任意後見契約と生活設計 ☆成年後見vol.11②☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
任意後見契約と似て非なるもの。
それは、任意代理契約あるいは財産管理等委任契約。
この契約を締結するかどうか、判断するためのチェックポイントがあります。
任意後見契約も任意代理契約も、何れも、財産を管理するという点では同じです。
どこが違うのでしょうか。
委任契約に基づく任意代理人の代理権は、本人の意思能力喪失後も、
当然に、代理権は消滅しません。
それなら、任意代理契約さえあれば、何も、任意後見契約まで結ばなくてもよさそうです。
任意後見契約は、いかにも、手続が面倒です。
なぜなら、この契約は、公証役場で作成しないといけません。
本人の能力が減退したときに、家庭裁判所に任意後見監督人の選任申立をし、
選任されて、初めて、任意後見人として仕事ができる。
その後も、家庭裁判所が任意後見監督人を介して、任意後見人の仕事を監督します。
一方、任意代理契約。
契約締結に、公証役場でという制約もありません
何をしようと、家庭裁判所や第三者とは無関係。
本人との信頼関係さえあれば、柔軟に働けるので、却って、本人の為になるはずとお考えかもしれません。
確かに、働きやすそうですが、
他人の財産を預かる役目に、何がしか、監督は必要でしょう。
本来、委任契約では、任意代理人を監督する役割は、本人が担うものです。
ところが、本人が意思能力を喪失してしまえば、この任意代理人を監督する人は存在しません。
任意代理人の恣意的な行動を抑制できないことになる点が、
高齢者が、自身の財産管理を任せようとして契約する際に、心配なところです。
任意代理契約を締結するときは、必ず、任意後見契約と一緒に契約を締結し、単独では契約しないこと。
そして、次の条項があるかどうか、確認して下さい。
☆本人が精神上の障害により事理弁識能力が不十分な状況になった場合は、
すみやかに家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立を行うものとする。
☆家庭裁判所より任意後見監督人が選任された場合、または後見開始の審判等を受けた場合は、
任意代理契約における代理権は消滅する。
契約してよいかどうか。
それは、信頼できる相手かどうか、相手の人柄に加えて、
客観的な、第三者を介在させる契約条項の存在。
この二つだと思います。
私たちは、笑顔の和を広げます。
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp
☎06-6365-1755