年間276万円のロスを削減! スーパー副店長のリーダーシップと成果

新谷千里

新谷千里

テーマ:スーパーの業務改善

あるスーパーマーケットの副店長が、たった2週間ほどで実現した、日配部門とパンのロス改善について解説します。

弊社の業務改善で使用する『ロス削減システム』を紹介するために訪問した店舗で、店長と一緒に売場を見ていた時、副店長に挨拶をさせていただきました。副店長とは初対面でした。

大人しそうな方ですが、私が、売場を回りながら、売場づくりや商品管理などについて話をすると、とても真剣に聞いてくれて、メモを取っていました。

簡単に、2週間で、 276万円の改善達成

最初の訪問の前に、実績データを送っていただき、情報化(目的を持った帳票)し、さらに、見える化(瞬時に判断できる状態)した帳票を、彼ら見てもらっています。
その上で、現場を確認して、改善のための簡単なアドバイスをしました。

そして、約2週間が経ち、初回と同じ実績データを送ってもらい、1回目との比較をしてみました。
すると、副店長が担当する部門の実績に大きな変化が表れていました。

副店長が、2週間で実現した改善効果が、以下の実績数値になります。

SSK・ロス改善実績2207
和日配で約155万円、洋日配で約98万円、パンで約23万円。
年間で約276万円の程度のロス削減効果が期待できます。

しかし、まだ、ゴールではありません。粗利益拡大のための業務改善のスタートを切ったに過ぎません。
先ずは、欠品(お客の不満の元)の削減を実現しなければなりません。
このことによって、売上と粗利益は、確実にアップする方向に向かいます。

そして、見切り方法の改善、発注管理や販売企画など、現場確認と並行して、単品管理のスキルと、そのレベルを上げてもらうことになります。

改善の結果を出した人と、出せなかった人の違い

今回のアドバイスで使用したツールは、ロス削減を目的にした、カテゴリー別にまとめた帳票のみです。
そして、会議の場を利用して、社長、経営幹部、店長、バイヤーなど、10数名の主要メンバーに、実績確認と改善のためのアドバイスを加えました。

そして、2週間という短い期間でしたが、この副店長の様に、改善効果を出した人と、出せなかった人の違いは、何だったのでしょうか。
それは、問題を理解して、主体的に改善活動を実行した人と、何もしなかった人との違いです。

「何か行動を起こしましたか?」という、私の質問に対して、
副店長は、
「少しだけ意識して、発注や見切り方法を変えてみました」と答えてくれました。
実際本人も、実績がそんなに変わっているとは気付いていなかった様です。

せっかく情報を手に入れても、実行(プロセス)をしなければ、結果は何も変わりません。
少しの意識改善と行動が、大きな結果の差を生むことになったのです。

戦略とオペレーションとリーダーシップの重要性

下の図は、戦略(計画)実現のための方程式です。

戦略と言っても、経営戦略、営業戦略、販売戦略など、大小様々です。
しかし、この考え方は、重要度の大小に関わらず、どの様なものにも当てはまるシンプルな考え方であり、正に基本原則です。

外枠は、会社や部門の理念やコンセプトであり、ある意味法律以上のルールと言えます。

戦略は、計画力のことであり、「何を実現するのか」と「高い目標・ゴール設定」が重要となります。

オペレーションは、実行力のことであり、「誰と行うのか」「どの様に、何時までに達成するのか」「ツール(道具)は、何を使うのか」が重要となります。

リーダーシップは、マネジメント力のことであり、「部下を正しい方向に導く」「必要に応じてコントロール(修正)する」「目標を必達させる人間力」が重要となります。

少し小難しい言い回しになってしまいましたが、この3つが嚙み合わないと、成功の確率は低下してしまいます。
特に、リーダーシップは、実行するのは機械ではなく人である以上、成功確率を大きく左右することになります。

戦略とオペレーションとリーダーシップ2207
今回の事例の副店長は、主体的に動き、正にリーダーシップを取った行動であると言えるでしょう。

結果を出せない会社の注意点

私は、1回目の訪問のときの説明から、2回目の訪問まで、何もフォローを加えませんでした。
それには理由があります。

競争や人口の減少などから、売上の低下や粗利益の低下。
そして、仕入れ原価や光熱費などのコストの凄まじい高騰。
厳しい経営環境の中にあって、現場のムダを無くして生産性を向上させることは、もっとも重要であり、優先して取り組むべき重要な経営課題です。

それなのに、各リーダーたちは、動かなかったのです。
ここが、危機感の無さと言えます。
これが、多くの中小企業の経営力、組織力であり、成長した優良企業との差でもあります。

今正に問われることは、リーダーシップ力とマネジメント力です。

2回目の訪問では、1回目からの結果をもとに、戦略とオペレーション、そして、リーダーシップの重要性について解説を行い、「実行をしなければ、結果は変わらない」ことを、時間を取って説明しました。

3回目の訪問では、各部門で改善がみられるはずです。
全ての人ではないかもしれませんが、各人リーダーシップを取って、マネジメントをしてくれると思います。


私は、スーパーマーケットの業務改善のコンサルタントと名乗っていますか、
平たく言うと、結果の出せる『仕事の仕方』を教えています。

少しだけ、基本原則を勉強すると、結果の出せる『仕事の仕方』が出来るようになります。
厳しい経営環境ですが、まだまだチャンスはあります。

従業員とその家族のため、取引先の人のため、お客のため、そして、自分のため。
正しい勉強をしましょう。
そして。今までと違うやり方のプロセスを楽しみ、結果を楽しみましょう。

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新谷千里
専門家

新谷千里(経営コンサルタント)

有限会社サミットリテイリングセンター

100社以上の業績向上を実現した業務改善のプロ。売れてしまう実践的マーケティングと作業改善、そしてコスト削減。他では教えてくれない理論と実地指導で、競争の厳しい時代に確実に営業利益を向上させます。

新谷千里プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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