売上を“10倍”にする会議 スーパーの生産性を簡単にアップさせる1つの方法!
今回のテーマは、タイム・マネジメントです。
『前工程』『後工程』、「何時、何をすべきなのか」、生産性を上げるための作業の段取りについて考えていきます。
タイム・マネジメントは、単なるスケジュール管理ではありません。
ここで言うタイム・マネジメントとは、目的に沿って目標を設定し、その目標達成のために、時間を効果的にコントロールするということです。
「高い鮮度の商品を、お客に届ける」
スーパーマーケットにとって、「高い鮮度の商品を、お客に届ける」ことは、戦略上最も重要なことです。
業態を超えた競争の現在においては、特に重要な意味を持ちます。
あなたのお店で販売している野菜や魚、肉などの生鮮品は、高鮮度でしょうか・・・?
日配品の日付は、新しいでしょうか・・・?
そしてそれらは、『地域で、ダントツに飛びぬけた鮮度』でしょうか・・・?
更に、地域のお客は、あなたのお店の商品に対して、日々『そう感じている』でしょうか・・・?
また、そのための『オペレーション』や『仕組み』が、構築されていて、日々確実に実行されているでしょうか・・・?
「15時がスタート」 と考える “鮮度管理のやり方”
開店時の鮮度や売場づくりの完成度が、売上と粗利益に大きく影響します。
その開店時の売場づくりの出来に大きく関わるのが、前日午後のオペレーションになってきます。
これが、『前工程』という考え方です。
具体的には、
①15時前後を基準時間と考えて
②品質管理と数量管理の関連作業を実行する
そして、特に重要になって来るのが、鮮度管理のための作業です。
これらの管理状況が、『後工程』となる次の日のオペレーション全体に大きく影響し、開店時の売場の完成度を左右することになります。
「高品質の商品をお客に届ける」ための日付チェックや品質チェックなど、店内在庫全体の品質を高いレベルに保つための作業を確実に実行することです。
具体的には、社内の品質管理基準に沿って、鮮度(日付)チェックを実施して、必要に応じて売場変更や見切り販売などを行い、対象商品(品質管理基準以下の商品)を当日中に売り切ります。
お店の『鮮度』と『品質』を、お客に体感してもらうための重要な作業になります。
更に、このことは、店舗全体のオペレーションを円滑に、且つ無駄なく回すための重要なことでもあります。
鮮度チェックは、“信用を得ること” と理解する
鮮度チェックは、単に商品の見た目や日付をチェックするという作業に止まりません。
「お店の信用をつくる」ための大事な行動です。
そこには、
①商品のクオリティを常に高位に保つ
②単品別の適正在庫数量を保つ
③オペレーション上の、生産性を高める
という、側面があるということを正しく理解する必要が有ります。
業態を超えた競争が厳しさを増す中、スーパーマーケットにおける、『高鮮度品の提供』は営業戦略上、最重要課題です。
いまだに、価格のことばかりを問題と考えている経営者も多いようですが、本質的な問題の解決策はそこではありません。
業態特性上、スーパーマーケットの強みは、生鮮品にあります。
価格を無視するということでは決してありませんが、スーパーマーケットは、生鮮品の品揃えと品質を強化して勝負することが出来る(すべき)業態なのです。
また、そのことでお客の信用を得て、生鮮品の粗利益高を拡大出来ます。
それが実現出来れば、戦略的マージン・ミックスを可能にして、NB商品の低価格戦略を取ることも可能になります。
※マージン・ミックスについては、月間商人舎WEBコンテンツ・7月号
【『マージン・ミックス』、ほとんどの人が知らない戦略的・活用術】を参照して下さい
自社の生鮮品の鮮度(品質)を『地域ダントツにする』ことが出来れば、営業戦略上の重要な『強み』を持つことになるのです。
鮮度チェックは、リーダーの重要責務
店舗段階での鮮度チェックは、部門のチーフが担当商品の鮮度に責任を持ち、厳密にチェックすることが求められます。
商品の品質は勿論、入荷日や在庫状況、販売計画などを理解している責任者が、トータルでコントロールすることが、店舗全体の生産性に大きく関わります。
そのためには、責任者の意識変革と教育が重要になってきます。
①「何故するのか」を正しく理解して 【コンセプト・戦略】
②「どう行動するか」 【方法・手段】
③ そのためのルールを決める 【仕組みづくり】
ということです。
間違いだらけの鮮度チェック
企業によって、鮮度チェックの時間はまちまちですが、開店時・昼・夜など1日のうちに複数回行う店舗もあります。
1日に何度も鮮度チェックを行うと聞くと、一見その店舗がとても意識が高いように聞こえます。
しかし、鮮度チェックを複数回実施したからといって、必ずしも、売り場の鮮度が保たれるわけでも、ましてやお客様の満足度が上がるわけでも、売上が上がるわけでもありません。
鮮度チェックは、
①適切な時刻
そして
②適切な方法
によって行なわれてこそ、効果があるのです。
技術の無い人が、何人掛かっても意味がなく、ハッキリ言って無駄です。
①鮮度を見極めることのできる目(目利きの技術)
②お客に「高鮮度品を届ける」という意識(コンセプト)
を持った人がやるのが、正しい鮮度チェックです。
そしてそれは、最も重要な業務の一つなのです。
15時の鮮度チェック4つのメリット
鮮度チェックを15時に行うメリットは、大きく4つあります。
①お客からの信頼を構築する
自社のコンセプトや戦略(鮮度管理基準)に沿って高鮮度を保つために、基本的に値引き(見切り販売)を早期に行います。
プロの目利きによる日々の見切り販売は、お客の品質に対する期待を上回ることが目的になります
商品の値引きは、一時的に損をしますが、中長期的に見れば、お客との信頼関係の構築に繋がり、結果的にお客の来店頻度を上げることになります。
②商品発注の精度が上がる
15時という時間帯は、昼のピークを過ぎて夕方のピークに備える時間帯です。
重要なポイントは、昼のピーク後に売り場とバックルームの在庫を確認して、各商品の売れ行きを判断します。
同時に商品の鮮度を確かめて、夕方のピーク前に「どの商品を本日中に売り切るのか」を決めることが重要です。
生鮮品の発注業務は、概ね営業日前日の夕方以降に行われます。
売り切る商品を決めることにより、単品別の在庫量を確認した後に発注作業を行うことになり、各商品の発注量を正確に決定できるようになります。
③粗利益が上がる
早期の見切り販売は、値引き幅を小さくすることが出来ます。
そして、商品ごとの販売動向確認とPOSデータの実績(ベスト、値引きレポートなど)確認を行えば、発注数量の精度を高めることが出来ます。
結果的に無駄な仕入れは減り、商品ロス、機会ロス共に減少するようになります。
④人時数の削減ができる
商品ロスが減り、発注の精度があがるということは、無駄な作業が減ることを意味します。作り過ぎや出し過ぎ、鮮度劣化商品の引き上げなど、それらの作業にかけていた人時数を大幅に削減できます。
そのことにより、チーフ(リーダー)は本来の主体業務である、販売計画やその発注、調査や分析などの付加価値業務に注力して、そこに人時を多く投入できるようになります。
午後のピーク後が“前工程”の総仕上げ
午後のピーク時間からその後に、生鮮品の仕超し作業を実施します。
そして、午後のピーク後、グロサリーや日配品、生鮮品の中でも日持ちする商品などについては、原則前工程の作業として、陳列や補充作業を完全に終わらせることを考えます。
そのことにより、翌朝の生鮮品や日配品の早朝品出し作業や加工作業に人時を集中することが可能になります。
また、サービスカウンターを含むレジ部門においても、清掃や備品配備など、翌営業日に持ち越さないように、閉店までのルーティン作業として完全遂行します。
これらのことは、作業が午前に集中しやすいスーパーマーケットにおいて、作業量の平準化を行い、業務全体をスムーズに、且つ正確に進めるためにも重要であると考えます。
特に、人手不足の現在においては、現場の無理、無駄を少なくして、自社(自店)の現状に適した作業計画を柔軟に組むことが重要です。
開店時100%の品ぞろえの重要性
先述したように、開店時の売場づくりには、前工程である前日午後の段取りが、大きく影響します。
また、開店時の売場づくりが良い状態であれば、機会ロスが無くなり、その後の作業もスムーズに進み、全体としての生産性を確実に高めることが出来ます。
営業時間内の品揃え状況のレベルが低ければ、客単価の低下を招き、売上や粗利益の低下に繋がります。
また、お客の不満につながり、来店頻度にも影響することとなります。
もし、ここに問題を抱えているのであれば、今までのやり方を確実に変える必要が有るでしょう。前工程を見直す必要があると思います。
タイム・マネジメント = 段取り力を磨く
今一度、自店の現場を確認してください・・・。
自社の生鮮品の鮮度が、『地域ダントツ一番』であるか・・・?
「地域ダントツ一番』を目指しているか・・・?
そのための行動を取っているか・・・?
業務改善の目的をこの点に充てることは、会社の将来の成長と発展に大きく関わります。
結果は、良くも悪くも、それまでの行動で決まるのです。
お客の視点に立つこと。
その上で、従業員に無駄な作業をさせないこと。
昨今の人手不足の問題にもタイム・マネジメント(=段取り)が、大きく関わります。
売場の完成度が低いチームは、今一度、現場の固定作業全体の段取り(遂行時間)の見直しを考えてみましょう。
※固定作業:売上の大小に関わりなく発生(実行)する作業