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養子縁組前の養子の子が代襲相続人になる場合 ☆遺言・相続vol.9⑱☆

2014年10月13日

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き

こんにちは、司法書士佐井惠子です。
養子縁組前の養子の子、簡単にいえば「養子の連れ子」は、
養子が養親より先に亡くなった場合、養親の遺産を養子に代わって相続できません。
ところが、これには例外があります。
今日は、そのお話し。

娘Bの父Aの養子となったCが、死亡。その後に父Aが死亡したとき。
BC間には、縁組前に生まれたDと縁組後に生まれたE。
Bは相続人となりますが、亡きCに代わって相続する代襲相続人に
縁組前に生まれたDはなれるかという問題です。

養子は、養子縁組をして初めて、養親や養子の血族との間に親族関係を形成します。
逆にいえば、養子縁組前の養子の子と養親との間には、親族関係は生じません。

被相続人の子が相続開始前に死亡したときは、その子どもが代襲相続人となりますが、
「被相続人の直径卑属でない者」を代襲相続人の範囲から排除する民法887条2項ただし書きによって、
養子縁組前の養子の子どもには、代襲相続権を認めていないのです。

その理由は、大阪高裁平成元年8月10日第7民事部判決によれば、
血統継続の思想を尊重するとともに、親族共同体的な観点から相続人の範囲を親族内に限定することが相当であると考えられたことと説明されていますが、
単身養子の場合を思い描いてみていただくと分かりやすいと思います。
縁組前の養子の子が他で生活していて、養親とは何ら係わりがない場合。
これに代襲相続権を与えることは不合理であると考えるわけです。

ところがこのケースは、Dは、養子Cの子であると同時に、娘Bの子でもあります。
Dは、娘Bを通じて、被相続人Aの直径卑属にあたります。
このような場合、DとEを、生まれたのが、養子縁組前か後かで
代襲相続権の有無を決めるのは極めて不合理であるとして、
先の判決は、D、Eともに代襲相続権を認めました。

ちなみに、同様の事例で、昭和35年8月5日民事甲第1997号民事局第二課長回答によって、
縁組前の養子の子に代襲相続権を認めています。

Dの代襲相続権を認めることで、DやE以外の、他の相続人の相続分に影響はありません。
今回の場合も、養子Cの法定相続分をDとEで分け合うこととなります。

相続人確定の際には、注意が必要です。

私たちは、笑顔の和を広げます。

司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp
☎06-6365-1755

この記事を書いたプロ

佐井惠子

家族の問題(成年後見、相続、信託)の専門家

佐井惠子(佐井司法書士法人)

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