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長期間相続登記等がされていないことの通知とは?
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に基づいて法務局が調査した結果、土地の所有者が亡くなられているのに、その後長期にわたって、相続登記がされていないことが判明した場合に、土地の所有者の相続人の方に「相続登記をしてください」と通知されるものです。
所有者不明土地とは?
登記記録を確認しても、所有者が直ちに判明せず、判明しても所有者に連絡がつかない土地のことを「所有者不明土地」と呼びます。
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法とは?
人口減少、高齢化に伴う土地の利用ニーズの低下、都市部への人口移動を背景とした土地の所有権意識の希薄化によって、「所有者不明土地」が全国的に増加しています。
公共事業において、所有者の特定のために多大な時間と労力を要し、円滑な実施への大きな支障となっています。
東日本大震災の復興事業においても迅速な用地取得の妨げになっており、このような背景を踏まえ、「所有者不明土地」の解消を図るため、平成30年11月15日から所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部が施行されました。
登記記録への表示
長期間相続登記等がされていない土地には、その旨が登記簿に記録されます。登記簿は誰でも法務局で閲覧することができますので、土地の状況を調査した人は、長期間相続登記がされていない土地であることが一目でわかります。
(登記簿の記載例)
法定相続人情報の作成
法務局は、司法書士等に委託し所有者の戸籍を収集して土地所有者の調査を進めてきました。所有者の相続関係が把握できた人については、相続関係を一覧で表示した家系図のようなもの「法定相続人情報」を作成して保管しています。
通知を受けた相続人は、これを利用して相続登記に利用することができます。これを利用できるということは、戸籍を自分で集める必要がないということです。相続人は、土地の所在地を管轄する法務局で「法定相続人情報」を閲覧することができます。
相続登記の義務化と過料
令和3年2月11日(木)各社新聞の一面でも取り上げられ、ご存知な方も多いと思いますが、早ければ2023年にも相続登記が義務化され、相続発生から「3年以内」に登記を申請しなければ相続人に10万円以下の過料が課される予定です。
やはり相続登記が放置され所有者不明の不動産が増加していることへの対策として実施されるもので、住基ネットと連携し、登記所が死亡情報を把握できるシステムを構築するとのことです。
通知が来た方は早めに動いた方が良い
通知が来た方は、法務局が「法定相続人情報」を作成して保管してくれています。
通知が来ていない方は、相続登記を行うステップとして自分で戸籍を収集して相続人を調査しなければなりませんが、通知が来た方には、この手間がないわけです。
この機会をチャンスをとらえて早めに動いた方が良いでしょう。
このまま放置すると、また現時点の相続人が亡くなり、追加で戸籍の収集が必要となってきます。
この通知によって登記が忘れられていることに気付いた以上、相続登記義務化、過料を課す法改正も控えていますので、対応を検討することをお薦めします。
【文責 司法書士 山 添 健 志】
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