営業利益は、店長の時間の使い方で決まる⁉【商人舎magazine5月号】原稿
「もっと、売りたいもんがあるんよ」
「先生どうしたらいいんやろか?」
前向きなベテランの女性パート社員が、私に問題定義してきます。
コロナ禍で、訪問が出来なくなって、ZOOMを使って、オンラインでコンサルティングを実施したクライアントの事例です。
パート目線を生かした、問題発見と課題設定
今回のコンサルティングは、店長や本部スタッフのほかに、現場で頑張ってもらっている女性パート社員にも参加してもらい、大小の問題点を聞き取りました。
このことは、店長や男性社員では、気付かない、また、発見できない可能性があること。
そして、問題がわかっていても、改善課題に設定されないことなど、日々現場では少なくないことです。
売上アップや粗利益改善、コスト削減など、業務改善の重要なアイデアをもらえることが少なくないのに、です。
「商品が多すぎて、私が売りたいものが、フェイス数を広げられない・・・」
バイヤーの設定している取扱品目が、尺数の割に多く、結果的に、売れ筋や、売り込みたいもののフェイシングの拡大が出来ないというのが、このパート社員さんの問題定義でした。
私は、この和日配担当のパート社員さんの話をじっくり聞き取り、参加者全員に課題設定と本部も含めた解決方法を伝えました。
そして、彼女は、すぐに実行してくれました。
即実行で、大幅な記録更新!
この店舗は、小型店です。
大型店の様な品ぞろえや、売り場展開が叶わない分、『独自の売り』を作る必要があります。
今回問題定義があった売場は、豆腐売場です。
アドバイスは、
①POSデータを確認して、値引きロス(量と金額)が多いSKUを確認
②バイヤーと相談して、品ぞろえから除外する
③売りたい商品やこだわり商品を優先した棚割り変更
④営業POPの修正
など、簡単な内容です。
彼女が即時、売場変更を行ってもらった結果、単品の実績の変化はすぐにPOSデータに出ました。
それが、以下の表です。
結果、パート社員が売り込みたい商品が、売上高で1番と3番に大躍進。
特に、698円もするおさしみ湯葉が、変更前の約1.9倍の売上を記録して、ダントツ1番の売上、地元の手盛りとうふ165円が、約1.4倍と、共に大幅に売上を伸ばしたのです。
当然、値入もしっかり入っていますので、粗利益も大幅なアップになります。
パートはやる気で仕事をして、リーダーは、戦略に集中する
今回のパート社員の事例には、
・エンパワーメント(権限移譲)
・人財育成
・部下の教育と訓練
・差別化の実現
・実践的マーケティング
・売場の活性化
・リーダーシップ
など、など、多くの意味とその成果を含んでいます。
しかし、一番重要な要点は、
「前向きな意識を持った社員」の力を借りて、チームが共に成長することだと思います。
『戦略』を立てただけでは、
今回の様にパート社員が実行してくれた『オペレーション』が伴わなければ、結果は出ません。
そして、結果を確実にするには、一緒に活動してくれた店長たちの様な『リーダーシップ』が重要です。
当然ですが、他所の遣っているようなことの表層的なマネするという様な、戦術的な行動では、中長期的な成長は望めません。
おばちゃんパート社員は、
「豆腐は手ごたえがありました!」と、報告してくれました。
彼女は、今後もさらに頑張ってくれることでしょう。
大いに期待したいと思います。
定年退職など、させられません。(笑)
このパート社員の前向きな「行動する意欲」は、個人的にも、会社的にも、とても重要なことです。
あなたのお店の、おばちゃんパートさんの『本当の力』、発揮してもらっていますか・・・?