粗利益7%アップ、売上も好調!          ボロボロの青果チームが高収益部門に変えた、たった2つの行動とは・・・

新谷千里

新谷千里

テーマ:スーパーマーケットの経営戦略

私のあるクライアントの話です。

「ひどいな、この売場・・・」
ゴミは落ちているし、棚に埃も積り、陳列は乱雑で関連性も無い。
極めつけは、野菜も果物も鮮度が悪い・・・。
中には、腐ったものも売場に並んでいる。
担当のチーフは、私が話しかけると斜に構え、鮮度が悪いことなどを話しかけると嫌な顔をして怒り出す。

これが、今回紹介する、クライアントの青果部門ので、第一印象です。

65対35 ボロ負けの売場

この店の中には、青果売場が二ヶ所(鮮魚も肉も惣菜も)あり、私がコンサルティングするのは、大差で負けている方です。
競争相手はイケイケどんどん。売場はボリューム感があり、とにかく安い。

コンサルタントの私も、正直「何とかなるかぁ~ッ、これ?」と、考え込んだ・・・のです。

致命的なのは鮮度の悪さです。ここが出来ていないと、価格だけの戦いになります。
当然この部門は、安かろう、悪かろうのパターンに陥り、お客からの信用も取れていない状態です。

当然ですが、数量管理など全く出来ていません。バックルームは在庫の山で、冷蔵庫の中も不良品が多く有ります。
当然ですが、不良品の処理作業にも多くの時間を使う状態です。

知識なし、意識なし、行動なしのチーム 強い相手と戦う方法

「目先の売上を追うな・・・」
「ボロは仕入れるな・・・」
「ボロPOPを付けるな・・・」
これらは、訪問当初から、私が言い続けてきたことです。

目を離すと、目先の売上欲しさに品質よりも安さを優先したものを仕入れてしまいます。
POPも、プライスカードが殆どで、やたらと大きいだけ。よれよれのPOPも多く、お客に価値を知らせるPOPなど有りません。
私は、これらをボロPOPと呼んでいます。

コンセプトや基本原則、タイム・ライフ・バリュー(顧客生涯価値)など、彼らの思考の中には存在していません。

とは言え、彼らが悪いというより、それを正しく教えていない(教え切っていない)会社がいけないことは言うまでも有りません。

地道に実践の中から、また失敗の中から、時間を掛けて教えていくしか方法は有りません。
正直、コンサルティングの効率は、決して高いとは言えません。
しかし、彼らの成長のためには、こちらが投げ出すわけにはいきません。

売上アップ、粗利益率30%アップを確実にした、ボロボロの

ところが、この青果部門の実績数値は、ここ1年近く競争相手の売上を上回っている上、粗利益率でも野菜30%~33%、果物28%程度と大きく押し上げて、しかも安定しています。
スクリーンショット (3476)
最初の訪問当時20%も切るときもあったボロボロ・チームが、今は、優秀な稼ぐチームへと変貌しています。
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なぜ、このようなことが実現できたかというと、その大きな要因は2つあります。
それは、鮮度と味の徹底です。
要するに、「商売の基本中の基本」を実践し続けることです。

こちらが、「どうしたい」ではなく、「お客さんは、どちらが良いか?」を考えて、そのことに答える行動を取るということを日々実践してもらったのです。

こちら都合の考え方を、お客目線に近づけて考えると、
「遣ること」「遣るべきこと」「遣ってはいけないこと」をハッキリ教えてくれます。
これが、一番効率的で、ムダを無くして、結果を変えて生産性向上を実現してくれます。

現在の結果は、一足飛びに実現した訳ではありませんが、日々行ったり来たりを繰り返し、やっとここまで来たという感じです。

売っているのは信用

「糖度の低い果物は売りません」
「鮮度の良い、美味しい野菜を販売し、品質が低下したものは早期に見切ります」
この2つは、この青果部門の合言葉になっています。

最近は、地域の意識の高い生産者グループから、オーガニック野菜などを直接仕入れて、こだわりコーナーを作り、徐々に人気になって固定客を増やしています。
味の良さや、安全な野菜など、全国の優良な農家が生産したものも直送してもらい、販売しています。

果物やトマトなどは、糖度測定と売場表示を徹底して行い、値段が高くても買ってくれるお客が確実に増えています。

競争も厳しい中でも売上が安定し、高い粗利益を実現出来ているのは、「お客からの信用」を得ているからに他有りません。
最初が最初ですから、時間は少し掛かりましたが、やっとここまで辿り着いたという感じです。(出来の悪い子ほど可愛い・・・を地で行く感じです(笑))

次の成長ステップ

基本が出来てくると、さらなる成長のためのステップアップが可能になります。

・POSデータの分析から、科学的な販売計画への応用と立案
・品質にこだわった高単価の商品のプロモーションのチャレンジ
・サイレント・セールスマンとしての“売るPOP”の作成と検証
・SNSなどを活用した実践的マーケティングの実験
・信用を武器に、ギフトや高品質品の販売チャレンジによる新たな売上の獲得
など、例え失敗しても経験が積み重なります。
その為の余裕もあります。


情報のスピードが速くなった現在。
流行りモノや新情報に気を取られ、振り回され、大事な時間やお金を浪費していることは、勿体ないことです。(自分にも言い聞かせます・・・(笑))

何事も『基本の徹底』が第一です。
時間が掛かっても、要領が悪くても。着実にその方向に進むことの意義・・・。

彼らが教えてくれています。

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新谷千里
専門家

新谷千里(経営コンサルタント)

有限会社サミットリテイリングセンター

100社以上の業績向上を実現した業務改善のプロ。売れてしまう実践的マーケティングと作業改善、そしてコスト削減。他では教えてくれない理論と実地指導で、競争の厳しい時代に確実に営業利益を向上させます。

新谷千里プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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