営業利益はアップしているだろうか? 無理して売上を追っていないだろうか?   スーパーの正しい経営戦略

新谷千里

新谷千里

テーマ:スーパーの業務改善

コロナ禍特需の2020年、スーパーの売上は勝手に上がった。
2021年の今年、その反動で前年を割り込む店舗も少なくない。
しかし、これは、昨年から予想されたこと。

「2019年対比でみると・・・」と、わざわざ一昨年の数値を持ち出して比べる人もいる。
でも、それって、何かの役に立つだろうか・・・?
過ぎたことを掘り起こしても、下がった実績は何も変わらない。
前年割れの言い訳を探しているに過ぎない。「時間の無駄ではないか」、と私は思う。

ビジネスの目的と、ゴール

あなたの会社の今期の『ゴール』は、明確になっているでしょうか?
そして、それは、全員が確認して共有されているでしょうか?
そして、確実にゴールへ突き進んでいるでしょうか?

ところで、あなたの会社のゴールは、何でしょうか?
『売上』でしょうか?
それとも、
『利益』でしょう?

この、一見同意語に思える売上と利益ですが、目指すゴールとその目標よって、現場の行動は大きく変わることになります。

本来、営業活動のゴールとは、営業利益の拡大です。そして、その目標値があります。
売上だけに気を取られていては、ゴールに辿り着くことはできません。

ビジネスは営利目的です。
念のため、
会社の理念やコンセプトという、会社の存在意義や目的とは違う次元の話です。

多くのムダを生む、悪しき週間「目先の売上を負う」という行

コロナ禍によって、世の中の需給バランスが大きく変化しました。
飲食業や旅行業などの需要が大幅に減りしました。

その恩恵を最大限に享受することになったのが、巣ごもり需要の受け皿となったスーパーマーケット(食品スーパー)やドラッグストア、ホームセンターなどの業態です。

しかし、コロナの感染者が減ってくると、世の中の人の考え方と行動が変化するわけですから、スーパーマーケットの売上が下がることは、当たり前のことと言えます。

当然ですが、お店の品揃えやサービス、売り方を変えると言った、何らかの改善を加えなければ、自然と売上は前年比を割り込むことになります。

このことを正しく理解していれば、無理して売上の前年比を負うことは必要ないと思います。問題は、中身です。
ところが、目先の売上を追いかける習性から抜け出せない人が多くいます。

コロナ禍で中止していたチラシを再開して、安売り合戦をスタートさせます。
チラシを投入することが悪いというわけではなく、利益を拡大することに焦点を置いて活動することが重要です。

コロナ禍で、チラシを打っていなかった時の店舗運営は、楽だったはずです。
殆どの店舗において、粗利益率が確実にアップして、チラシ投入費用が無くなり、営業利益は飛躍的にアップしたと思います。

チラシを打っていた時のように、特売品の準備作業から陳列、そして、売り出しの残品の整理や値引き処理などをしなくて済んだわけです。
その分の店内作業種と作業時間は、確実に減ったはずです。

今後、チラシの投入回数を減らすことや掲載するアイテム数の削減、陳列や加工作業に手間のかからないアイテムの選定や工夫などと言った、費用対効果(利益)を考えたプロモーションの仕組みを考える良い機会だと思います。

折角、コロナ禍で良い経験をしたのですから、そこからアイデアを導き出して、生産性の高い方法を考えるべきです。

『利益体質にする』

ビジネスの目的は稼ぐことです。儲けることです。
「限られたお金と時間を使って、どれだけのリターンを生むことが出来きるか」ということです。

経営の必須事項は、「利益を上げる(続ける)こと」であり、利益は、会社がどれだけ社会に貢献しているかを示すバロメーターでもあります。

スーパーマーケット業界では、M&A(合併買収)やTOB(株式公開買付け)の話題が頻繁になって来ています。
また、業態を超えた競争が厳しくなり、ネット販売を強化するスーパーも増えてきています。

ネットスーパーも、ある意味「目先の売上を負う行動」とも言えます。
大手資本の企業や高い利益を出している優良企業は別として、そうでない企業に於いては、既存店舗で遣れること、改善すべきことがあるはずです。
儲からないことをわざわざ遣ることが、ビジネスの手段として良い選択であるとは思えません。
場合によっては、既存店舗にも負担を強いることになり、既存店舗を弱体化させ、全体の利益を減らしてしまうことも考えられます。

業務改善で、独自のマーケティングと生産効率の高いオペレーションを実現していけば、利益は拡大して、確実に成長することが出来ます。

「確実に利益を出す仕組み」に改めるチャレンジのとき

損益計算書をイメージしてもらえば解りますが、『売上』や『粗利益』、また、『各種コスト』は、営業利益を最大化させるための目標となるものです。
これら一つひとつは目標であり、ビジネスのゴールではありません。

これらの、
目的、ゴール、目標を、「どう理解し」、
そのために、
「どう行動する」かで、
時間の経過とともに、
個人(経営者も含め)と会社の成長に大きな差を生むことになります。

業務改善は、人の体に例えると、脂肪などのムダを無くして筋肉質になることを目指します。
メタボになってしまうと、病気にかかりやすいことと同じで、会社も多くのムダを抱えて運営していると、何時かは身動きが取れなくなってしまいます。

そして、キャッシュフロー計算書の営業のキャッシュフローが拡大して、「キャッシュがあれば・・・」、生産性を高めるための投資が自由に出来るようになります。


目先の売上を追う考え方と行動を改めるべき時に来ていると思います。

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新谷千里
専門家

新谷千里(経営コンサルタント)

有限会社サミットリテイリングセンター

100社以上の業績向上を実現した業務改善のプロ。売れてしまう実践的マーケティングと作業改善、そしてコスト削減。他では教えてくれない理論と実地指導で、競争の厳しい時代に確実に営業利益を向上させます。

新谷千里プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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