『マージン・ミックス』、ほとんどの人が知らない戦略的・活用術【商人舎magazine7月号】原稿
今回は、少し志向を変えて、いつもより更に、現場に近づけて話をしようと思います。
今年に入り、弊社に「お問い合わせ」をいただき、新たに業務改善のコンサルティングをスタートさせて頂いる企業が、数社あります。
全ての経営者の皆さんが、例外なく言われること。それは、「やり方が分からない・・・」ということです。
その中身は、企業よって多少違いがあるのですが、今までのやり方以外に、『良いやり方』のアイデアが、社内から出てこないと言うことです。
徐々に競争が厳しくなり、売上が下がり、それ以上に粗利益が下がる。
一方、経費はほとんど下がらずに、営業利益は、大幅に低下してくる。
「一体、どうしたら良いのか・・・」、非常に悩ましい、そして深刻な状態です。
勉強する術がない・・・。
そして、このことは、ローカルのスーパーマーケットの話だけではありません。
大きな組織や団体に加盟した、チェーンストア企業でも、決して例外ではないのです。
「業務改善の勉強の仕組みは、無いのですか?」
私が、オーナーに尋ねると、「ありません」と、ハッキリと答えられます。
正直私自身もびっくりです。
外から見ていると、しっかりやっている組織に見えるのですが、どうもそうではない様なのです。
業務改善は、それ自体が目的ではありません。
時代の変化に合わせて、また、世の中より少し早く、商品やサービスを「うちのやり方」で、お客にお届けする。そして、そのための効率的なオペレーションの仕組みを作り上げることです。
それによって、生産性を高めて、会社の競争力を高めることが目的です。
そのためには、売場づくりやオペレーションなど、今までのやり方に固執することなく、新しいやり方に、『変える』努力をすることが必須になります。
今回、問い合わせを頂いた各企業のオーナーは、複雑になる経営環境の中で、人に「聞く」と言う行動を取りました。ここが、変化するためには、非常に重要な一歩であると思います。
何をすれば、業績は改善の方向に向かうのか?
停滞もしくは、ジリ貧の会社のオーナーが一番知りたいことは、「どうしたら、業績を改善することが出来るのか」ということでしょう。
そこで、一番大切なことは、プロフィットとロスの意識をしっかり持つことです。
プロフィットとは粗利益。ロスは、経費です。損益計算書(PL)を見ると誰でもわかる簡単なことです。
しかし、不振店の関係者は、ここにフォーカスしていない場合がほとんどです。
多くの場合、目先の売上を追うことばかりを考えています。今までの成功体験が邪魔をします。
そして、オペレーションのことなど、全く考えていません。
特売やで、一時的な売上を上げますが、顧客は、「必要なものの先食い」をしているだけです。
一方お店は、単価が下がっているだけです。顧客生涯価値は、確実に低下することとなります。
そして更に、そのようなことの対応に人件費を投入して、人時の管理も非常に甘い場合が多く有ります。
実際に残業の管理も出来ていない事例も多いものです。売上は低下しているのに、人件費の管理も出来ていない。のです。
この様なことを続けていれば、確実に粗利益(プロフィット)は低下して、人件費などの経費(ロス)は、同じか、粗利益の低下によってその比率は、拡大することになります。
ですから、これらのやり方を変えていく必要があります。
面白味のない、平凡な売場
業績低迷の企業に共通することの一つが、「売場が面白くない」ということです。
需給バランスで言うと、圧倒的に供給が勝っている時代です。
ですから、当たり前の商品を当たり前の売り方で売っていると、価格は確実に低下することになります。
お客は、必要なもの以外買ってくれません。コモディティ品の粗利益は、確実に低下する方向に向かいます。
実は、ここに商品戦略の大きなヒントがあります。
何をすれば良いかは、簡単なことです。
◆「何を売りたいか」が解る。そして、「買いたくなる」
期待値を超える売場をつくる。
それは、新しい商品やサービスをお客に提供することです。
今まで売場になかった『商品』、今までにやってなかった『売り方』をすることです。
至って簡単なことです。
でも、不振店は、遣っていないのです。
生産性に程遠い、オペレーション
業績低迷の企業に共通することのもう一つが、「オペレーションが成ってない‼」ということです。
写真①
写真② ◆少ない在庫と5Sは、ローコストオペレーションの基本 写真①、②
作業動作、段取り、稼働計画、作業指示、在庫、物流、マテハン、レイアウト、設備など、その多くに問題を抱えています。
これらのことは、ハッキリ言って、社内で解決することを考えていても、なかなか成果を出せないと思います。
そして、改善活動を遣っていても、スピードが上がらないという場合がほとんどです。
外部の力を借りることが、費用対効果が高く、将来の営業利益の拡大を考えれば、それが得策であると思います。
効率が上がって、経費が下がれば、簡単に営業利益は上がります。
スピードを上げて実行すれば、意外に簡単に成果に結びつく事例も多く有ります。その分、将来の営業利益は、確実に拡大することになります。
重要なアクション⁉
私たちが、業務改善のコンサルティングをさせて頂いていて、感じることは、企業間の行動のスピードの差です。
これが、業績低迷に大きく関わっているとも言えます。
オーナーは勿論、経営幹部の意識と改善行動のスピードの違いが、時間の経過と共に、成果に大きな差を生むことになります。
業務改善を軌道に乗せて、成果を出すためには、リーダーシップが必要です。
改善活動を現場任せにしているようでは、リーダーは失格です。そういうリーダーは、少しでも早く交代すべきです。
経験が浅くても、意思があれば、行動を起こし、結果は確実についてくるものです。
今まで、私は、そういう事例を数多く見ています。
低迷する業績を変えるためには、今までとは違う行動が必要なのです。今までのやり方では、「ヤバイ・・・」ということです。