、そこで働く個人によって、時間の使い方が大きく異なり、生み出される付加価値(利益)に大きな差を生むことになる。
時間は、全ての人に平等に与えられているが、時間をどのように使うかによって生産性は決まるし、そこから出力される利益は、仕事の仕方によって相当な差が生まれることになる。
そして、それを、良くも悪くも日々やり続けている。
時間は、イコール、お金とも考えることができる。
そして、それを最大化させるための重要な行動は、人の教育である。
あなたの会社にも、その「宝」は現場に眠っている。
間違いなく・・・。