売上と粗利益を簡単に上げるサイレントセールスマンを創る POPの力と基本原則を知る
スーパーマーケットで使われている、基本四原則。今回は、これをお客の視点で考えてみます。
基本四原則の実行度と出来映えが、店舗の売上高や粗利益高、そして、営業利益高に大きく影響するということを解説して行きたいと思います。
そして、単なるルール(決め事)としてではなく、戦略的に考えて行きます。
基本四原則とは、
①欠品(品揃え)
②品質(鮮度、味)
③クリンリネス(清掃、衛生管理)
④接客・接遇(身だしなみ)
のことです。
企業によって、内容(表現)が多少変わったりしますが、大方この四項目でしょう。
意外に理解されていない基本四原則
「基本四原則は、社内に有りますか?」という質問をしてみると、企業規模が小さくなるほど、「無い」と答える確率が高くなるように思います。
これは、原理原則の部分の教育を受ける機会が少ないことに比例していると思います。
また、有ると答えた企業の中で、「基本四原則が、社内で日々使われていますか?」という質問に、「あまり使われていない」や「全く使われていない」という答えも多くみられます。
原因の多くは、その意味(重要度)を正しく理解していないことにあると思います。
言葉としては知っているけれど、活用されていないということは、とても勿体ないことです。
お客の視点を理解し、お客の期待を超える商品やサービスを提供することが、ビジネスの基本です。
基本四原則の「なぜか?(考え方)」を理解すれば、行動が変わります。
どう考え、どう行動するかで、結果が大きく変わるのです。
具体的に中身を見ていきましょう。
売上と粗利益を確実に上げる、“欠品(品揃え)”改善
目当ての商品があり、それが並んでいるゴンドラ(定番)の中に入り、その商品を探すと無い・・・。
「わざわざ、これを目当てに買い物に来たのに・・・・」
「がっかり・・・」
また、テレビや雑誌で見かけるあの商品。
「一回食べて(使って)みたい・・・」
でも、この店では取り扱っていない・・・。
これも欠品です。
目的買いで来店したお客にとって、欠品は、大きな不満を生むことになります。
欠品は、時間軸で考えることも重要です。
例えば開店時、有るべきものが売場に出ていない。陳列されていないことも、お客の不満を呼ぶ大きな問題です。
欠品を減らすことは、簡単な数量管理や情報収集などの仕組みづくりで可能になります。
欠品がなくなれば、簡単に売上高と粗利益を拡大出来ます。
信用を高める“品質(鮮度、味)”管理
スーパーマーケットの商品政策の中で一番重要な事は、生鮮品を中心とした高位の品質でしょう。
その中でも特に大きいのが、生鮮品の『鮮度』と『味』です。『お客の期待』も高いと言えます。
商圏内に、ドラッグストアなど競合店が増えても、お客は、価格だけで店舗を決めるわけではありません。
高い鮮度の生鮮品を日々提供できていれば、お客は優先して日々来店してくれるでしょう。
特に野菜や生魚などを「地域一番」の鮮度で提供している店舗は、高い競争力と集客力を持つことになります。
信頼の証、クリンリネス(清掃、衛生管理)
スーパーマーケットのお客の多くは女性客です。特に、クリンリネスには敏感であると言えます。
幾ら綺麗で美味しそうな刺身や惣菜で売り場を作っていても、売場やバックルームの清掃が行き届いていない場合、敏感なお客は買い物(来店)をしてくれなくなります。
併せて、従業員の身だしなみも重要なチェック項目になります。
また、清掃管理レベルや身だしなみは、衛生管理レベルに繋がると考えられます。
その管理レベルが低い店舗は、お客からの信頼を失い、売上の伸びを抑えてしまうことになります。
ファンを獲得する“接客・接遇(身だしなみ)”
第一に、お客を笑顔でお迎えする。これが一番大切なことでしょう。
接客五大用語、八大用語など、スーパーマーケットには、接客教育のための業界用語が有ります。
しかし、その前に理解しておかなければならないことが有ります。
それは、形ではなく、心からの笑顔で、お客をお迎えすることが、何よりも重要であるということです。
なぜなら、買う立場になったら、単純に解るはずです。
感情のこもっていない、形だけの挨拶をされても、お客は嬉しく思わないでしょう。
例えぎこちなくても、温かみのある笑顔のあいさつをしてもらえれば、気持ち良いものです。
私は仕事上、年間に150回ほど飛行機に乗りますが、訓練された接客のプロであるCA(客室乗務員)さんの接客対応は素晴らしいものです。
しかし、そのレベルに個人差が有ります。当然、航空会社が変われば、同じように違いが有ります。
日本の各航空会社の場合、技術面や安全性など、機能面では大きな差は無いと思います。
その中で、私は何時も乗る航空会社を一社に決めています。
その理由は、私が最初のほうに受けた、接客対応や気遣い(接遇)の違いからです。
私は、一社の航空会社を気に入り、年間何百万円という運賃を、その航空会社に払っています。
しかも、それは、たった数回の接客対応から得られた体験からです。
実に、20年以上に亘ってその航空会社を利用させてもらっているのです。
また、接客や接遇は、飛行機の延着などのトラブルが発生した時の各係員の対応にも、確実に表れると言う経験もしています。この時にこそ接遇の差が表れるものです。トラブルにあった時でも、良い接客や気配りのある対応をしてもらうと、搭乗後も良い気分でいられます。
これらのことは、スーパーマーケットでも、同じことが言えるのではないでしょうか。
「買わない理由」を無くす⁉
欠品が多くて、そもそも買えない。
品質(鮮度、味)が悪い。(期待値に達しない)
クリンリネス(清掃、衛生管理)のレベルが低く、その店の商品を買う気になれない。
接客・接遇(身だしなみ)の教育(躾)が出来ていない。
これらが、お客の「買わない理由」になるのです。
お客の満足の前に、不満を読み取り、改善策を考えることが大切です。
特に注意しなければならないのが、スーパーマーケット企業の場合、幹部社員やその他の正社員の殆どが男子社員であるということです。
現場の不満に対して、お客は基より、女性社員の意見を聞き入っていない場合を多く見かけます。
基本四原則は、お客の視点を持つための重要な指針(コンパス)であるのです。
目先の売上を追うノウハウに振り回されることなく、基本を徹底することが重要です。
このことが、お店に対するお客からの信頼と信用を高めて、会社を確実に成長に導きます。
攻めの基本四原則で売上を上げる
基本四原則をルールと考えてしまうと、堅苦しく感じてしまい、行動(改善プロセス)としても形骸化することが少なくありません。
しかし、戦略と考えれば、全く行動が変わります。
例えば、
☛欠品をしないということで、確実に粗利益を拡大させる。
☛地域でダントツの鮮度をお客に届けることで、競争力を飛躍的にアップさせる。
☛安全で美味しい物を仕入れて、お客に届けて喜んでもらう。
☛衛生管理を徹底して、安心で気持ち良い環境で買い物をしてもらう。
☛笑顔で挨拶して、思いやりのある対応をしてお客と繋がる。
という様に考えていれば、自然と前向きで積極的な『取るべき行動』がとれるようになるのではないでしょうか。
お客との間に信頼関係を構築することが出来れば、どのようなビジネスでも成功の確率が確実にアップします。
結果として、生産性も向上することは言うまでも有りません。
何処の企業にも、強みと弱みはある物です。
重要なことは、何で尖がるか(差別化)を戦略として決めることです。強みを更に磨き、競合が追随できなくするくらいの思いが必要でしょう。
そして、極端な弱みについては、期限を決めて、目標値までに改善(中立化)することを考えなければなりません。
基本4原則の弱みは、市場から致命的な打撃を受けることにもなりかねません。
特に、お客の健康にかかわるような衛生管理や、鮮度管理などで課題が有る場合は、スピードを上げて解決することが求められます。
会社の運営力は、上記のチェーンの写真のように、強い部分ではなく、弱い部分で決定すると言えます。
ブランド力は、基本四原則で決まる
大切なことは、「全てをお客の視点で考える」という癖付けをすることです。
「考え方変えれば、行動が変わり、行動が変われば、結果が変わる」のです。
そして、行動のすべてが、良くも悪くもブランドとなります。
そうです。あなたの店のブランドです。
単なる会社のロゴやデザインが、ブランドではありません。
全ての行動が、ブランドを作ります。
ブランド力を高めることが出来れば、競合店の価格が少しぐらい安くても、お客はあなたの店を指示してくれます。
あなたの店の推奨する商品であれば、安心して買ってくれるはずです。
お客は、あなたの店のプロセス(ストーリー)を見ています。単なる価格や品揃えだけで買い物をしてくれている訳ではありません。
信頼できるブランドの店舗には、良いお客と良い社員が集まります。
基本4原則は、=ブランド創りなのです。
そして、戦略なのです。
■商人舎WEBコンテンツ10月号
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