『部門別損益管理』で、賢く・無駄なく・戦略的に稼ぐ!【商人舎magazine1月号・原稿】
ビジネスの目的、それは、確実に営業利益を出すことです。
これが、未来に向かって会社が成長し続けるための絶対条件でもあります。
そして、それを実現するためのルールが有ります。
それは、「従業員とお客を幸せにすること」だと、私は考えています。
これが、会社のコンセプトや理念の部分でもありますし、会社を確実に強くします。
私は、
『お客目線のコンセプト』が、商品やサービス、そして、売場づくりの質を高め、
『従業員目線のコンセプト』が、現場の無駄や無理、ムラを無くし、メンバーのやる気を高め、結果として、会社の生産性を高めて行くことだと考えています。
深刻な人手不足や人件費の高騰。
長時間労働と時短の問題。
政治的にも議論されている、「働きやすさ」や「働き方改革」など、大きな社会問題にもなっていますが、その根本にあるのは、『生産性の低さ』にあることは、間違いありません。
このことは、色々なデータを見ても、先進国の中で際立って低いことが分かります。
その中でも、スーパーマーケットの多くの現場でこのことが確認出来ます。
では、「どうやって生産性を高めて、営業利益を拡大できるのか」について、説明をしていきたいと思いまい。
■ 「営業利益を2倍にする」ということ?
全国多くのスーパーマーケットの企業で、営業利益が、売上高比0.5%から1%程度の会社は数多く存在しています。
簡単に考えてください。
上記のような会社の場合、粗利益が、1%アップ(経費の増減が無い場合)すると、営業利益は、3倍から2倍になります。
経費を0.5%削減して、粗利益を0.5%アップしても、同じことが言えます。
営業利益を向上させるということは、下の表のどれかのタイプに振り分けられます。
そとて、それが営業戦略とも大きく関わることになります。
営業利益を拡大する方法は、幾つかのパターンが有ることを理解する必要が有ります。
そして、
自社の現状を確認して、どのタイプに方向性を定めるのかを決める必要が有ります。
また、一度決めたら修正をしないということではなく、改善が進んだのちに戦略の方向性を変える(べき)時が来ることも考えられます。
■ 結果を出すための条件
結果を出すための流れ的には、
1.原理原則(戦略)を正しく理解する
2.その為の正しい行動をする
ことで、意外に簡単に達成できるかもしれません。
そして、
3.出来るだけスタートを早くして、確実に進む
ことが出来れば、1年程度でも確実に目標を達成できることも多々ありますし、未来の積算利益は、確実に大きくなります。
その為には、
4.チームを導くリーダーがいる(リーダーシップ)
ことが、非常に重要になってきます。
■ 高い目標設定が、確実なプロセスを生む
目標を高く設定することには、それなりの意味が有ります。
それは、目標が高いと、その達成のために、
1.確実な戦略と戦術を立てる必要が有り、
2.そのためのプロセス(実行計画)を組む必要に迫られる
からです。
目標が低いと、大抵の場合、このようなプロセスを踏むことに繋がらないのです。
そして、「そんなことは、出来はしない」と、最初から諦めていることも少なくありません。
■ 理念(コンセプト)とビジョンとゴールと戦略
営業利益を拡大するためには、業務改善が必要です。
その為には、その考え方をリーダーが正しく理解して、全体の流れを明確にします。
その為には、簡単でもいいので、体系を紙に書いて作り上げることが重要であり、効果的です。
そして、チーム全員が正しく理解するためのコミュニケーションの場が必要です。
下の図は、私がクライアントに、それを理解してもらう為に使っている、『営業利益の拡大・定義』(概要)図です。
効果的に、出来るだけ無駄なく、プロセスを遂行するための考え方と実行プロセスについて解説してあります。
<ステップ・1> ゴールを決める
理解 ⇒理念、コンセプト、ビジョン、ゴール、戦略、戦術
<ステップ・2> 経費を削減する
護り ⇒オペレーション力のアップ 【オペレーション+システム】
<ステップ・3> 粗利益を向上させる
攻め ⇒競争優位性の確立 【差別化+中立化】
<ステップ・4> 生産性を向上させる
血肉化 ⇒チーム力の向上 【個人の能力開発+リーダーシップ】
損益計算書上の営業利益を最大化するためには、粗利益高の拡大と営業経費の削減を実現する必要が有ります。
そして、効果を確実に出すためには、チームとしての力を高めるための、色々な工夫が必要になってきます。
それでは、以下にそのステップを簡単に説明します。
<ステップ・1> ゴールを決める
理解 ⇒理念、コンセプト、ビジョン、ゴール、戦略、戦術
チーム全員が以下のことについて良く理解し、共有化することです。
1.目指すべき方向を決める
2.ゴール(中・長期)を決める
3.ルールと目標(短・中期)を決める
4.達成のためのやり方(方法)を決める
<ステップ・2> 経費を削減する
護り ⇒オペレーション力のアップ 【オペレーション+システム】
非生産性課題の排除を行い、経費の削減を目的とします。
1.在庫削減
2.作業改善
3.仕組み改善
等が主な項目となります。
<ステップ・3> 粗利益を向上させる
攻め ⇒競争優位性の確立 【差別化+中立化】
売場の活性化によって、お客の支持を得る売場づくりを行うことにより、粗利益高の拡大を目指します。
1.商品力の向上
2.販売力の 〃
3.システム化
等が主な項目となります。
<ステップ・4> 生産性を向上させる
血肉化 ⇒チーム力の向上 【個人の能力開発+リーダーシップ】
チームの強靭化をはかります。
1.課題の共有
2.方針と目標の設定
3.評価制度
等が主な項目となります。
2から4の各ステップは、必ずしも順番通りに行う必要はありません。
あなたの会社に於ける、現状の課題と、重要度、考えられる改善効果などによって、優先順位を決めて実行に当たれば良いのです。
また、2~4のステップは、重要度が高いのですが、これらの項目以外にも、多くの経費が社内には発生しています。
それらについても、手間がかからず改善効果が得られるものについては、即時併せて改善活動を行うと良いでしょう。
■目標設定と実行
どちらにしても、実行することをしなければ、結果は変わりません。
その為にも、上の4つのステップの中身を確認していただき、やれること、やるべきことを決めることが重要です。
色々な改善項目の組み合わせを行えば、効果が拡大する可能性はありますが、先ずは一つの取り組みでも構いません。
先ずは、
1.やること(改善項目)を決める
2.具体的方法を決める <例> 4W1H・・・
3.その目標設定を行う <例> ○○%、○○円、○○のレベル・・・
4.期限を決める <例> 1ケ月後、3ケ月後、半年後、一年後・・・
ことです。
そして、
5.チェックの仕組みをつくる
ことが重要です。
プロジェクト・リーダーやグループ・リーダーなど、定期的に進捗状況を確認して、適宜現場で指導を行うようにします。
そして、
6.定例ミーティングで、結果と問題点などの現状把握と、今後の方向性を話し合い決定する
ことで、確実に結果に繋げていくことが出来ます。
粗利益率0.5%の改善と経費率0.5%の改善で、1%の大幅改善です。
もし、売上高が10億円の店舗である場合、1,000万円の増益になります。
行動すれば、結果は付いてきます。
■ コンセプトを持った活動の事例
コンセプトは、会社だけに有るものではありません。
店舗や部門、売場や商品などに於いても重要なものです。
私のクライアントでの事例を紹介します。地方スーパーの青果部門の事例になります。
<部門コンセプト>
「野菜は高鮮度・・・お客が、地域で断トツに鮮度感を体験できること」。
そして、
「果物は味・・・お客が、また食べたくなる様な美味しいもの」。
当たり前のことなのですが、意外に出来ていない店は、全国に山ほどあります。
この店舗では、コンセプトを念頭に置いてもらい、バイイングや売場づくりを徹底してもらいました。
結果は、以下の通りです。(2016年12月分)
特に、果物の粗利益高の伸び(前年対比136.3%)を記録しました。店舗の客数が前年対比98.1%でしたので、相対的には、140%に近い数値になっています。
<2016年12月>
特に、みかんの実績が目を引きます。
果物全体の売上に対して、48.4%の売上高構成比を占めています。
みかんの売上高前年対比は、150%近くになりました。
「美味しい味」にこだわることによって、日々のリピーターを呼び、『単価アップ』と『購買頻度』が上がった典型的な事例であると思います。
また、そのことにより、味に対してのお客からの信頼を築き上げることが出来たことによって、年末のみかんの箱売りも、大きな売上の伸びに繋がっています。
そして何より、
1.価格に頼らなくても、売上は上がること
2.値入を高くしても、お客が悦んで商品を買ってくれること
を彼らが知ったことの意味が大きく、チーム全員の自信にも繋がって来ています。
◆店頭の一番強いマグネットで、みかんのフェイシングを拡大
◆ほとんどが、糖度14度の高糖度みかん。POP掲示と試食販売で
商品情報(ベネフィット=お客の得られる得)を伝えた
■ コンセプトを持って、無駄なく動く
繰り返しになりますが、
私の記事のタイトルは、『お客と社員に支持される生産性向上策』です。
社員の人生を豊かになってもらう。
そのためには、
「時間(人生)を目標に向かって、出来るだけ無駄なく、有効に使ってもらう」ことです。
そして、
「如何にお客の共感を得るのか」の活動を日々行うことです。
そのためには、チームが、
「どの様に考え(共有)、どう行動するのか」を時間をかけて共有化することが重要です。
営業利益(付加価値)は、お客(従業員)の信頼と信用、納得の先にあるものです。
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■ 『スーパーの営業戦略』 その他の参考記事
参考記事はこちらから、ご覧ください ⇒ スーパーの営業戦略
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