生産性を上げる、戦略的人事考課 【商人舎magazine12月号】原稿
私は、業務改善のコンサルティング先企業の人たちに対して、「地域で一番の給料を貰える会社にしましょう」と呼び掛けています。
業務改善の目的の一つは、ここにあると強く思っています。
それは、
「賃金の安い会社で働きたい!と思うだろうか?」
「待遇の悪い会社で、働きたい!と思うだろうか?」
と言う、働く側からの単純で素朴な疑問からです。
「従業員満足」を口にするリーダーは多いように思います。
その目的を達成する意味でも、言葉だけではなく、「地域で一番の給料を払える会社」を目指してもらいたいと思います。
働く時間を減らし、賃金を上げる⁉
公益財団法人・日本生産性本部が、日本の労働生産性(2017年)が、主要先進7ヵ国で最下位だったと発表しています。それも、何年にも渡って続いているそうです。
その中にあっても、(一部の優良企業を除き)スーパーマーケットの生産性は、特に低い部類に入るものと考えられます。
また、「人時生産性をあまり重視していない」「実績数値をほとんど理解していない」という企業が多いことにも驚かされます。
この場合、現場(会社)は、人時生産性の目標値を持っていないということになります。
人時生産性の目標値を持っていないと、頭数管理になり、「人員が一人減れば、一人採用する」ということの繰り返しになり、何時まで経っても生産性はアップしないことになります。
更に言えば、不足分の人員を採用できないと、多くの場合残業が増えて、更に生産性は低下することになります。
また、「従業員個々の貰っている報酬が低い」、「会社はその逆に、人件費率が高い」という場合。これは正(きさ)しく、生産性が低いという状態です。
このことを数値で考えてみると、労働分配率(人件費÷粗利益高)が高く、人時生産性(粗利益高÷投入人時)が低い状態です。
固定経費(販売管理費)の中で、ダントツに高い割合を占めるのが人件費です。
人時生産性が低い状態では、会社の営業利益と従業員の報酬をアップさせることは難しくなります。
価格競争、人手不足、賃金の高騰、そして、働き方改革などの多くの問題に対して、人時生産性のアップは、待ったなしの重要改善課題なのです。
付加価値の高い仕事の割合を増やす
損益計算書の上では、人件費は単純なコストです。
しかし、戦略と生産性を考える上では、重要な「投資」と考えるべきです。
投資という観点で言えば、人件費を使って、いかに付加価値(粗利益)を拡大するかという、目標値を持つことが重要です。
例えば、高い給料を提示して、能力の高い人財を採用することができれば、会社の生産性を上げられる可能性は高まります。
また、高い能力を持ち、貢献度の高い社員の定着率もアップすることにもなるでしょう。
この様な場合、短期的には、コストはアップするかもしれませんが、長期的視点で考えれば、会社の生産性は高まる方向に向かうと言えるでしょう。
勿論、職場環境なども働く従業員にとっては重要であるのですから、お金だけの問題ではありません。しかし、給料が高いことで、社員の生活も豊かになり、仕事に対するやる気にも繋がってきます。
そのためには、「効率の悪い作業や仕組みの改善をはかり、付加価値の高い仕事の割合を高めていく」という、生産性向上のための視点と改善行動が重要になってきます。
競争の厳しく、変化のスピードが速いこの時代。「気がついた時にはもはや手遅れ」というような悲惨なことにならないようにしなければなりません。
給料を高くすることで、生産性をアップさせる
私は、名も無い小さな企業に依頼され、新規出店の準備を依頼されたことがあります。
その中で、従業員の採用計画を立て、募集をかけたときのことです。
アルバイトやパート社員の時給を、地域の相場より明らかに高い設定をして募集を行いました。結果は大成功です。
全く知名度の無いスーパーマーケットに対して、高校生や大学生はもとより、30歳代から40歳代の若い主婦を中心とした、多くの女性から応募をして貰うことが出来ました。
早速、面談と審査を行い、性格が良く笑顔が素敵で、元気な方を多く採用させてもらいました。皆さん若いので、仕事を覚えるのも早く、何と言ってもパワーがあります。
新規採用のコストに対する生産性も、とても高いものとなったのです。
営業計画では、土日や祭日は、アルバイト中心の運営を考えて、小さな子供を持つパート社員には、出来るだけ休んでもらいました。
土日や祭日は、アルバイト比率の高い運営にして、早朝からパンや牛乳などの品出しをやってもらい、その後はレジを担当してもらいます。
そのことによって、アルバイト社員も、給料を多く稼ぐことが出来ます。
従業員の生活(要望)を優先して考え、待遇改善に努めれば、従業員も力を貸してくれます。チームの生産性は、当然高くなります。
「優秀な人を集めて、教育訓練を施す」ということで、時間の経過と共にチーム力は確実にアップしていきます。
「結果が出ないのは、みんなの頑張りが足りないから」ではなく、正しく頑張ってもらうことと、頑張りたい環境を整えることが重要だと思います。
働き方改革で残業代が減る…⁉
働き方改革も待ったなしです。
長時間労働の改善、非正規社員と正社員の格差是正、高齢者の就労促進など、企業には、それらの課題の改善が求められています。
中でも、直接的な、残業時間の問題や有給休暇の取得の問題は、生産性の低い企業にとっては深刻な問題であり、営業活動など現場のオペレーションに大きく関わります。
そしてまた、働き方改革で残業時間が減れば、従業員の所得の減少に繋がり、現場の意欲が低下することも考えられます。
有給の年間5日以上の取得も義務化されました。
違反した雇用主には、「労働者1名の違反につき30万円以下の罰金」が科せられます。仮に取得していない従業員が10名いれば、最大300万円万円の罰金ということになります。
ですから、そうならないためには、業務改善で会社全体の人時(労働)生産性を向上させること、そして、その実現によって従業員の賃金をアップさせることを並行して考えるべきです。
「従業員の満足や、やる気の向上によって、それが顧客満足に繋がり、結果として会社の営業利益が拡大する」という、正しいサイクルを回すことが重要です。
『従業員のスキルアップ=報酬アップ』の考え方を基に、実現のための教育訓練計画(戦略)づくり、日々の実践、そして実地フォロー(リーダーシップ)体制が必要になります。
多くの課題に着面した『今がチャンス⁉』の時
色々書きましたが、重く複雑に考える必要はありません。
あなたが読んでいただいている私の記事のタイトルは、「お客と社員に支持される生産性向上策」です。
現場で働いている社員が、「満足の状態」それが高位であれば、そこに来店してくれる「お客の満足」のレベルもきっと高位になって来ると考えています。
そして、結果として、現場の生産性は向上し、会社の営業利益の拡大に繋がるでしょう。
これが、正しいマネジメント・サイクルであると思います。
その観点(コンセプト)から考えれば、残業時間を減らして、(終業の)タイムカードを押した後の従業員一人一人の時間を、リフレッシュや成長のための学びなどに、有効に使ってもらうことです。
このことは、「個人の成長」と「充実した人生を送ってもらう」上で、とても重要であると思います。
有給なども、「みんなで考え、協力して、工夫して取る」ことで、結果として全体のコミュニケーション力も増し、チーム力も増すこと繋がるのではないでしょうか。
それらのことは、従業員が働く会社にとっても、貢献度が高く大いに歓迎すべきことでしょう。
もし、あなたの会社が「生産性が低い」としたら、効果の出ない今までのやり方を、早く見直す必要が有ると思います。
生産性を高めるためには、作業改善や仕組みの見直しなど、『正しい業務改善』活動に取り掛かる必要があるのです。
食品を中心に品揃えし、美味しさ、安心安全、健康、簡単便利、そして楽しいをお届けする。地域のスーパーマーケットは、お客の日々の生活に無くてはならないお店です。
更なる地域貢献のためにも、そして、業界全体の地位向上のためにも、生産性向上を実現してもらいたいと思います。
もし、あなたが、
生産性を上げて、確実に業績を向上させたい時は、是非、サミットリテイリングセンターへご連絡ください。
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