介護離職をしない為に、成年後見制度の利用 ☆成年後見vol.13④☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
親族の方から、「裁判所が決めた後見人が、働かない。
今、財産がどうなっているか尋ねても、明らかにしてくれない。」という不満を聞くことがあります。
最後には、「外れやったわ。辞めてもらうには、どうすれば良い?」と、相談されます。
理由は、コミュニケーション不足だけでしょうか。
親族に、できるだけ関与してもらう体制を作ることが大切です。
「辞めてもらう」といっても、それなりの理由がなければ難しいことです。
選任した裁判所も、客観的に不適任であると判断するだけのことがなければ、解任はできないでしょう。
私は、可能であれば、親族自身が、もう一人の後見人となること。
専門職後見人に、追加して親族後見人の選任を裁判所に求めることを提案します。
確かに、専門職後見人の、親族とのコミュニケーションの取り方に原因がある場合も考えられます。
後見人の仕事は「財産管理」だけだと思っていれば、いちいち親族の協力を求める必要はありません。
「親族は、文句を言うだけ。」「後見業務について、何も、分かっていない。」
そんな風に考える、専門職後見人がいるかもしれません。
でも、ご本人の立場で考えれば、
後見人には、「良い身上監護」をするための「財産管理」を求めているのです。
「良い身上監護」をするためには、親族を通じて、ご本人を理解する努力が不可欠です。
一方で、後見人には、守秘義務があります。
親族だからと言って、誰にでも、本人の情報をオープンにはできません。
そこは、葛藤するところです。
私は、親族の方が、権限をもって、引き続き関与できる様に、
最初の申立時から相談いただいた場合には、親族後見人と専門職後見人の複数後見を
裁判所に求めることをお薦めしています。
それなら、仕事を続けながらでも関わることができますし、
財産状況を知ることも、後見業務を行うために必要なことですので、
専門職と情報を共有しながら相談できるメリットがあります。
専門職後見人が選ばれた後であっても、
やはり、親族として関わっていきたいという希望に対しては、
追加で、親族後見人の選任申立を行うことも可能です。
専門職後見人に、支払いや会計の記帳等の財産管理や、裁判所への報告等の対応を任せ、
親族後見人は、ご本人の身の回りの環境を整える「身上監護」を通じて、
専門職と情報を共有しながら
最期まで、ご本人らしい暮らしができるよう、支えていっていただきたいと思います。
私たちは、笑顔の和を広げます。
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp
☎06-6365-1755