離れて暮らす親の成年後見申立 どこで相談しますか ☆成年後見vol.10⑰☆
親族が今後、ご本人と、どういう関わり方を望んでおられるかを知ることが、成年後見申立の相談時には大切です。「後見人は、自分が担うしかない。」と、覚悟を決めている親族には、今の、家庭裁判所での選任状況を踏まえたうえで、その思いができるだけ叶えられるようサポートします。
ご本人にとっては、何が一番好ましいのでしょうか
常に、このことを念頭に置きます。
目の前のご相談者のお話から、良好な関係にある親族の協力を得られるご本人については、親族が後見人となって暮らしを支えてくれることを前提に、親族にとっても、ご自身の暮らしが保たれ、慣れない業務で負荷がかかりすぎないように、また、安心して行えるよう相談先の確保も考えながら、申立の方向を考えていくことが、結局、ご本人にとっても良いことなのではないかと考えています。
専門家としての見通しをお伝えする
親族を候補者とする申立をしていても、必ず選任されるとは限りません。候補者は選ばれずに、裁判所の判断で専門職から後見人が選任されたり、あるいは親族後見人の選任と併せて後見監督人の選任がなされたり、後見制度支援信託の利用を検討実施する前提として、親族後見人に加えて専門職後見人が選任されたりする場合があります。申立相談の段階で、それぞれの説明をすると同時に、専門家としての見通しをお伝えすることからスタートします。
候補者についての事情説明書で一番力を入れるところ
候補者を立てただけで終わってしまう申立では、どういう結果となるかは裁判所任せとなります。見通しをたてた上で、着地したいところにボールを落とすために、「後見業務を行う上での方針」について、親族後見人候補者と、財産管理や身上監護の方法について、しっかりと話し合って目に浮かぶように具体的に考えていく作業を行います。これを、申立書の一部となる「候補者についての事情説明書」に反映させれば、その内容は充実してきます。
通常、候補者の来歴など正確に書くことに力が入ります。もちろん、それも大切ですが、「後見業務を行う上での方針」は、一般論で済まさないことがポイントになるのではないでしょうか。後見業務を行う上で親族の協力が得られることであったり、有価証券は全て売却し、預金にするといったことであったり、積極的に後見制度支援信託を利用することや、一部ではありますが、信用金庫や信用組合、地方銀行で始まった「後見制度支援預金」といったサービスを利用することも視野に入れて、日常に必要なお金と大きなお金の保管方法を変えるなど、一緒に考え、申立書に反映させていきます。
成年後見 申立のツボ ほかの記事もご覧下さい。
http://mbp-japan.com/osaka/sai-shihou/column/19919/
http://mbp-japan.com/osaka/sai-shihou/column/32376/
後見制度支援信託についても、ご覧下さい。
http://mbp-japan.com/osaka/sai-shihou/column/25716/
司法書士佐井惠子