徹底した“高鮮度”を売ることで地域一番店になる!
「お陰様で手元資金が潤沢になって来ています」
これは先日訪問した、私が業務改善のコンサルティングをさせていただいている、地方で数店舗のスーパーマーケットを展開している社長の嬉しい一言です。
少子高齢化、ドラッグストアの進出もありました。
円安やウクライナ問題などによる原材料価格やガソリン代、電気代の価格が高騰していて、大幅なコスト増にもなっています。
このスーパーマーケットも決して例外ではありません。
その中でも、このクライアントのように、確実に安定して営業利益を伸ばし続けている企業もあります。
ではなぜ、このように業績を「安定成長できるようになったのか」を解説していきます。
「競争の時代に利益が上がる」その理由
売上も低迷して一時は深刻な状態に近づいていたこの企業の経営が、今ではかなり優秀な営業成績を残すようになっています。
好業績をもたらした、業務改善の内容を簡単に説明します。
この企業では、数量管理に力を入れてもらったことで、不必要な在庫が削減できて、生鮮品や日配品の商品ロスが大幅に削減されました。
改善活動の結果として、粗利益が確実にアップしました。
また、値引き作業や商品移動などのムダな作業が減ったことから、投入人時数が1割近く削減できました。
上記の結果から、営業利益率が確実にアップしています。
ここ2~3年、売上高は前年比100%を切るときも少なくありませんが、営業利益高が大幅に拡大して、安定するようになっています。
これらのことから、会社は、従業員の報酬を増やし、従業員のモチベーションも高いことを感じます。
そのことがまた、生産性の向上の原動力になっています。
このように、「競争の時代に利益を上げる」ための基本原則に沿って、正しい行動に変えてもらったことが、これらの結果に結びついているのです。
当然ですが、潤沢な資金により、次の戦略投資のための準備も進んでいます。
販売計画のレベルが格段に上がった
従業員のモチベーションも高いことを感じると話しましたが、売場づくりや商品管理など、色々な場面でそれは確認できるようになっています。
その中の一つが販売計画です。
私が、『販売展開計画書』と称しているその計画書は、売場づくりの4Pと言って、
・商品(カテゴリー)
・展開場所
・プロモーション
・価格
そして、
スケジューリング
などについて、具体的にプロセスの部分を詰めて考えてもらう様にしています。
単なる数字の寄せ集めでは有りません。
良い結果は、「良い計画と実行」が、確実にしてくれるのですから、ここのレベルアップは、成功の確立と成果の拡大をもたらせてくれます。
「良いものでも売れない」「遣ったけれど売れなかった」というのは、この4Pの出来が悪かった場合がほとんどです。
最初は、慣れなかった展開計画書も、盆商戦や年末年始商戦といった、大型企画から始まって、今は大小さまざまな企画に計画を立ててもらうようになりました。
そして、その精度が確実に高まってきています。
若手の社員でも、先輩たちに負けない計画書を発表してくれるようになってきて、先輩たちも大いに刺激を受けている様子です。
当然、こちらの要求基準も徐々に高まります。
回を重ねるごとにその内容は充実して、その分お客の期待値も高まっていき独自性と競争力が、確実に高まることに繋がります。
環境は常に変化する そして、お客の要求基準も高度化する
経営戦略として重要なことは、「営業利益を増やすための仕組み」を再構築することであり、その実現には、現状のプロセスを見直して、改善する必要があります。
業態を超えた競争、コストアップ、人手不足などは、今後も進むものと考えるべきです。
消費者の可処分所得が増えない中での商品価格の値上げで、消費マインドは低下します。
人件費高騰と人手不足など、スーパーマーケットは取り組むべき課題は少なくありません。
【コスト削減】
作業や在庫の見直しによって、人件費の低減など、生産効率アップは絶対不可欠
【粗利益の拡大】
価格競争をしなくて済むような、独自性のある商品開発とファンづくり
【実践的マーケティング】
新聞の購読率低下と販促媒体の多様化と戦略的活用
遣るべき課題とそれらのプロセスを明確にすること、そして、優先順位を付けて、確実にムダ無く実行することが重要です。
スーパーマーケットの業界では、M&Aの話を耳にすることが多くなってきている様に思いますが、生産性が低い企業の場合、優位に計画が進まないと思います。
また、生産性の低い同士の統合では意味がありません。
そういう意味でも、規模の大小に関係なく、生産性を高めて企業価値を高めることが、最も重要であると思います。
原価高騰とコスト上昇は、必然と考えて、将来のために改善行動をとるべきだと思います。